日本の夫婦の離婚率はどのくらい?推移や統計から見る世界との比較や「3組に1組が離婚」の実態
「現在の日本では3組に1組の夫婦が離婚しているから、離婚率は上がっている」という話を耳にしたことがある方も多いでしょう。
しかし、この3組に1組という割合は、一般に離婚率としてイメージするものとは合致しないものです。
ここでは、その理由と、実際の離婚率についてみていきます。
日本の生涯離婚率の実態や根拠は?
離婚率の統計が3組に1人というデータの根拠
「3組に1組」という離婚率の根拠となっているのは、1年間に結婚した夫婦数と同1年間に離婚した夫婦数を単純に対比したものです。
2018年の例でいうと婚姻件数は約59万で離婚件数は20万7000程度ですから、婚姻件数に対して離婚件数が三分の一の割合という計算になるわけですね。
人口動態総覧の年次推移2018年(推計)
※厚生労働省資料(PDF)より抜粋
しかし、人口減少などの影響により婚姻件数は年々減っています。婚姻件数の多い年代に結婚した夫婦が婚姻件数の少ない年に離婚すれば、統計上の離婚率は上がってしまいます。
つまり、3組に1組が離婚というのは「結婚した3組の夫婦のうち1組が離婚する」という意味ではないのです。
日本の離婚件数は緩やかに減少傾向にある
人口減少や晩婚化に伴い、婚姻件数が減っていることは明らかですが、離婚件数も近年は緩やかに減少しています。
ただし、これは婚姻件数自体が減っているため自然な現象と考えられ、離婚の確率が減ったとは言えません。
実際の離婚率はどこで確認できる?
では実際の離婚率はどこで確認すればよいのでしょうか?
実は、全年齢の人に対する、生涯で離婚する確率というデータは公表されていません。
厚生労働省は人口1,000人あたりに対する年間離婚件数を発表しており、これが一般に離婚率と呼ばれるものです。普通離婚率と呼ぶこともあります。
人口動態統計の年間推計2018年:厚生労働省資料より抜粋
2017年度の普通離婚率が1.70、2018年度は1.66(推計)です。また、離婚率は100人当たりではなく1,000人あたりですから、%ではなく‰(パーミル)で表します。
日本と比較した世界の離婚率はどうなっている?
世界の中で日本の離婚率は高いのでしょうか?ここでは、世界各国の普通離婚率についてみていきます。
世界主要国の離婚率
世界の主要国の離婚率は、1.4‰~4.7‰です。データの存在しない国や、データの収集方法が異なる国もありますが、大体2‰前後といってよいでしょう。
人口1,000人に対する1年間の離婚件数
国名 | 離婚率(‰) |
---|---|
ロシア | 4.7 |
アメリカ合衆国 | 2.5 |
スウェーデン | 2.5 |
スペイン | 2.1 |
オランダ | 2 |
ドイツ | 2 |
オーストラリア | 2 |
イギリス | 1.9 |
フランス | 1.9 |
中国 | 1.8 |
日本 | 1.7 |
ニュージーランド | 1.7 |
ポーランド | 1.7 |
イタリア | 1.4 |
実は日本の離婚率は決して高くない
離婚率は、宗教や事実婚の数、離婚の際の手続きのしやすさなどによっても左右されますので一概に数字だけでは読み取れません。
しかし、1.7‰という日本の離婚率は諸外国に比べて特に高くはなく、平均的かそれより少し低いと言えるでしょう。
日本における都道府県別の離婚率の違い
実は国内でも、地域によって離婚率が倍近くも異なる場合があります。
都道府県別の離婚率をみてみると、
- 沖縄:2.44‰
- 宮崎:1.97‰
- 大阪:1.96‰
- 北海道:1.92‰
など、日本平均の1.7‰よりも高い地域があるのに対して、
- 新潟:1.29‰
- 山形:1.33‰
- 富山:1.34‰
- 石川:1.36‰
など、かなり低い地域もあります。
九州・沖縄・北海道の離婚率が高く、東北地方の離婚率は低くなっており、東京は平均に近い1.74‰です。
この違いは、県民性や平均所得の差が原因と推測できます。
都道府県別の離婚率(2017年)
※厚生労働省資料より作成
日本における最近の離婚の傾向と離婚率の関係
次に、近年の離婚の傾向をみていきます。
「熟年離婚」や「授かり婚」などが各メディアで話題になっていますが、実際はどうなのでしょうか?
年齢や婚姻期間による離婚率の違いをみてみましょう。
熟年離婚は倍増している
最近でも、熟年離婚が増えているという話を耳にすることは多いですね。
婚姻期間20年以上が熟年離婚と考えると、たしかに昭和60年から平成17年までの期間に、その件数は倍増しています。
しかし、それ以降に大きな変化はみられません。また、婚姻期間20年以上の離婚件数の割合は全体からみると少ないものです。
同居期間別の離婚係数
※厚生労働省資料より
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データを見ると若年層・短期間での離婚割合が多くをしめる
熟年離婚が増えた現在でも、比較的若い世代のほうがその割合は高くなります。
数でいうと熟年離婚の2倍以上が若年離婚となっているようです。
結婚後早い段階で離婚することが多い
同居期間別の離婚件数の割合をみると、5年未満が最も多く、半数以上が10年未満となっており、結婚(同居)後、短期間で離婚するケースが多いことがわかります。
同居期間別の離婚係数グラフ
※厚生労働省資料より
「結婚の理想と現実の違い」「性格の不一致」「義両親との折り合いがよくない」「いわゆるできちゃった婚(授かり婚)をしたけれど、うまくいかなかった」など、結婚後、早期に離婚をしてしまう可能性はどうしても高くなります。
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若い世代の離婚割合が多い
また、世代別にみても30代~40代の若い世代の離婚割合が多いことがわかっています。
妻の年齢では、34歳までに離婚する割合が半数近くをしめていて、特に30代前半の離婚割合が多くなっています。
10~20代の離婚割合は下がっていますが、これは晩婚化による減少と考えられ、若年層の離婚の確率が低下したわけではありません。
年齢別離婚件数構成割合
※厚生労働省資料(PDF)より抜粋
日本で未成年の子供がいる離婚は全体の58%
離婚を検討するうえで最も慎重になるのが、子供がいた場合、特に未成年の子がいる場合でしょう。実際に、「子が成人するまでは離婚を見送る」という方は多くいます。
しかし若年層の離婚割合が多いことからもわかるように、未成年の子がいる夫婦の離婚は少なくありません。
2016年の調査では、離婚総件数21万6798組のうち、未成年の子がある離婚の数は12万5946組(58%)と、未成年の子がない離婚の件数を上回っています。
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未成年の子がいる離婚件数
※厚生労働省資料(PDF)より抜粋
上記のデータを見ての通り、日本では未成年の子供がいる夫婦の離婚件数はここ数十年で倍増しています。
さらに離婚の件数自体が3倍近く増加しているのも関係しているでしょう。
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離婚で迷ったら弁護士に相談を
離婚が特別なことではなくなりつつある日本ですが、実際の離婚率はそれほど高くありません。そのため、離婚に関して相談をできる場もいまだ限られています。
子供がいる夫婦の離婚、感情のもつれからくる離婚では、第三者のアドバイスが不可欠です。円満に離婚をする予定であっても、専門家のアドバイスを一度は受けておくことをおすすめします。
離婚を検討している方、離婚に関する悩みや迷いがある方は、弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。
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