財産分与とは?離婚時の対象・割合・計算と期限5年・税金
「離婚したら、家や貯金はどう分けるの?」「専業主婦の私でも、財産をもらえるのかな」そんな不安を抱えて、この記事を開いた方もいるかもしれません。
最初に結論からお伝えします。財産分与とは、結婚している間に夫婦で築いた財産を、離婚にあたって公平に分ける制度です。名義がどちらであっても、専業主婦(主夫)であっても、原則として2分の1ずつ分けるのが基本。不倫やDVをした側からでも請求できます。
請求できる期間は、2026年4月1日施行の改正民法で離婚から2年→5年に延びました。あわせて、家庭裁判所が相手に収入や財産の情報を開示するよう命じられる仕組みも始まっています。
この記事では、財産分与の意味と種類、対象になる財産・ならない財産、割合と計算の手順、請求期限、税金、手続きの流れ、そして「財産分与をしない方法」まで、2026年10月時点の制度にもとづいて網羅的に解説します。
財産分与とは?離婚時に夫婦の財産を分ける制度
「財産分与」という言葉は知っていても、慰謝料や養育費との違いがあいまいな方は多いのではないでしょうか。まずは制度の基本から整理していきましょう。
民法768条が定める財産分与の意味
民法768条は、協議離婚をした者の一方が、相手方に対して財産の分与を請求できると定めています。調停離婚や裁判離婚でも同じように請求可能です。
ポイントは、「結婚中に夫婦が協力して得た財産」を分けるという点です。たとえ夫だけが働いて貯めた預金でも、妻が家事や育児で家庭を支えていたからこそ貯められたと考えるため、夫婦の財産として扱われます。
法務省の「りこんポータル」でも、夫の収入で買った夫名義の土地建物であっても、妻が家事などで支えていた場合は実質的に夫婦の財産にあたると説明されています。
慰謝料・養育費・年金分割との違い
離婚にまつわるお金は、それぞれ目的が異なります。混同すると請求し忘れたり、二重に計算してしまったりするので、表で確認してみてください。
| 項目 | 目的 | 請求できる人 |
|---|---|---|
| 財産分与 | 結婚中に築いた財産の清算 | 夫婦のどちらからでも(有責性は問わない) |
| 慰謝料 | 不倫・DVなどによる精神的苦痛の賠償 | 被害を受けた側のみ |
| 養育費 | 子どもの生活費・教育費 | 子どもを主に監護する親 |
| 年金分割 | 婚姻期間中の厚生年金記録の分割 | 夫婦のどちらからでも |
年金は財産分与ではなく「年金分割」という別の手続きで扱います。年金分割の請求期限も、2026年4月1日から離婚後5年に延長されました。
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財産分与は有責配偶者からも請求できる
「不倫をした夫が、財産まで半分持っていくなんて納得できない」と感じる方もいるでしょう。お気持ちはもっともです。
ただし、財産分与は離婚の原因を作ったかどうかとは関係なく行われます。不倫やDVの責任は、慰謝料という別の形で問うのが原則だからです。不倫をされた側は、財産分与で2分の1を受け取ったうえで、さらに慰謝料を請求できると考えてください。
財産分与の3つの性質(清算的・扶養的・慰謝料的)
法務省の説明では、財産分与には次の3つの性質があるとされています。どれが中心になるかで、分け方や金額が変わってくるでしょう。
- 清算的財産分与:夫婦が共同生活で形成した財産の公平な分配
- 扶養的財産分与:離婚後の生活保障
- 慰謝料的財産分与:離婚原因を作ったことへの損害賠償
清算的財産分与:基本となる「2分の1ルール」
一般に「財産分与」といえば、この清算的財産分与を指します。結婚から別居(または離婚)までに築いた財産を、原則2分の1ずつ分ける考え方です。
家庭裁判所の審判でも、共働きか専業主婦(主夫)の家庭かにかかわらず、2分の1ずつ分けるよう命じられることが多いと法務省は説明しています。
改正民法で「寄与の程度は原則相等しい」と明文化
2026年4月施行の改正民法768条3項では、家庭裁判所が財産分与を決めるときの考慮要素が条文に書き込まれました。財産の額、取得・維持への各当事者の寄与の程度、婚姻期間、婚姻中の生活水準、協力や扶助の状況、それぞれの年齢・心身の状況・職業・収入などです。
そのうえで、寄与の程度は「異なることが明らかでないときは、相等しいものとする」と定められました。これまで実務で定着していた2分の1ルールが、法律上もはっきりした形になったといえます。
扶養的財産分与:離婚後の生活が苦しい側を支える
長年専業主婦だった方が高齢で就職が難しい場合や、病気で働けない場合などに、離婚後の生活を支える目的で上乗せされるのが扶養的財産分与です。
例えば、結婚30年の専業主婦が離婚し、再就職のめどが立たないケースでは、清算的財産分与に加えて、一定期間の生活費相当額が考慮されることがあります。ただし、あくまで補充的な性質で、必ず認められるものではありません。
慰謝料的財産分与:慰謝料を含めて一括で解決する
不倫やDVが離婚原因の場合、慰謝料を財産分与に含めて一緒に清算することがあります。「慰謝料込みで自宅をもらう」といった合意が典型例です。
慰謝料的財産分与として解決した場合、あとから別に慰謝料を請求するのは難しくなります。離婚協議書には「慰謝料を含む」のか「含まない」のかを明記しておいてください。
補足:別居中の生活費(婚姻費用)が未払いのとき
別居中に生活費を渡してもらえなかった場合、その未払い分を財産分与の中で考慮してもらえることがあります。もっとも、別居中であれば婚姻費用分担請求の調停を先に申し立てるのが確実です。
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財産分与の対象になるもの・ならないもの
「うちには分けるほどの財産なんてない」と思っていませんか? 実際に書き出してみると、預貯金以外にも対象となる財産は意外と多いものです。
対象になる財産(共有財産)の一覧
結婚してから別居(または離婚)までの間に、夫婦の協力で得た財産は、名義を問わず「共有財産」として分与の対象になります。
- 現金・預貯金(夫名義・妻名義・子ども名義でも、夫婦の収入から積み立てたもの)
- 不動産(自宅のマンション・戸建て・土地)
- 自動車
- 株式・投資信託・NISA口座内の資産・暗号資産
- 生命保険・学資保険・個人年金保険(解約返戻金があるもの)
- 退職金(既に受け取ったもの、将来受け取る見込みが高いもの)
- 家具・家電・貴金属などの家財
- へそくり(配偶者に内緒で貯めた預金)
- 住宅ローン・車のローン・生活費のための借入(マイナスの財産)
名義が相手でも「実質的に夫婦のもの」なら対象
預貯金や車は、必ずどちらかの名義です。しかし財産分与では、名義ではなく「結婚中に夫婦の協力で得たか」で判断します。夫名義の口座に貯まった給料も、妻名義で契約した学資保険も、どちらも対象です。
子ども名義の口座についても、原資が夫婦の収入であれば対象になり得ます。お年玉や祖父母からの贈与を貯めたものは、子ども自身の財産として扱われるのが一般的です。
退職金・保険・株式はどう扱う?
形のない財産は、「いくらとして計算するか」が争点になりがちです。おおまかな考え方を表にまとめました。
| 財産 | 評価の考え方 |
|---|---|
| 退職金(受領済み) | 残っている額のうち、婚姻期間に対応する部分 |
| 退職金(未受領) | 退職が近く支給の見込みが高い場合、別居時に自己都合退職したと仮定した額のうち婚姻期間に対応する部分で計算することが多い |
| 生命保険・学資保険 | 別居時(または離婚時)の解約返戻金相当額。掛け捨て型は対象外 |
| 株式・投資信託 | 別居時または離婚時の時価 |
| 自動車 | 中古車の査定額。ローン残高があれば差し引く |
| 不動産 | 不動産会社の査定額や不動産鑑定評価額。ローン残高を差し引く |
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対象にならない財産(特有財産)
一方で、夫婦の協力とは関係なく得た財産は「特有財産」と呼ばれ、分与の対象から外れます。
- 結婚前から持っていた預貯金・不動産・車
- 結婚中に親や親族から相続・贈与された財産
- 別居後に自分の収入で得た財産
- 個人的な趣味やギャンブルのための借金(マイナス側)
- 衣類など、もっぱら一方が使う身の回りの品
特有財産でも「混ざる」と争いになる
例えば、親から相続した500万円を、生活費と同じ口座に入れて使っていた場合はどうでしょうか。口座の残高のうちどこまでが相続分かを証明できないと、全体が共有財産として扱われてしまうことがあります。
特有財産だと主張する側が、通帳の履歴や贈与契約書などで証明する必要があります。結婚前の通帳や相続の資料は、捨てずに保管しておいてください。
住宅の頭金を親が出した場合
自宅購入時に妻の親が頭金500万円を援助していたとします。この場合、頭金部分は妻の特有財産として扱い、残りの部分だけを2分の1にする、という計算をするのが一般的です。
マイナスの財産(借金・住宅ローン)の扱い
住宅ローンや教育ローンのように、夫婦の生活のために負った借金は、プラスの財産から差し引いて計算します。プラスの財産が借金を上回っていれば、差し引いた残りを2分の1にするのが基本です。
逆に、借金のほうが多い「債務超過」の状態では、分ける財産がないため、原則として財産分与は発生しません。ただ、借金を相手に半分負担させる義務までは認められないのが一般的です。
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別居後に増えた財産・減った財産
財産分与の対象は、原則として別居の時点で存在した財産です。別居後に夫婦の協力関係はなくなるため、その後に貯めた預金は対象外、別居後に使った預金も原則として別居時の残高で計算します。
「別居してから相手の口座残高が急に減った」というケースでも、別居時の残高を基準にできるので、慌てずに証拠を集めましょう。
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財産分与の割合は原則2分の1!例外になるケース
「夫のほうが収入が多いから、夫の取り分が多くなるのでは?」と心配している方も安心してください。収入の差は、原則として割合に影響しません。
専業主婦・パートでも2分の1が原則
家事や育児は、収入を得る仕事と同じように財産形成への貢献とみなされます。妻が専業主婦で収入がゼロでも、パートで年収100万円でも、分与の割合は原則2分の1です。
これは改正民法768条3項の「寄与の程度は相等しいものとする」という規定にも沿った考え方です。
割合が2分の1にならない主なケース
もっとも、寄与の程度が「異なることが明らか」な場合には、割合が修正されることがあります。
- 医師・経営者・プロスポーツ選手など、一方の特殊な才能や努力で高額な財産が形成された場合
- 一方が浪費やギャンブルで共有財産を大きく減らした場合
- 特有財産を元手に財産を増やした場合(元手の部分は分与対象から除く)
- 婚姻期間が極端に短い場合
経営者・医師の離婚で割合が争われる理由
例えば、夫が開業医で年収3,000万円、婚姻中に1億円の資産を築いたケースでは、「資産形成は夫の特別な能力によるところが大きい」として、妻の取り分が2分の1を下回ると判断されることがあります。とはいえ、こうした修正は例外であり、一般的な会社員家庭ではまず問題になりません。
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財産分与の計算方法と具体例
「結局、自分はいくらもらえるの?」が一番知りたいところですよね。計算の手順は、実はシンプルです。
計算の4ステップ
- 夫婦それぞれの名義の財産を、別居時点を基準にすべて書き出す
- 特有財産を除外し、共有財産だけを残す
- 共有財産のプラスからマイナス(借金)を引いて「純資産」を出す
- 純資産を2分の1にし、各自が既に持っている分との差額を清算する
具体例:共有財産1,500万円の夫婦の場合
例えば、次のような財産をもつ夫婦が別居・離婚するとします。
| 財産 | 名義 | 評価額 |
|---|---|---|
| 預貯金 | 夫 | 600万円 |
| 預貯金 | 妻 | 200万円 |
| 自宅(査定額2,500万円、ローン残高2,000万円) | 夫 | 500万円(差額) |
| 自動車 | 夫 | 100万円 |
| 学資保険(解約返戻金) | 妻 | 100万円 |
| 合計 | ― | 1,500万円 |
純資産は1,500万円なので、それぞれの取り分は750万円です。妻は自分名義の預貯金200万円と学資保険100万円(計300万円)を既に持っているため、夫から妻へ450万円を支払えば清算が完了します。
自宅を夫がそのまま持つなら、夫は自宅の差額500万円分を取得したことになります。このように、「誰がどの財産を持つか」を決めてから差額を現金で調整するのが一般的な流れです。
現物分割・換価分割・代償分割の3つの分け方
財産の分け方には3つの方法があり、組み合わせて使えます。
- 現物分割:車は夫、家財は妻、というようにそのまま分ける
- 換価分割:自宅や車を売却し、売却代金を分ける
- 代償分割:自宅を一方が取得し、相手にその2分の1相当額を現金で支払う
不動産を分けるときの注意点
自宅は金額が大きいうえ、住宅ローンが残っていると名義変更に金融機関の承諾が必要です。売却するのか、どちらかが住み続けるのかによって、必要な手続きや税金も変わります。詳しくは次の記事をご覧ください。
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財産分与の請求期限は離婚から5年(2026年4月改正)
「離婚のときはお金の話どころじゃなかった」という方も、まだ間に合う可能性があります。改正民法で、財産分与を請求できる期間が延長されたからです。
2026年4月1日以降の離婚は5年、それ以前は2年
裁判所の案内によると、財産分与請求調停・審判の申立ては、離婚の翌日から5年を経過するとできなくなります。ただし、2026年3月31日までに離婚した場合は、従来どおり2年です。
| 離婚した日 | 家庭裁判所に申し立てられる期間 |
|---|---|
| 2026年3月31日まで | 離婚の翌日から2年 |
| 2026年4月1日以降 | 離婚の翌日から5年 |
この期間は「除斥期間」と呼ばれ、時効のように中断や更新ができません。期限ぎりぎりになってから準備を始めると間に合わないおそれがあるので、早めに動いてください。
期限を過ぎたらどうなる?
期限を過ぎると、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることはできなくなります。相手が任意に応じてくれれば話し合いで分けることは可能ですが、強制する手段がなくなるため、現実には難しいでしょう。
離婚後に相手と連絡を取ること自体がストレスという方も多いはずです。できれば離婚届を出す前に財産分与を取り決めておくのが、最も確実な方法といえます。
財産分与に税金はかかる?
「半分もらったら贈与税がかかるのでは」と心配する声をよく聞きます。結論として、受け取る側に税金がかかることはほとんどありません。
受け取る側:原則として贈与税はかからない
国税庁のタックスアンサー(No.4414)によると、離婚で相手から財産をもらっても、通常は贈与税がかかりません。財産分与は贈与ではなく、夫婦の財産関係の清算や生活保障のための給付と考えられているからです。
ただし、次の場合は例外的に課税されることがあります。
- 分与された財産が、婚姻中に夫婦が協力して得た財産の額などから見て多すぎる場合(多すぎる部分に贈与税)
- 贈与税や相続税を免れる目的の離婚と認められる場合(もらった財産すべてに贈与税)
渡す側:不動産や株は「譲渡所得」に注意
意外と見落とされがちなのが、財産を渡す側の税金です。国税庁のタックスアンサー(No.3114)では、土地や建物で財産分与をした場合、渡した側に譲渡所得の課税が行われ、分与時の時価が収入金額になると説明されています。
購入時より値上がりした自宅を分与するときは、譲渡所得税がかかる可能性があります。マイホームの売却に使える3,000万円の特別控除は「配偶者への譲渡」には使えないため、離婚届を出す前に名義を移すと不利になることがある点にも注意が必要です。具体的な適用の可否は、税務署や税理士に確認してみてください。
不動産を受け取ると登録免許税・固定資産税がかかる
自宅を受け取る場合は、名義変更(所有権移転登記)のときに登録免許税がかかります。財産分与による移転の税率は、不動産の価額(固定資産税評価額)の1,000分の20(2%)です。評価額2,000万円の家なら、登録免許税は40万円になります。
名義が変われば、翌年からの固定資産税も受け取った側が負担することになります。不動産取得税は、婚姻中に築いた財産の清算としての分与であれば課税されない扱いが一般的ですが、慰謝料や扶養の趣旨が強い場合は課税されることがあるため、都道府県税事務所に確認しておくと安心です。
財産分与の手続きと流れ
ここからは、実際にどう進めるかを見ていきましょう。話し合いから家庭裁判所まで、段階ごとに整理します。
ステップ1:財産をすべてリストアップする
最初にやるべきことは、夫婦の財産を漏れなく書き出すことです。通帳、保険証券、不動産の登記事項証明書、ローンの残高証明書、給与明細(退職金規程の確認用)などを集めてください。
相手名義の財産がわからない場合は、同居中にできる範囲で資料のコピーや写真を残しておくことが大切です。相手の口座を勝手に操作したり、スマートフォンに無断でアクセスしたりするのは避けてください。
ステップ2:夫婦で話し合い、離婚協議書・公正証書にする
財産のリストができたら、誰がどの財産を取得し、差額をいつまでにどう支払うかを話し合います。合意できたら、必ず書面に残してください。
口約束だけでは、あとから「そんな約束はしていない」と言われても証明できません。分割払いにする場合は、公証役場で「強制執行認諾文言付き公正証書」にしておくと、支払いが止まったときに裁判をせずに給与や預金を差し押さえられます。
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ステップ3:まとまらなければ家庭裁判所の調停へ
話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の調停を利用します。離婚前なら「夫婦関係調整調停(離婚)」の中で財産分与も話し合い、離婚後なら「財産分与請求調停」を申し立てる流れです。
財産分与請求調停の申立先・費用・必要書類
裁判所の案内によると、申立ての概要は次のとおりです。
| 申立人 | 離婚した元夫または元妻 |
|---|---|
| 申立先 | 相手方の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所 |
| 費用 | 収入印紙1,200円分+連絡用の郵便切手(金額は裁判所により異なる) |
| 主な必要書類 | 申立書とその写し、離婚時の夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)、財産に関する資料(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金通帳の写しまたは残高証明書など)、事情説明書、進行に関する照会回答書、送達場所等届出書 |
調停は、調停委員が双方から交互に事情を聞く形で進むため、相手と直接顔を合わせずに話せるのが利点です。
ステップ4:調停不成立なら審判・裁判で決まる
調停でも合意できなければ、財産分与請求調停は自動的に審判手続きに移り、裁判官が財産の額や寄与の程度、婚姻期間などを考慮して判断します。離婚前の離婚調停が不成立になった場合は、離婚裁判の中で財産分与も一緒に請求するのが一般的です。
相手が財産を隠しているときの調べ方
「相手が本当の財産を教えてくれない」という悩みは、財産分与で最も多いものの一つです。打つ手はあります。
- 情報開示命令:2026年4月から、家庭裁判所は財産分与の調停・審判で、当事者に収入や財産の情報を開示するよう命じられるようになった
- 調査嘱託:裁判所から金融機関などに照会してもらう(口座のある金融機関・支店の特定が必要なことが多い)
- 弁護士会照会:弁護士に依頼し、弁護士会を通じて照会する
情報開示命令の導入で、以前より財産の隠匿が難しくなりました。それでも、金融機関や支店に見当がついているほうが調査はスムーズに進みます。同居中に目にした通帳や郵便物の金融機関名は、メモしておきましょう。
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勝手に財産を処分されそうなときの保全処分
相手が不動産を売却したり、預金を引き出したりするおそれがあるときは、家庭裁判所に「審判前の保全処分」を申し立て、処分を禁止したり仮に差し押さえたりできる場合があります。緊急性が高い場面なので、弁護士に相談しながら進めるのが安全です。
離婚で財産分与しない方法はある?請求されたときの対処
ここまでは「もらう側」の視点で見てきましたが、「渡す側」として検索している方もいるでしょう。財産分与を回避したり、減らしたりすることはできるのでしょうか。
夫婦の合意があれば「財産分与なし」も可能
財産分与は権利であって義務ではないので、相手が請求しない、あるいは放棄すると合意すれば、分与しないことも可能です。「お互いに財産分与を請求しない」と離婚協議書に書く夫婦も実際にいます。
ただし、相手が後から「よく理解していなかった」と主張するおそれがあるため、書面に残し、できれば公正証書にしておくべきでしょう。
特有財産・債務超過なら対象が小さくなる
相手から請求された財産のうち、結婚前からの貯金や相続財産が含まれているなら、特有財産として除外を主張できます。住宅ローンなどの借金が財産を上回る場合も、分ける財産がないため、分与額は小さくなるでしょう。
財産隠しや使い込みはリスクが大きい
「別居前に預金を全部引き出しておけば分与しなくて済む」と考えるのは危険です。別居時の残高で計算されるうえ、意図的な財産隠しは調停や審判で心証を悪くし、情報開示命令の対象にもなります。
請求された側であっても、適正な金額で早く解決したほうが、結果的に負担が軽く済むことが多いものです。
財産分与でもめやすいポイントと弁護士に相談するメリット
財産分与は、金額が大きいだけに感情的な対立に発展しやすい問題です。例えば次のような場面では、専門家の力を借りることを検討してみてください。
- 相手が財産を開示しない、隠している疑いがある
- 自宅の住宅ローンが残っていて、どちらが住むか決まらない
- 退職金や株式など、評価額の計算が難しい財産がある
- 相手が経営者・医師などで、2分の1ルールの修正を主張してくる
- 慰謝料と財産分与を一括で解決したい
弁護士に依頼すれば、財産調査から評価、交渉、調停・審判の代理までを任せられるのが強みです。費用が心配なら、収入と資産が一定以下の方は法テラスの無料法律相談(1回30分、同じ問題で3回まで)や弁護士費用の立替制度を利用できます。
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よくある質問
Q. 専業主婦でも本当に半分もらえますか?
はい、原則として2分の1です。家事や育児による貢献は収入を得る仕事と同等に評価され、改正民法でも寄与の程度は「異なることが明らかでないときは相等しい」と定められました。収入の有無で割合が変わることは、通常ありません。
Q. 不倫した側からも財産分与を請求できますか?
請求できます。財産分与は離婚の原因とは切り離して考えるためです。不倫をされた側は、財産分与とは別に慰謝料を請求するか、慰謝料を含めた形で財産分与の割合を調整することになります。
Q. 離婚して3年たちますが、今から請求できますか?
離婚した日によって異なるため、確認してみてください。2026年4月1日以降に離婚した方は、離婚の翌日から5年以内なら家庭裁判所に申し立てられます。2026年3月31日までに離婚した方は2年が期限のため、3年経過後の申立ては原則できません。ただし相手が任意に応じれば話し合いでの分与は可能です。
Q. 別居後に相手が貯めたお金は対象になりますか?
原則として対象になりません。財産分与の基準時は別居時とされ、別居後に各自が得た収入や貯金は夫婦の協力によるものではないと考えられるからです。
Q. 子ども名義の預金やへそくりはどうなりますか?
子ども名義でも、原資が夫婦の収入なら共有財産として分与の対象になります。へそくりも同じで、配偶者に内緒で貯めていたとしても、結婚中の収入から貯めたものは対象です。
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Q. 財産分与でもらったお金に税金はかかりますか?
現金や預貯金を受け取る側には、原則として贈与税も所得税もかかりません。不動産を受け取る場合は登録免許税と、翌年以降の固定資産税が必要です。不動産や株式を渡す側には、値上がり分について譲渡所得税がかかる可能性があります。
Q. 相手が財産を教えてくれません。どうすればいいですか?
2026年4月から、家庭裁判所は財産分与の手続きで当事者に収入・財産情報の開示を命じられるようになりました。調停や審判を申し立てたうえで、情報開示命令や調査嘱託を活用してください。弁護士会照会という方法もあります。
まとめ
財産分与とは、結婚中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚にあたって公平に分ける制度です。最後に、この記事の要点を振り返ります。
- 名義や収入の有無に関係なく、原則2分の1ずつ分ける(改正民法768条3項で明文化)
- 対象は別居時点の共有財産。結婚前の財産や相続財産などの特有財産は除外
- 計算は「共有財産を書き出す→特有財産を除く→借金を引く→2分の1にして差額を清算」の4ステップ
- 請求期限は離婚の翌日から5年(2026年3月31日までの離婚は2年)
- 受け取る側に贈与税は原則かからないが、不動産には登録免許税・固定資産税、渡す側には譲渡所得税の可能性がある
- 話し合いがまとまらなければ家庭裁判所の調停・審判へ。情報開示命令や保全処分も活用できる
財産分与は、離婚後の生活を立て直すための大切な資金になります。「相手が財産を隠しているかもしれない」「自宅の扱いで折り合いがつかない」という段階で、ひとりで抱え込まないでください。無料相談を活用して、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
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