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財産分与とは?離婚時の対象や算定方法、時効期間、手続きを紹介

財産分与とは?離婚時の対象や算定方法、時効期間、手続きを紹介

離婚にまつわるお金というと慰謝料や養育費を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、ある意味では財産分与が最も重要と言っても過言ではありません。

そこで当記事ではそもそも財産分与とはなんなのか解説しつつ、離婚時の財産分与の対象となるものや分け方、算定方法や手続きを詳しく紹介します。

離婚時の財産分与とは

離婚_財産分与_とは

離婚における財産分与とは、夫婦が結婚してから築いた財産を分けることです。これには預貯金だけでなく家や自動車、家具などが含まれます。

財産分与と聞くと多くの方は富裕層が行う「大金」や「資産」の分与イメージを持ちますがが、結婚してから夫婦ふたりで得たものは財産は基本的に全て財産分与の対象となり、離婚時に分けます。

また、夫婦のどちらかだけが働いて買ったものであっても、配偶者の協力があったから得られたという考えに基づき、無職(専業主婦)でも離婚時には財産を受け取ることができるケースもあります。

財産分与は有責性にかかわらず行うもの

離婚の有責性とは、離婚の原因を作った相手のことを指します。

例えば不貞行為(不倫)やDVがあり、それが原因で離婚になった場合はそういった行為をした方を「有責配偶者」といいます。

DVや不倫をされた方にすれば、「あなたが不倫して私たちは離婚することになったのよ。それなのに財産まで取ろうとするワケ?」と怒りを感じるでしょうが、財産分与に関しては有責性は問われず折半(2分の1)にします。

不倫の場合、されたことによる精神的苦痛に対して慰謝料を請求しますが、財産分与はそれと別であるということを理解しておきましょう。

ただし、慰謝料の意味合いも含めた財産分与の場合は有責配偶者の取り分は少なくなります。

離婚の財産分与には4つの種類がある

ひと口に「財産分与」と言っても、その内容は次の4種類があります。

  1. 清算的財産分与
  2. 扶養的財産分与
  3. 慰謝料的財産分与
  4. 婚姻費用の清算としての財産分与

ひとつずつ見ていきましょう。

清算的財産分与

一般に財産分与といえばこの清算的財産分与を指します。

結婚してから夫婦で築いた財産がすべて対象になり、分け方の基本は折半(2分の1)にします。

専業主婦でも同等に分ける

どちらかが専業主婦(主夫)で収入を得ていなくても、財産の半分を受け取る権利があります。

例えば夫が一家の大黒柱として収入を得て、妻は専業主婦として家庭を守っていたとします。この場合、夫が安心して働けるのは妻が家事や育児を一手に引き受けて支えてくれたから、と判断されます。

そのため、離婚時に財産は平等に分けることになるのです。

扶養的財産分与

離婚することで夫婦どちらかの生活が苦しくなる場合に、離婚後のその人の生活を支える目的で財産分与することを「扶養的財産分与」といいます。

一般的には収入が多い夫から、妻に財産を多く分与するケースが多いです。

例えば専業主婦で年齢を重ねており離婚後に仕事に就くのが難しい場合や、病弱などの場合に扶養的財産分与を行います。

離婚しても収入が得られる場合は該当しない

ただし、専業主婦でも資格や技術がありすぐに働ける、実家に助けてもらえる、離婚後すぐに結婚するなどの場合は扶養的財産分与は該当しません。

慰謝料的財産分与

有責配偶者が慰謝料としての意味合いで財産分与をすることがあります。

通常、慰謝料は金銭で支払いますが、離婚後に妻が住むところがない場合などは住宅の所有権を要求し、受け取るケースなどがあります。

婚姻費用の清算としての財産分与

婚姻期間中に夫から生活費をもらっていない場合に、その分を清算するという意味で財産分与を行うことがあります。

よく見られるのは「離婚していないが別居している」というケースです。別居していても夫婦は婚姻費用(生活費)を分担する義務があります。

しかし、不倫相手の家に住むなどして別居状態になると、配偶者に生活費を渡さないということが多いのです。

そこで、結婚しているのに婚姻費用(生活費)を渡さない時期があれば、その期間の分を財産分与という形で請求できます。

婚姻費用算定表で計算

婚姻費用は収入の多いほうが少ない方に支払いますが、その金額は裁判所が提示している「婚姻費用算定表」に基づいて計算します。

婚姻費用の算定は子どもの年齢と子どもの数、夫と妻それぞれの年収で計算します。

例えば14歳以下の子どもが2人いて、夫の年収が500万円、妻の年収が100万円の場合、1ヶ月の婚姻費用は8~10万円を支払います。

参考:裁判所公式サイト

離婚時の財産分与の対象になるもの

離婚_財産分与_家_車

「わが家には財産なんてない!」と思う人が多いかも知れませんが、離婚時の財産分与は次のように多くのものが対象になっています。

婚姻中に築いたものが財産分与の対象

夫婦が結婚してから築いたものや得たものすべてが財産分与の対象になります。

  • 現金、預貯金
  • 住宅・土地
  • 有価証券や投資信託
  • 自動車
  • 家電製品
  • 家具
  • 生命保険(学資保険や生命保険など)
  • 退職金
  • 年金

片方の名義でも財産として分ける

預貯金や有価証券は個人名義です。

そのため夫婦どちらかの名義になっていますが、夫婦共有の財産となり財産分与の対象になります。

財産の評価額を計算する

土地や家、自動車などは購入時よりも評価額が下がっていることがありますが、財産分与では離婚時の評価額を調べて、折半にします。

生命保険は離婚時の解約返戻金を計算し、折半にします。

補足:マイナスの財産はどうする?

財産には住宅ローンや自動車ローンなどマイナスのものもあります。その際にはプラスの財産からマイナスの財産を差し引いて計算します。

なお、ギャンブルや浪費で作った借金は夫婦共有の財産ではないので、財産分与の対象にはなりません。

特有財産は財産分与から除外

財産分与に含まれない財産に「特有財産」があります。

結婚する前から所有していた財産や結婚後に相続して得た財産は夫婦共有の財産ではなく「特有財産」と呼ばれ、離婚時の財産分与から除外されます。

注意点;へそくりも財産分与の対象に!

配偶者に内緒でこっそり貯めていたへそくりも財産分与の対象になります。

くわしくはこちらでご説明していますので、へそくりがある方は目を通しておくことをオススメします。

離婚時の財産分与の算定方法

現金や預貯金はその金額を折半すればいいのですが、そうでないものはどのように金額を算出すればいいのでしょうか。

離婚時に分与する財産の算定方法は、離婚時の価値(査定額)で計算します。

財産別の算定方法

次のように財産によって算定を行います。

財産 算定方法
住宅や土地など不動産 評価額を査定してもらう
自動車 査定額を出してもらう
保険料 解約返戻金を分ける
解約しない場合は解約返戻金の2分の1に相当する金額を相手に支払う
退職金 ・受け取った退職金が残っている場合はその額を折半する
・すでに使っている場合は財産分与の対象にはならない
・まだ退職金を受け取っていない場合は受け取れるはずの金額を折半する
(ただし、離婚時から退職金受け取りまでの年数などで変わる)
年金 婚姻期間中に納付した厚生年金保険料を按分する

財産分与として現物を渡す方法も

住宅や自動車などは売却してその金額を折半することもありますが、そのまま家に住み続けたい、自動車に乗りたいという場合は売却せずに現物を配偶者に渡す方法もあります。

現物を受け取った方は、査定額(評価額)の2分の1を相手に支払うことで財産分与をします。

ただその際は税金が発生するケースもありますので注意して下さい。

離婚時の財産分与の手続き方法

財産分与を行う流れをご紹介します。次の順に進めていきましょう。

  1. 夫婦が所有している財産すべてをリストアップする
  2. 何をどのように分けるかを夫婦で話し合う
  3. 折り合いがつかない場合は家庭裁判所で調停をする
  4. それでもまとまらない場合は裁判で決める

最初のリストアップをするときには、隠し財産(へそくりなど)がないかよく調べておきましょう。

離婚の話し合いで財産分与を決めるのがベスト

財産分与は離婚後にすることもできますが、「もう顔も見たくない」と思ったり、お互いに新しい人生を歩み始めていたりしてスムーズに話し合いの場が持てないことがあります。

離婚時にはどちらが家を出るか(どちらが家に残るか)、自動車や家電製品などはどちらが持つのかなどの話し合いをするので、その際に財産分与についても話し合うのがベストです。

財産分与の時効期限に注意

財産分与は離婚成立から2年という請求期限があります。

これを過ぎてしまうと時効として、財産分与の請求が困難になってしまいます。

上でも書いたように離婚後に相手と交渉するのは困難なケースが多いため、離婚の話し合いの段階で決める方がいいでしょう。

勝手に財産を処分されないための対策

相手の性格によっては、勝手に自動車を売却してしまう…などの心配があります。

その対策として、次の2つの方法があります。

  1. 調停が成立する前に、家庭裁判所に調停前の仮処分申請を出す
  2. 上記1の調停前の仮処分には法的拘束力がないため、裁判所に「財産分与請求の審判を申し立てる」と同時に「審判前の保全処分申請」を行う

1の「調停前の仮処分」を申請し、認められれば相手に対して財産を無断で処分しないように命じるなどの方法が取れます。

しかし、2で書いたように調停前の仮処分には法的拘束力がありません。

そのため、「審判前の保全 処分申請」をすると、裁判所が財産の保全の必要性があると判断した際は仮の処分差し押さえが可能です。

財産分与を含めた離婚の相談は弁護士に依頼するべき

離婚時には財産分与のほかに慰謝料や親権などさまざまなことを話し合う必要があります。

特に相手が素直に話し合いに応じない場合は離婚がなかなか成立しない、自分が損をするなどマイナス面が多いのが現状です。そのために裁判をするとなると、専門用語が多く時間もかかるので個人には困難です。

財産分与を含めた離婚全般の相談は、初期の段階から弁護士に相談しながら進めるのがおすすめです。

離婚時の財産分与のまとめ

結婚してから得た家や自動車、貯金などはすべて「夫婦の共有財産」となり、離婚時には「財産分与」として折半します。

そのため、財産分与は離婚時にほかの話し合いと同時に進めるのがベストです。

ただ相手が財産分与を拒否したり、財産を勝手に売却して密かに現金化しているケースも多いため、不安がある方は弁護士に相談しながら進めるといいでしょう。

最近では無料相談のできる弁護士事務所も多いので、ぜひ以下のリンクから最寄りの弁護士事務所を検索してみて下さい。

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