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離婚時のペットの所有権(親権)は?引き取るため知るべき9つの知識

離婚時のペットの所有権(親権)は?引き取るため知るべき9つの知識

夫(妻)とは別れたいが、かわいいペットとは離れたくない!と多くの方が考えるはずです。

そこで当記事では離婚時におけるペットの所有権(親権)や、引き取り親となるために知るべき9つの知識を紹介します。

離婚時にペットの所有権(親権)はどうなる?

ペット_離婚_所有権_どうなる?

夫婦に子どもがいて離婚する場合はどちらかが親権を持ち、子どもを養育します。しかし、どれだけ愛着を持っていようともペットは法的には「モノ」としてみなされます。

そのため、結論から言うとペットには親権のようなものはありません。ただ、「モノ」としての所有権はあります。

ペットの所有権はいつから飼っていたかが重要!

ペットの所有権はいつから飼っていたかが重要になります。

仮に結婚前から飼っていた場合は飼い始めた人の「特有財産」となります。つまり、妻が結婚前に飼っていた場合は妻が所有権を持ちます。

一方、結婚後に飼い始めた場合は、「夫婦共有の財産」となりますので、財産分与の対象となります。

離婚においてペットは財産分与の対象!

「ペットが財産分与の対象」と聞くと、驚く人が多いかも知れませんが、前述した通りペットは生きていても法律上は「モノ」として扱われます。

民法第85条では「物とは有体物をいう」とあり、「モノ」には所有権があります。(有体物とは空気など形がないものとは違って、体のあるものを指します)

つまり、ペットは離婚時には財産分与の対象になるのです。

売却かどちらかが引き取るか

ペットを結婚後に飼い始めた場合は財産分与の対象になりますが、生き物なので貯金のように等分に分けることができません。

そこで方法としては次の2つがあります。

1. 売却して売却益を折半する
2. どちらかが引き取り飼い続ける

よほど希少価値のある動物で高く売れる場合、かつ夫婦がともに売却してもよいという場合以外は売れないことが多いです。

代わりに引き取れなかった方は、財産分与において金銭や資産を多めに受け取れる傾向があります。

よって、以下ではどちらかが引き取るケースを前提に流れや注意点をご説明します。

離婚時のペットの引き取りを決める上での注意点

離婚時にペットをどちらが引き取るか…は話し合いで決めますが、その際の注意点を確認しておきましょう。

  • エサや注射代、病気やケガの治療費はどちらが負担するのか
  • 引き取らない方は離婚後に面会できるのか

ペットの購入費用をどちらが出したかは問題ではない

「このペットは俺(私)がお金を出したんだから、自分が引き取る!」と主張したい気持ちはわかります。

しかし、財産分与では、どちらが購入費用を出したのかは問題ではありません。例えば家や車の購入費用を夫が出したとしても、財産分与では折半にします。

これは、法律的には購入費用を稼げたのは妻(夫)の支えがあったからという考えに基づくからです。

なので、ペットの購入費用を夫が出したからといって、離婚時の財産分与で夫が有利になることはありません。夫婦で話し合って決めましょう。

離婚時のペット引き取りで裁判になることも

「たかがペット」と思う人がいるかも知れませんが、離婚時にどちらがペットを引き取るかで裁判になることもあります。

ペットの引き取りで裁判になった事例

いくつか事例をご紹介します。

ペットとの面会を許してほしいと交渉したケース

パート主婦のMさんは職場の男性との不倫が発覚し、夫と離婚することになりました。自分が悪いので家を出るのは仕方がないと思いましたが、大切に育てていたペットと別れるのがつらくてたまりません。

怒りが収まらない夫は「ペットに会うことも許さない!家には二度と戻って来るな」と主張します。どうしてもペットと会いたいMさんは弁護士に相談し、離婚の条件として月に数回、ペットとの面会を希望することを伝えて交渉しました。

そのほかの離婚条件も含めて裁判になりましたが、結果的にペットとの面会は許され、定期的に会いに行けるようになりました。

子どもとペット両方の世話が負担になるケース

2人の子どもを抱えて離婚したS子さんは、結婚後に飼い始めたペットも引き取りたいと主張しました。

しかし、子どもの年齢がまだ小さいので、S子さんは保育所に預けて働かなければなりません。夫は離婚の話し合いで「子育てとペットの飼育の両立は難しいから、ペットは自分が引き取る」と主張します。そこでS子さんは弁護士に相談して交渉を続けました。

最終的に夫の主張通りペットは夫が引き取ることになりましたが、S子さんと子どもは週に1回、ペットと面会できるようになりました。

まずは話し合うことが大切

離婚時にどちらがペットを引き取るのかは、それぞれの状況によって異なります。

まずは話し合うことが大切ですが、ペットの所有権をめぐってどちらも譲らない場合は弁護士に相談してみましょう。

その他の離婚の条件も合わせて解決できるのでおすすめです。

離婚時の話し合いでペット引き取りを有利にする4つのポイント

離婚時に子どもの親権をどちらが持つかで裁判になった場合、子どもに対する愛情だけでなく、子どもを養う経済力や親の健康状態、住宅事情、環境の変化が子どもの生活に影響しないかなど、様々な要素が重要になります。

ペットの場合も話し合いがこじれた場合は調停や裁判で決めることになりますので、次で紹介するペットの引き取りで有利になるポイントを知っておきましょう。

  1. 配偶者よりも自分になついている
  2. これまで自分の方がペットの世話をしてきた
  3. 離婚の環境がペットの飼育にふさわしい(ペット可能のマンションを契約したなど)
  4. ペットを養育するだけの収入がある

上記を主張することで、ペットの引き取りで有利に立つことができます。

ただ、「愛情は持っているが、実際はあまり面倒は見ていない」、「飼いたい気持ちはあるが、収入が少ない」「早朝から深夜まで働いていて散歩などができない」などの現実的な問題があると、条件を満たしていても話し合いでは不利になります。

自分が引き取りたいと主張する場合は、それなりの環境を整えることが大切です。

引き取った後のペットの養育費について

ペットは生きている限りエサや予防注射、病気やケガの治療費など費用がかかります。しかし、財産分与した場合は離婚した相手にペットの飼育費用を請求することはできません。

本来、財産分与で所有したものの維持費用は受け取った人が負担すべきものです。例えば財産分与で住宅を受け取ったら固定資産税は自分が支払いますし、車のガソリン代や車検代、自動車税などは自分が負担します。

そのため、ペットも財産分与として自分が引き取ったのなら、費用や世話はすべて自分が負担しなければなりません。

ただ、相手がペットへの愛情からエサ代を負担したいと申し出た場合は受けても構いません。

相手の面会交流を認めることも大切

夫婦のどちらもペットに深い愛情を持っている場合は、あなたが引き取ると決まると相手はさびしく感じてしまいます。

その際には相手の面会交流を認めてあげましょう。

ただし、「会わせてあげるからエサ代(ペットの養育費用)を半分出して」などと請求してはいけません。この点も気をつけてください。

離婚時のペットの引き取り(親権)まとめ

ペットは人ではなく、モノとしてみなされるため離婚時には財産分与の対象になります。

ただ多くの方はその愛情故に話し合いの際に揉めることが多いため、お互いに「自分が引き取る」と言って話し合いがまとまらない場合は、弁護士に相談して解決を図るといいでしょう。

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