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弁護士会照会とは?得られる情報や費用、注意点を紹介

弁護士会照会とは?得られる情報や費用、注意点を紹介

「弁護士会照会」という言葉をご存知でしょうか?弁護士に調査や問題解決を依頼したときにとても役立つシステムです。

このページでは弁護士会照会の内容や得られる情報、費用、注意点などについてご説明します。

弁護士会照会とは?

弁護士会照会とは

弁護士会照会とは、弁護士が依頼を受けた際に、事実を証明するために必要な情報を官公庁や企業、団体に問い合わせをすることを指します。

これは弁護士法という法律で定められています。

弁護士会照会の目的

目的は、依頼を受けた弁護士が事実に基づいて問題をスムーズに解決するためです。

ただし、照会ができるのは弁護士会が必要と認めた場合に限定されています。

弁護士会照会が行われる流れ

弁護士会照会は弁護士が単独で行うのではなく、「日本弁護士連合会(弁護士会)」が必要に応じて行います。

弁護士会照会は次のようなステップで進められます。

誰が 誰に 何をする?
依頼人A 弁護士B 問題解決の相談をする
弁護士B 弁護士会 依頼人Aから受けた案件で情報や証拠が必要な場合に所属する弁護士会に「照会申出書」を提出する
弁護士会 弁護士会 弁護士Bから提出された「照会申出書」を審査する
弁護士会 官公庁
企業
団体など
必要な情報を照会する
弁護士会 弁護士B 弁護士会照会で得た情報を提供する

どんなケースでも照会が可能というわけではありません。

弁護士会で審査をした結果、照会内容が不適当と判断されれば照会は認められないことになっています。

弁護士会照会で得られる情報

弁護士会照会では、弁護士が依頼を受けた案件の解決に必要とされる次のような情報を得ることができます。

いくつかの例をご紹介します。

照会先 得られる情報
携帯電話会社 電話番号や携帯料金の引き落とし口座番号・クレジットカード情報
生命保険会社 保険の加入状況(契約日、契約内容、保険金、受取人など)
銀行 預金残高や取引状況
証券会社 保有している株の銘柄や保有株数など
勤務先 給与や住所など
医療機関 受診した医療機関名、治療歴、該当する部位、経過、後遺症の有無、通院期間など
警察署 事故の実況見分の記録など(事故の過失割合を調べるため)
刑務所 服役していた刑務所名と服役期間など
入国管理局 出入国の記録
学校 子どもの在籍状況や住所など

このようにかなり広範囲で、しかも一般の人では調べられないような情報が得られます。

個人が弁護士会照会をすることは可能?

自分の身に何か問題が起こり、解決したいと思っても、なかなか思うように進められないのが現実です。

例えば「夫(または妻)が不倫しているようだ」という場合に、不倫相手に内容証明郵便を送付したいが住所や氏名がわからない、勤務先も知らないということがあります。

それを自分ひとりで調査しても、正確な情報は得られないでしょう。このようなケースでは個人が直接官公庁や企業に情報を照会することはできませんが、弁護士に依頼し、弁護士会が必要と判断すれば情報を集めることができます。

弁護士会照会は案件解決に必要な場合のみ

弁護士会照会はむやみに行うものではありません。弁護士会が審査した上で判断します。

そのため、依頼人が「夫の浮気相手の住所と電話番号を突き止めて怒鳴り込みたい」という理由では認められませんが、「夫の浮気相手にも慰謝料を請求したい」という正当な理由があり、弁護士にそのことを依頼すれば照会が可能となります。

依頼を受けた弁護士は、この手続きで得た照会情報をもとに慰謝料請求についても相手側と交渉してくれます。

弁護士会照会の費用

弁護士会照会の費用は一般的に8000円~1万円程度ですが、地域の弁護士会によって異なります。

また、弁護士会照会だけを依頼することはできず、その前提として弁護士に案件解決の依頼をする必要があります。つまり、弁護士費用も必要となります。

問題解決に必要なら弁護士に照会を依頼すべし

「配偶者が不倫相手の家に同居しているようだが住所がわからない」「生命保険の受取人を自分(妻)から不倫相手の女性に変更したようだ」などの調査と解決を望む場合は、弁護士に案件解決を依頼すると同時に弁護士会照会を依頼してみましょう。

探偵に依頼するよりも確実に情報が得られます。

弁護士会照会を求められた場合の注意点

次に弁護士会から情報を提供するように求められた場合の注意点を見ていきましょう。

ここまででご説明したように弁護士会照会では住所や電話番号の他に、預金口座や保有する株、治療歴、さらには事故や逮捕に関することまでかなり突っ込んだ個人情報を得ることが可能です。

そこで心配になるのが個人情報の保護ですが、それを理由に照会(情報提供)を断ることはできるでしょうか?

弁護士会照会は回答の義務がある

自分が担当者だったら「むやみに個人情報を公開してはいけないのでは?」と不安になりますよね。

ところが、弁護士会からの照会には回答しなければいけないという義務があるのです。

近年は個人情報保護の観点から照会を断る企業などがあるようですが、それは法令違反とみなされるので注意が必要です。

弁護士会照会の拒否が法令違反となるケース

例えば、銀行に弁護士会照会がありましたが、銀行側は個人情報保護を理由に回答を拒否しました。

これに対して銀行側は報告義務違反だという判決が出されています。その理由は弁護士ならではの職務の特殊性や使命があるからです。

つまり、弁護士の職務は社会正義を実現することにあり、弁護士には公的性格があることから、その業務(使命)を遂行するために弁護士照会は必要であり、照会を受けた企業・団体などは協力する義務があると判断されるのです。

なお、弁護士会照会に応じない場合、特に罰則は設けられていませんが協力するようにしましょう。

個人情報保護の観点からも問題はない

弁護士会照会を受けたときに気になるのが「個人情報保護」という問題です。

個人情報保護法では「本人の同意を得ないで個人情報を第三者に提供してはならない」とありますが、除外事由に「法令に基づく場合」と定められています。

【個人情報保護法】

第二十三条 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。

「次に掲げる場合を除く」の第一にあげられているのが「法令に基づく場合」です。

この「法令に基づく場合」というのが「弁護士法23条の2」で定める弁護士会照会に該当するため、企業・団体・官公庁が本人の同意を得ずに個人情報を提供しても問題はないということになります。

また、弁護士会が照会を行う際には、事前に弁護士が照会を求める理由や内容を弁護士会に申し出て、弁護士会からOKが出ています。そのことからも、弁護士会照会には問題がないと判断できるのです。

これらの点から、企業に勤める人が弁護士会から照会を求められた場合は応じる必要があると言えます。

なお、このように照会を拒否したり、個人情報漏えいを心配したりするケースが多い背景には、「個人情報は保護しなければならない」という意識が先行していて、弁護士会照会の役割などが十分に伝わっていないという問題もあるようです。

弁護士会照会まとめ

問題解決の依頼を受けた弁護士が、案件に関する証拠や相手の住所、状況などの情報を集めたいときに弁護士会を通して官公庁や企業、団体に情報提供を求める(=照会する)ことを「弁護士会照会」と言います。

なお、弁護士会照会を受けた側は応じる義務があり、個人情報保護の観点でも問題はないので協力するようにしましょう。

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