離婚時に探偵に依頼すべきケースは?費用相場やメリットも解説
離婚するとき、すべてのケースで探偵の調査が必要なわけではありません。ただ、慰謝料請求する場合は証拠があると有利になります。
このページでは離婚時に探偵に依頼した方がいいケースとそのメリット、依頼するときの費用についてご説明します。
離婚時に探偵(興信所)に依頼すべきケース
離婚で慰謝料を請求できるのは、不貞行為(不倫)や悪意の遺棄(生活費を入れないなど)、DVやモラハラ……と多くのケースがあります。
こういった理由で慰謝料を請求するには、その事実を証明するための証拠が必要です。
証拠がない場合
離婚の協議や調停、裁判で証拠がない場合、非常に不利になることは避けられません。
そのため、証拠がない場合は探偵(興信所)に依頼することで離婚において有利になる可能性があります。
例えば配偶者が不貞行為をしていると思われる場合でも、証拠がないと「自分は何もやっていない」「文句があるなら証拠を出せ」と反論されてしまいます。
さらに離婚には合意しても、「慰謝料は払わない」と突っぱねられる可能性もあります。
また、裁判では不貞行為や暴力など離婚事由に該当する事実を証明できないと離婚や慰謝料の支払いが認められません。
自分で証拠が集められない場合
悪意の遺棄やDVなどの証拠は自分の記録(日記、配偶者の言動を録音するなど)や病院を受診した診断書など自分で集めることができますが、配偶者が不貞行為をしていた場合は自分で証拠を押さえるのが困難です。
そんなときは探偵に依頼しましょう。特に次のようなときは、調査のプロである探偵に依頼することをおすすめします。
- 配偶者が不倫している気がするが確信が持てないとき
- 配偶者が不貞行為を認めようとしないとき
- 配偶者と不倫相手の両方に慰謝料を請求したいとき
- 配偶者から突然離婚を切り出されて裏事情を探りたいとき
配偶者が不倫している気がするが確信が持てないとき
配偶者の行動が怪しいと思っても、確たる証拠がないと強気の交渉ができません。また、離婚や慰謝料請求を切り出しても拒否される可能性があります。
「常にスマホを持ち歩き、手放さない」「決まった曜日だけ帰りが遅い」「いつもとは好みが違う衣類を着るようになった」「おしゃれに気を使うようになった」などの変化があれば不倫の可能性があります。
相手に気づかれないうちに探偵に調査を依頼して、証拠を押さえましょう。
配偶者が不貞行為を認めようとしないとき
離婚の話し合いで「配偶者の不貞行為で別れたい」と切り出しても、証拠がないと「不貞行為なんかしていない」と否定されてしまいます。
「〇曜日は帰りが遅かったじゃない!」「いつも誰かと電話でしゃべっている」などと責めたところで、証拠がないと「仕事の用事だ」とシラを切られるだけです。
離婚や慰謝料請求する前に証拠をつかんでおくことが大切です。その際に役立つのが探偵です。
配偶者と不貞相手の両方に慰謝料を請求したいとき
不貞行為の慰謝料は不倫相手に請求することも可能です。(ただし、配偶者が自分を独身だと偽って不貞行為をしていた場合は除く)
相手にも慰謝料請求する場合は相手の氏名や住所、勤務先などを調べる必要があります。これは素人で調べるのは非常に困難です。
そして、その人と不貞行為(性交渉)があったことを証明しなければなりません。
証拠としてはホテルに出入りする瞬間の写真や性行為があったとわかるメールやLINEを押さえることが有効ですが、こちらも素人ではかなり難易度が高く困難です。プロにお願いする方が安心です。
配偶者から突然離婚を切り出されて裏事情を探りたいとき
特に重大な理由がないのに離婚を切り出された場合、配偶者が不貞行為をしている可能性があります。
あなたに不倫がバレないうちに離婚することで、不倫相手と一緒になろうと考えているのかも知れません。
そんなときは探偵に調査を依頼してみましょう。配偶者が不貞行為をしていることがわかれば、「有責配偶者(離婚原因を作った方)」からの離婚請求はできなくなります。
また、離婚するにしても不貞行為の証拠があれば慰謝料請求ができます。泣き寝入りする前に対策を取ることが大切です。
不倫の証拠については、こちらの記事でくわしくご説明しています。合わせてご覧ください。
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離婚の相談は弁護士と探偵どちらを先にするべき?
結論から言うと、先に探偵に依頼し証拠を集めてから、弁護士に相談をするべきです。弁護士は証拠なしでは動けないからです。
上述の通り配偶者が不貞行為をしている場合、自分ひとりで離婚交渉や慰謝料請求するのはかなり大変です。
特に配偶者が「弁が立つ」タイプであなたが言い負かされるような状況では、相手が主導権を握ってしまいます。
そんなときは弁護士に依頼して交渉を進めてもらう方法があります。
弁護士と探偵の業務内容の違い
弁護士と探偵の業務内容の違いを詳しくご存じないという人が多いかも知れませんが、法律で明確に決められています。
弁護士の業務内容
弁護士は法律に関する事務や依頼された法律問題の解決を行います。離婚、相続などの家事事案や労働問題、消費者問題、示談交渉など幅広い業務があります。
離婚に関しては、相手との交渉、内容証明郵便の作成と送付、離婚調停や裁判の手続き・出席の代行、慰謝料請求などを行います。
こういった法律に関する業務は弁護士法第72条で弁護士だけに認められているものです。探偵が法律に関する業務をすることはできません。
一方、弁護士は探偵(興信所)のような素行調査や浮気調査、証拠集めなどは行いません。
そのため、証拠なしの状態で弁護士に相談をすると、証拠集めのために探偵(興信所)を紹介されるケースもあります。
探偵の業務内容
探偵の業務内容は探偵業法で「聞き込み」や「尾行」「張り込み」などに限定されています。(調査では住居侵入罪やプライバシーの侵害にならないように配慮されています。)
そのため、弁護士が行う慰謝料請求や離婚調停・裁判の手続き、相手との交渉などはできません。
なお、探偵は浮気調査や素行調査といった民事事案が中心で、犯罪調査といった刑事事案は行いません。犯罪に関する調査(聞き込みや尾行)は警察の仕事であり、探偵が調査することはありません。
これらをまとめると、次のようになります。
業務内容 | 弁護士 | 探偵 |
---|---|---|
浮気(不倫)調査(※) | × | 〇 |
離婚の手続き (離婚調停や離婚裁判を含む) |
〇 | × |
慰謝料請求 | 〇 | × |
相手との交渉 | 〇 | × |
(※:浮気(不倫)調査には浮気の証拠を集める、浮気相手の身元調査なども含まれます)
先に探偵に依頼し、その後で弁護士に相談するのが最適
このように弁護士は浮気(不倫)調査をすることはありません。
そのため、もし配偶者の不倫が疑われて離婚を考えているとき、あなたが弁護士事務所に行って「夫が不倫しているかも知れません。証拠はないんですが、きっと不倫していると思います。離婚して慰謝料請求したいので、交渉と手続きをお願いします」と言っても、弁護士は不倫の証拠がないとどうすることもできません。
まずは自分で証拠を集める、それができない場合は探偵に依頼して証拠と相手の身元を特定しましょう。
その上で弁護士に依頼すると、スムーズに進められます。
探偵に依頼するメリット
不倫の証拠集めや不倫相手の特定は、配偶者がよほどわかりやすい行動をしていたり、不倫相手があなたの知り合いで顔も名前もわかっているという場合以外、素人で行うのはかなり困難です。
不貞行為(性行為)があることを証明するためには、ホテルに出入りする写真や動画などが必要です。
しかし、相手に気づかれないように尾行するのも難しいですし、離れた場所から鮮明に撮影できる高性能カメラなども必要です。探偵は調査のプロなので、任せる方が安心です。
また、探偵は調査対象者に気づかれないようにうまく調査をしてくれます。一方、弁護士は直接相手(配偶者や不倫相手)と交渉(電話や郵便物の送付、面談など)をするため、あなたが依頼したということが相手にわかってしまいます。
そのため、確実な証拠をつかむまでは探偵に依頼して極秘に調査を進めてもらい、その上で弁護士に相談して離婚に向けて進めていきましょう。
なお、探偵の方から報酬を得て提携している弁護士を紹介することは探偵業法で禁じられています。調査を依頼した探偵事務所から弁護士事務所を紹介すると言われても、それは違法行為なので注意してください。
離婚時に探偵に依頼するまでにやるべき準備
探偵に依頼する前には、ある程度の情報を整理しておくことが重要です。
できる範囲でいいので、次のような情報を集めて探偵に提示すると調査がスムーズに進み、探偵調査の費用を抑えることができます。
- 配偶者の行動を記録する
- 配偶者の行動パターン(よく行く店や好きな場所、趣味など)を調べる
- 不倫相手と会っている曜日や時間、場所などを探る
- 不倫相手を特定できる情報を集める
配偶者の行動を記録する
怪しいと思ったときから配偶者の行動を記録していきましょう。
手帳や日記に書く、スマホのメモに残す、配偶者との会話を録音する、怪しい行動をそれとなく動画で撮るなどをしておくと、探偵や弁護士に相談する際に役立ちます。
また、行動を記録することで、帰りが遅くなる曜日、よく電話をする時間帯などがつかめます。探偵はそれを元に調査するので、ピンポイントで調べることができます。
配偶者の行動パターン(よく行く店や好きな場所、趣味など)を調べる
配偶者の行きつけの店(飲食店や映画館、アパレルショップ、よく行くコンビニ)などを調べておきましょう。
また、釣りや登山、ドライブなどの趣味に関しても行動範囲を把握しておくと調査がしやすくなります。
不倫相手と会っている曜日や時間、場所などを探る
こういった行動の記録や行動パターンを調べることで、不倫相手と会っている曜日や時間がわかってきます。
少しでも怪しいと思うことは記録しておきましょう。また、探偵に依頼するときは、「次に会うのは〇月〇日あたり」と知らせることもできます。
職場の同僚や友人の情報を集める
配偶者が「今日は職場の同僚との飲み会」「次の休みは友達の〇〇君と釣りに行く」などと言ったときは、それとなく裏を取ってみましょう。
〇〇さんに、「この前、うちの夫と釣りに行ったそうだけど、たくさん釣れた?」などと探りを入れてみるのです。
ただ、相手に怪しまれることは避けたいので、同僚や友人とあなたとの関係性によっては気づかれないように配慮してください。
また、ざっくばらんに相談できる友人がいれば不倫の可能性があることを伝えて、探ってもらうのもいい方法です。
不倫相手を特定できる情報を集める
配偶者の行動を探る中で、不倫相手を特定できるような情報を集めましょう。
配偶者のスマホやSNSにあげている写真から、異性の画像がないかどうか、職業や職場がわかる制服を着ていないかどうかを調べます。
LINEやメール、電話番号の名前が本名ではなくイニシャルやニックネームになっていないかどうかも見てみましょう。
配偶者のSNSにひんぱんにコメントや「いいね」をしている人なども要チェックです。
こういった情報は調査に役立つことが多いので、意識して集めるようにしましょう。
探偵に依頼するときの費用相場
いざ探偵に依頼するとなると、気になるのが費用です。探偵の費用はそれぞれの事務所によって計算方法が異なります。
ただ平均的な相場は以下の通りです。
- 探偵1人の調査時給:15000円
- 調査時間:15時間
- 探偵の人数:2人
この場合、総額は15000円×15時間×2人=45万円となります。
一方、事務所によってパック料金という定額プランも用意しており、この場合の相場は40万円~60万円です。
ただ依頼内容(調査内容)や調査にかかる日数によって異なります。情報が揃っていて調査が簡単そうなら安くなりますし、全然情報がなければ難易度が上がる分高くなります。
探偵調査費用の計算方法
多いのは「探偵1人あたりの時給(または日給)×調査にかかった時間(日数)」で計算する方法です。
これに撮影機材(カメラ)の費用や証拠写真を保存したDVDなどの実費、調査にかかる交通費などが加算されます。
または「浮気調査一式〇〇万円」とパック料金を提示している探偵事務所もあります。
無料相談や無料見積もりをしている探偵事務所が多いので、調べてみるといいでしょう。
探偵事務所によって異なりますが、相場は探偵1人あたりの時給が1万円~2万円です。
調査日や調査場所を絞ると探偵費用を抑えられる
いくら探偵でもやみくもに調査することはできません。「いつ相手と会っているかわからないから、ずっと尾行してください」という依頼をするとそれだけ費用がかかってしまいます。
効率よく調査できるよう、不倫相手と会っていると思われる日時や場所を教えることができれば、探偵が無駄な動きをせずに済み費用を抑えられます。そういった意味でも事前調査は大変重要です。
参考:浮気調査や13種の探偵料金の相場を紹介!依頼に平均いくらかかる?
離婚時の探偵への依頼について~まとめ
配偶者の不貞行為(不倫)が原因で離婚し、慰謝料を請求する場合は証拠が必要です。ただ、不貞行為は性行為を伴うことで、その証拠を自分で押さえるのはかなり困難です。
その場合は探偵に依頼しましょう。探偵は調査のプロなので、ホテルに出入りする決定的瞬間の写真や動画を撮影してくれます。また、不倫相手の特定もやってくれます。
ただ、探偵は尾行や張り込みなどの調査をするだけで、離婚や慰謝料請求の交渉は弁護士の業務になります。
まずは探偵に依頼し、確実な証拠をそろえて弁護士に相談するのがおすすめの方法です。
また、探偵は探偵ポータルサイトで探しましょう。ポータルサイトには探偵業法をクリアした事務所や興信所しか掲載されていないので、不当に料金を高く取られるといった心配がありません。
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