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離婚後のパスポートの手続きを解説!名前はそのまま使える?

離婚後のパスポートの手続きを解説!名前はそのまま使える?

離婚により姓や住所が変わると役所などで変更の手続きをしなければなりません。そして海外旅行に使うパスポートも変更の手続きが必要になる場合があります。

今回はそんな離婚後のパスポートに必要な手続きを、自分だけでなく子供がいる場合も含めて説明しますので参考にして下さい。

離婚でパスポートの変更が必要な場合とは?

離婚後_パスポート_手続き_必要な場合

離婚でパスポートの変更が必要なのは、次の場合です。

  • 姓が変わる場合
  • 本籍地の都道府県が変わる場合
  • 子どもの姓、本籍地が変わる場合

なお、離婚とは関係ないですが家庭裁判所の審判で性別が変わる場合や、戸籍上の生年月日が変わる場合もパスポートの変更手続きを行います。

本籍地とは?

意外と具体的な知識のない人も多い「本籍地」とは、簡単に言うと「戸籍」を置いている土地のことを指します。生まれたときは両親と同じ戸籍に入っていますが、結婚すると新しい戸籍ができます。

もともと戸籍の筆頭者である人と結婚する場合、その人の戸籍に入ります。一方で離婚をすると元の戸籍(実家の戸籍など)に戻ります。

ただ実家の親が亡くなっているなどで誰もいない場合、戻るべき戸籍が「除籍」されていますので、離婚することで新しい戸籍が作られるのです。

本籍地の都道府県が変わる場合はパスポートの変更が必要

上記に当てはまり、本籍地の都道府県が変わる場合はパスポートの変更が必要となります。

本籍地の都道府県が変わらない場合はパスポートの変更は不要

反対に離婚することで戸籍を離れない方は本籍地は変わりません。

例えば離婚をしても、同じ都道府県内で本籍地がA市からB市に変わるだけという場合はパスポートの変更は不要です。

現住所の変更は手続き不要

離婚をすると引越しにより住所が変わることがありますが、住所変更だけの場合もパスポートの手続きは必要ありません。

ここまでのことをまとめると、次のようになります。

離婚で起きたこと 変更手続き
氏名(姓)が変わる 必要
本籍地(都道府県)が変わる 必要
本籍地の市区町村だけが変わる 不要
姓も本籍地も変わらない 不要
子どもの姓や本籍地が変わる 必要

離婚後のパスポートの変更方法

次に離婚後のパスポートの変更方法について見ていきましょう。

方法としては次の2つがあります。

  1. 新しいパスポートの発給申請をする(切替申請)
  2. 今までのパスポートに記載されている内容を変更する(記載事項変更旅券発給申請)

新しいパスポートの発給申請をする方法(切替申請)

「切替申請」は次のような流れで行います。

  • 必要な書類(戸籍謄本など)をそろえる
  • パスポートセンターに書類提出とパスポートの返却を行う
  • パスポートは失効処理される
  • 新たにパスポートが発行される

つまり、「切替申請」は実質新規発行と同じです。姓や本籍地が変わったときだけでなく、有効期間が残り少なくなった場合(例えば1年未満)になったときやパスポートを損傷した場合、査証欄に余白がなくなったときなども切替申請をします。

ただ純新規と違い、切替申請の場合は手元にあるパスポートを持参して返却しなければなりません。

パスポートの切替申請に必要なもの

パスポートの切替申請に必要なものは次の通りです。

  • 現在のパスポート
  • 6ヶ月以内に発行された戸籍謄本
  • パスポート用の写真(6ヶ月以内に撮影されたもの)
  • 一般旅券発給申請書

写真はパスポート用のサイズが指定されています。必ず事前に確認し、撮影しておきましょう。

新しいパスポートに切り替えるメリットデメリット

切替申請するメリットとデメリットを見てみましょう。

メリット 新しく有効期間が始まるので10年(または5年)まるまる使える
デメリット 有効期間が長く残っている場合はリセットされる
費用が高い

手持ちのパスポートの有効期間が少なく1年近くしかない場合は、近々切替申請をしなければならないため、離婚による手続きと同時に切替申請すると手間が省けます。

一方で有効期間が何年も残っている場合は切替申請でなく、記載事項変更手続きをするのがおすすめです。

また、切替申請の費用は有効期間が10年の場合、16000円かかります。記載事項を変更するだけなら6000円で済むので、まだ有効期間が残っている場合は記載事項変更の方がお得だと言えます。

記載事項変更旅券の発給申請をする

「記載事項変更旅券」の発給申請は、旅券番号は変わるものの今のパスポートの有効期間はそのまま引き継がれます。

変更がある箇所だけ変えるという方法です。

パスポートの記載事項変更旅券に必要なもの

記載事項変更旅券の発給申請には、次のものが必要になります。

  • 現在のパスポート
  • 6ヶ月以内に発行された戸籍謄本
  • パスポート用の写真(6ヶ月以内に撮影されたもの)
  • 記載事項変更用の一般旅券発給申請書

記載事項変更で手続きするメリット・デメリット

メリット 費用が安い
デメリット 有効期間がそのまま引き継がれるので切替申請よりも残りの期間が短くなる

どちらの場合も旅券番号は新しいものに変わります。

離婚後にパスポート変更手続きをする際の注意点

離婚に伴ってパスポート変更するときは、次の点に注意しましょう。

  • 発行までに日数がかかる
  • 航空券と名前が異なる場合は飛行機に乗れない

発行までに日数がかかる

パスポートの変更手続きをして受け取るまでには1週間ほどかかりますが、連休や年末年始をはさむとさらに日数がかかります。

しかも本人が受け取りに行かないといけないため、各自治体のパスポートセンターや事務所(名称は自治体によって異なります)の窓口が開いている時間内に行く必要があります。

また、戸籍謄本も取り寄せに時間がかかることもあるため、離婚する前に海外旅行などの理由で予約申し込みをした場合、パスポートの変更が間に合わないということも起こり得ます。

パスポートの変更に時間がかかった例

Aさんは離婚したことで元の姓に戻り、本籍地も実家に戻ることになりました。そして海外旅行の計画があったのでパスポートの切替申請をすることにしたのですが、戸籍謄本が必要だと言われました。

戸籍謄本は本籍地のある市区町村役場が発行しますが、本籍地は遠く離れた地方だったために戸籍謄本を郵送で取り寄せることにしました。

送り先や必要な費用などを本籍地の役所に聞いて、戸籍謄本申請書、本人確認書類のコピー、手数料を定額小為替で準備し、返信用封筒に入れて送付するという手間がかかり、しかも本籍地から戸籍謄本が郵送されるまでに10日ほどかかったのです。

その後、パスポート用の写真を撮影して居住地のパスポートセンターで手続きをしましたが、受け取りは本人に限定されているため、パスポートセンターの窓口が開いている平日の時間帯に行くために仕事を休むことになりました。

ようやく新しいパスポートを手にしました頃にはかなり日数がかかってしまい、余裕を持って変更手続きをしたはずなのにかなりギリギリのスケジュールとなってしまったようです。

もし旅行の手配をしている場合は、早めに手続きを進めるようにしましょう。

航空券と名前が異なる場合は飛行機に乗れない

離婚する前の名前で海外旅行の申し込みをしていると、航空券の氏名がパスポートと異なるということがあります。

航空券とパスポートの氏名が違うと飛行機に乗れないので、注意が必要です。

パスポートと航空券の氏名が異なるために旅行に行けなかった例

Cさんは離婚の話し合い中に親友のYさんと海外旅行を申し込みました。無事に離婚が成立し旅行の日を迎えたのですが、空港でCさんだけ飛行機の搭乗を拒否されました。

航空券とパスポートの氏名が違うというのがその理由です。旅行を申し込んだのは離婚する前の氏名でしたが、パスポートは記載事項変更手続きを終えた離婚後の氏名になっていたのです。

そのため、Cさんは旅行に行けず、Yさんもひとりで行くのはつまらないということで旅行はキャンセルしてしまいました。

このような状況が予想される場合、旅行が終わってからパスポートの変更手続きをするといいでしょう。

離婚後のパスポート手続きのまとめ

離婚したことで姓が変わったり、本籍地の都道府県が変わった場合はパスポートの変更手続きが必要です。

パスポートの変更には有効期間が新たにスタートする「切替申請」と、残存有効期間をそのまま引き継ぐ「記載事項変更手続き」があります。

切替申請の方が手数料は高くなりますが、有効期間が10年(または5年)あります。一方、記載事項変更の場合は手数料は安いものの、有効期間が切替申請よりも短くなります。

いずれの場合も手続きが終わって受け取るまでに1週間前後かかります。もし離婚する前に海外旅行を申し込んでいた場合、申し込み時にパスポートの姓名や本籍地が異なると飛行機に乗れない(出国できない)可能性が出てきますので注意が必要です。

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