離婚は子どもが自立(成人)するまで待つのが最善?それぞれのメリットとデメリットを徹底解説!
最近では離婚をせず、あえて「別居」という方法を選ぶ夫婦が増えています。その離婚をしない理由として、「子どものため」と答える方が多く、お子さんが自立(=20歳になる、社会人になる等)したタイミングで正式に離婚をすると言います。
実際に、未成年のお子さんがいらっしゃる場合、誰が子どもを守り育てるのか「親権者」を決めておかなければ、離婚届は受理されません。
本記事では、お子さんの自立をキッカケに離婚をする「メリットとデメリット」について考えてみましょう。また、お子さんにどのようなタイミングで離婚話を切り出すべきか「ふさわしいタイミング」についても合わせて説明します。
離婚は夫婦だけの問題では無い「子どもの人生を左右する」大きな出来事
お子さんが成人するまで、離婚をしない夫婦は多いです。夫婦が離婚をしたとしても(夫婦ともに)お子さんの「親であること」には変わりがありません。このため「子どもの生活安定を第一」に離婚を考える必要があります。
また法的にも「子どもの親権者が決定」されるまでは、夫婦の離婚は認められません。これはお子さんが複数いらっしゃる場合も同じです。それぞれの親権者が決まるまでは、離婚届は受理されないので注意してください。
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離婚によって、子どもの利益が害されないようにする
離婚によってお子さんの利益を害することがあってはなりません。お子さんが成人するまでは、親権者ががお子さんを守り育てる必要があります。また、離れて暮らすことになった親の側も、子どもの成長に必要な費用(養育費)を負担する義務があります。
離婚と子どもの「親権者判断の目安」について
お子さんの意思を尊重するとはいえ、お子さん自身「これから誰と一緒に暮らしたいのか」決断をするのは難しいことです。
また、親の側も「どのように親権者を決定すべきか」頭を抱えることになるでしょう。
そこで本項では、お子さんの成長別に見る「親権者判断の目安」について紹介します。親権者判断が難しい場合は、参考にしてみてください。
お子さんの成長に合わせた「親権者判断の目安」
年齢 | 判断の目安 |
---|---|
胎児 | 胎児については、原則母親が親権者になる。ただし、出産後の話合いによって夫が親権者になることも可能。 |
0歳〜10歳まで | 母親の愛情が最も必要な時期である。このため、親権者を母親にすることが多い。 |
10歳〜15歳まで | 成長期になるので子どもの精神的、肉体的な発育状態を考慮すること。監護状況や子どもの意思なども含めて親権者を判断する。 |
15歳〜20歳まで | 子ども自身に判断の能力があるため、子どもの意見を聞いて意思を尊重すること。 |
20歳以上 | 成人をしているので親権者を決める必要は無い。 |
お子さんの年齢が上がるにつれて、より本人の意思を尊重して、親権者を決定する必要があります。ただし、20歳以上になると(成人をしているので)親権者を決める義務は無くなります。
子供が自立(成人)してから離婚するメリットとデメリット
次に、離婚のタイミングをお子さんが成人するまでにする「メリットとデメリット」について説明します。
離婚を「子どもが自立するまで」待つメリット
離婚を「子どもが自立するまで」待つメリットは、お子さんが成人するまで経済的にも安定した生活が送れることです。また、両親がいるという安心感は、お子さんの成長にも良い影響が現れてきます。
ただし「成人するまで一緒にいる」と決めた場合は、お子さんの前で言い合いをしたり、喧嘩をするのは絶対に止めましょう。
また、お子さんは(私たちが)想像する以上に、夫婦の思いを察しています。このため、嫌々一緒にいると、かえってお子さんの気持ちを傷付けてしまうので注意してください。
離婚を「子どもが自立するまで」待つデメリット
離婚を「子どもが自立するまで」待つデメリットは、お子さんに余計な心配や不安を与えてしまうことです。最も避けたいのは、お子さんが「自分のせいで両親が離婚できないのでは…」と考えてしまうことです。
もし、家庭内で喧嘩や言い争いが絶えないのであれば、別居をしてお子さんの生活を優先するようにしましょう。
また、お子さんに心理的負担を掛けるようであれば、無理矢理一緒にいるのではなく(お互いの幸せの為にも)離婚について前向きに考えてください。
補足:離婚をした方が、子どもにとって良いケースもある
離婚をした場合(親御さんがいないことで)、お子さんは寂しい思いをされるでしょう。しかし、喧嘩が絶えない家庭にいるよりは、両親が前向きに明るく過ごしている方が、精神的苦痛を感じず、心穏やかに過ごせるはずです。
また、お子さんに責任を負わせる(例:あなたのせいで離婚できないと、本人に文句を言う等)のだけは絶対に止めてください。親として、お子さんを傷付けるような発言や行動は、絶対に慎んでください。
離婚をする前に親権と養育費について必ず話し合うこと!
お子さんがいらっしゃる方は(離婚をする前に)きちんと養育費の問題を話し合っておいてください。これは、それぞれの夫婦が再婚した場合も同じです。
新しいパートナーを見つけたからと言って、前の配偶者との間に生まれた子どもの養育を放棄するのは(親として)許されないことです。
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親の都合で子どもを傷付けないようにする
両親の勝手な都合で、子どもを苦しめたり困窮されるようなことだけは、絶対に止めましょう。もし離婚をした相手から養育費が支払われない様な場合は、弁護士に相談をする必要があります。
また事前に、親権や養育費の件でトラブルが起こらないためには、初めから離婚を専門にする弁護士に相談しておくことです。
弁護士に相談するメリットは、公正証書などの作成方法を教えてくれるほか、調停や離婚裁判を行う際、離婚準備や話合いの進め方、調停や離婚裁判の手続きをスムーズに進めてくれる点です。
弁護士が味方に付いていれば、離婚裁判でも不利になることはありません。養育費だけでなく慰謝料や財産分与の問題も含め、離婚問題に強い弁護士に相談しておくと良いでしょう。
親権とは、子どもを守る権利のこと
ここで改めて『親権』について考えてみましょう。親権とは、親が子どもを育てる権利ではありません。親権とは「子どもの利益を守る」ための権利を指します。
「子どもの利益」とは、生きていく上で必要なお金や家財だけでなく、子どもが持つ権利も含まれています。
親権者を決定する場合には、以下『親権者を決定する5つのポイント』の各ポイントをチェックしながら「誰が子どもを守り育てるのか」考える必要があります。
親権者を決定する5つのポイント
- 子ども一人一人に親権者が必要になる
- 子ども一人につき、親権者はひとりだけ
- 胎児の親権者については、母親がなること
- 親権者を決めなければ、離婚は受理されない
- 親権決定後も、重大な理由については変更できる
いかがでしょうか? 親権者については、子どもの意思はもちろん、これまでの監護実績、周囲の助け(祖父母や親族の協力など)のほか、子どもに対する愛情などを総合的に判断の上、決定してください。
参考:子供が親権を選べる年齢|親権問題を弁護士に相談すべき理由とは?
離婚後に親権が無くても子どもを引き取ることが可能
離婚後の親権争いで揉めた場合には、親権者とは別に(もう一方の親を)監護者とする場合があります。これは「親権の要素」を二つに分けて、両親それぞれが子どもの世話をできるようにしたためです。
子どもに監護者を置くのはリスクが大きい
ただし、監護者を置くことついては「子どもに不利益が起きやすい」などの理由でオススメはできません。
また、離婚届には親権者について書く欄はあっても、監護者について書く欄が無いなど法的にも曖昧な点が多いです。
もちろん、親権者と監護者を置く場合には「公正証書」を作成しておくというのも一つの手ですが、金銭以外の強制執行について(公正証書は)無力となるため注意が必要です。
もし、親権者の問題が決まらない時には、家庭裁判所に「子の監護者の指定調停」を申し立てることになります。この場合は(できるだけ早く)信頼できる弁護士に、親権者と監護者の件について相談をしておいてください。
子どもの監護者になれるのは、父母だけじゃない
子どもの監護者になれるのは、父母だけではありません。以下の人たちは、お子さんの監護者として指定できます。
子どもの監護者になれるのは、こんな人
- 父母
- 祖父母
- 両親の兄弟や姉妹など、親族
- 児童福祉施設などの第三者
親権者については、お子さんへの愛情はもちろん「今の生活環境が変わらないかどうか」が重要視されます。
また、一緒に住んでいるかどうかも親権者を決める上での重要なポイントです。子の監護者選定についても同様に、監護実績やお子さんに意思などを総合的に判断し、決定を行ってください。
補足:約16.3%の子供が貧困に直面しているという現実
平成25年(※調査実施は平成24年の一年間)に厚生労働省が調査したところによると、日本の約16.3%の子どもが貧困に直面していることが明らかになりました。
【貧困率の状況】
平成 24年の貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)は 122万円(名目値)となっており、「相対的貧困率」(貧困線に満たない世帯員の割合)は 16.1%となっている。また、「子どもの貧困率」(17歳以下)は 16.3%となっている 。「子どもがいる現役世帯」(世帯主が 18歳以上 65歳未満で子どもがいる世帯)の世帯員についてみると、15.1%となっており、そのうち「大人が一人」の世帯員では 54.6%、「大人が二人以上」の世帯員では 12.4%となっている。
子どもの貧困率とは「平均所得の半分以下で暮らしている」18歳未満の子どもを数値化したものです。戦後の日本は「豊かになった」と言われていますが、今でも約16.1%の子どもが貧しい生活を強いられており、離婚などが原因で貧困に陥る子どもの割合は増加していると言います。
離婚後養育費の合意に達している夫婦の割合は「約6割」
残念なことに、離婚後養育費の合意に達している夫婦の割合は「約6割」となっています。残りの4割は養育費の取り決めがきちんと行われず、お子さんや母親まで「貧困に陥るケース」が増えているのです。
離婚後のトラブルとして、最も多いのは「養育費の問題」です。(中略)実際に、離婚後の養育費について「合意が得られた件数」は、全体の6割止まりと言います(※ 総務省が2015年に調査、結果は2016年に発表)。この結果、養育費の貰えないひとり親家庭では、子どもを育てることが難しくなり「貧困化」に陥りやすくなるのです。
ただし離婚届を提出した後でも遡って、養育費請求の申し立てが行えます。この場合も信頼できる弁護士に「養育費請求」の方法について相談してみてください。
また、厚生労働省においても「養育費に関する相談支援センター」を設けて(※ 厚生労働省の委託事業)相談に応じています。みなさんも弁護士相談と併用し、国の支援制度を上手に活用してみてください。
なお「養育費相談支援センター」のサイト内では、全国の相談機関について詳しく紹介しています。このほか、詳しい養育費や親権の問題については、信頼できる弁護士に相談されると良いでしょう。
離婚を時期が遅れる場合は、少しずつ「離婚準備」を始めよう
お子さんの自立などを待つ都合で、離婚時期が遅れるような場合は、少しずつ時間を掛けて「離婚準備」を始めましょう。
お子さんが成人をされる頃には、夫婦の年齢も40代後半から、定年の時期に差し掛かることになります。近頃は熟年離婚をされる方も増えていますが、老後の蓄え(=生活に必要な費用)が無ければ、そうそう離婚はできません。
夫の年金がもらえるのは、婚姻中の厚生年金だけ
一般的に「離婚をしても夫の年金が半分もらえる」と考える方も多いのですが、離婚後に受け取れるのは「婚姻期間中の厚生年金」に限定されます。このため国民年金については「分与の対象外」となるので注意しましょう。
また、歳を取るにつれて再就職などの機会は少なくなります。熟年離婚を考えておられる方は、まず「離婚後の収入や財産確保」について考えるようにしてください。
離婚までの時期は、別居をするという選択肢もアリ
離婚までの時期は、夫婦が一緒にいる必要はありません。お子さんが自立できるまでは、別居して過ごすという選択肢もあります。
別居をされる方は、別居や週末婚という選択肢についても考えてみましょう。
離婚タイミングを子供の自立(成人)に合わせるメリットデメリットまとめ
今回は、お子さんが自立するまで離婚をしないメリットとデメリットについて解説しました。お子さんがいらっしゃる方は、親権の問題も含めて「離婚をすべきかどうか」じっくり考えてみてください。
また、弁護士に相談をすれば、別居中の婚姻費用請求やその他、親権や財産分与についても的確なアドバイスを与えてくれます。
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