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離婚時に貯金の使い込みが発覚!財産分与は折半になる?

離婚時に貯金の使い込みが発覚!財産分与は折半になる?

離婚するときにお金の問題はついてまわります。慰謝料や養育費だけでなく、結婚してからふたりで築いた財産(貯金や住宅など)を分ける「財産分与」という問題も発生します。

離婚するときに、夫婦で貯めたお金を相手が使い込んでいたらどうすべきなのでしょうか。今回は財産分与問題の中でも、特に貯金に関してご説明します。

離婚時の財産分与は基本的に折半となる

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夫婦には「同居」「扶助」「協力」という3つの義務があり、夫婦で協力しながら家を持ったり、お金を貯めたりしています。

夫婦が協力して買ったモノや貯めたお金は、一定の価値以上のものはほぼ全て夫婦の共有財産になります。

そして共有財産は「扶助的財産分与」として収入が少ない方に多く渡すということはありますが、基本は折半(2分の1)にします。

離婚時に貯金の使い込みが発覚したときの財産分与は折半になる?

結論から言ってしまうと、離婚時に貯金の使い込みが発覚した場合はその分の金額を財産分与の際に請求することができます。

たとえば相手が使い込みで100万円を浪費していた場合、財産分与で折半+100万円の金額を請求することが可能です。

そもそも使い込みと見極めるのが困難

ただし、この場合は「相手が貯金を使い込んだ」ということを法律的に証明できるかどうかが問題です。

というのも、次のような場合は必要な生活費として認められるため、配偶者に無断で使っても「使い込み」とは断定できません。

  • 生活費(食費や医療費、日用品、家電製品など)として必要だったから使った
  • 医療費がかさんだ
  • 子どもの学費や習い事の月謝
  • 家族のレジャー費用
  • 子どもの部活動の道具や遠征費用
  • その他生活で必要な経費

仮に夫だけが働いて収入を得ていたとしても、妻は夫にいちいち「今日は自分の散髪代として3000円使います」…などの許可は得ない家庭がほとんどです。

また、夫が後でそういった生活費を「これは夫婦の共有財産を使い込んだ」と言っても説得力がありません。なので、日常生活で使う金額は「使い込み」とは言いません。

貯金を使い込んだと判断されるケース

しかし、好きな歌手の追っかけ、高額なエステサロン通い、ブランド品の購入など、日常生活に必要とは言えないものに関しての多額の支出は「貯金を使い込んだ」と言われても仕方がないでしょう。

ただし、そのお金が結婚前に貯めた自分の貯金であったり、親からもらったお金という場合は夫婦共有財産の使い込みには当たりません。

また、歌手の追っかけなども程度によります。多少の趣味や楽しみは生活に潤いを与えるものとして認められるので、そのような行為が必ずしも「使い込み」と判断されるとは限りません。

ただ月収以上の金額を使い込んでいる、海外まで応援に行くなど、使う費用が多額の場合は「使い込み」と判断されることがあります。

貯金を使い込んだときの離婚時の財産分与の例

次に夫婦の貯金をどちらかが使い込んだとき、離婚時の財産分与がどうなるかについて、いくつかの例を見ていきましょう。

夫が作ったギャンブルの借金を貯金から支払ったケース

夫は働いていたが、稼いだお金をギャンブルにつぎ込み、いつの間にか借金までしていました。妻は仕方なく貯金を切り崩して借金の返済に充てていました。

夫婦はその後離婚しますが、財産分与では、ギャンブルで使った金額(借金額)の半額を財産分与として夫から妻に支払うように命じる判決が出ました。

浪費癖がある妻が貯金を使い込んだケース

夫は妻に生活費をきちんと渡していたにも関わらず、妻はブランド物の購入などの浪費が止まらず、離婚時には貯金の使い込みだけでなく借金があることが発覚しました。

このケースでは裁判で「夫婦共有の財産は折半するが、借金は妻が7割負担して返済すること」と命じています。

財産分与で合意できない場合は裁判で決着を

貯金と使い込んだかどうかの判断が難しい場合や、相手が内緒で多額の借金を作っていた場合、財産分与の話し合いは困難になります。

お互いに合意できない場合は裁判で判決を出してもらうといいでしょう。その場合は弁護士に相談しながら進めると安心です。

離婚時の貯金の財産分与と慰謝料は別物

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配偶者の不倫(不貞行為)が原因で離婚した場合でも、財産分与は折半になります。不倫された方は納得できない話かも知れませんが、これは「離婚の原因(有責性)と財産分与は別のもの」と考えるからです。

つまり、「あなたは浮気をしたから財産は渡さない」ということはできません。

財産は分けるが慰謝料を請求する

ただし、その場合は財産分与は行い、それとは別に相手に慰謝料を請求することになります。

現実的には分けた財産から慰謝料分を差し引くなどして相殺(清算)することが多いようです。

慰謝料的財産分与でごまかされないように注意

財産分与には「清算的財産分与」「扶助的財産分与」「慰謝料的財産分与」の3種類があります。

清算的財産分与 夫婦が協力して作った財産を、それぞれの貢献度に応じて分ける
扶助的財産分与 離婚後に収入が少ない方に、収入が多い方が助けるという意味合いで財産を分ける
慰謝料的財産分与 離婚の原因を作った方が慰謝料的な意味合いで相手に多く財産を分ける

配偶者が不倫をしているなど慰謝料が発生するような状況の場合、慰謝料的財産分与として「慰謝料として多めに財産を分与する」ことがあります。

その際に財産分与の金額と慰謝料の金額をきちんと確認しておかないと、あいまいになっ.てしまうことがあります。

後になってよく考えてみると財産分与の額が少ない、または慰謝料の金額が少ないということが起こり得るので注意が必要です。

分け方に法的な決まりはないので話し合いが重要

ただ、「財産分与は折半すべき」と法律で決められているわけではないので、分ける割合は話し合いで決めます。

なお、配偶者に隠してこっそり貯めたへそくりも共有財産です。

そもそも夫婦の共有財産とは?

どちらかが専業主婦(主夫)で収入を得ていなくても、その人が家事などをしてくれるおかげでもうひとりは働いて収入を得られます。

よって、貯金は夫婦どちらかの名義でも夫婦の共有財産とみなされます。そのことは民法第762条で定められています。

民法第762条
・夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
・夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。

つまり、結婚する前から所有している財産や、結婚後に自分の名前で得た財産(例えば親から相続で得た財産など)は本人だけのものですが、それ以外のものは夫婦の協力が合って得たものとなります。

よって「夫婦のいずれに属するか明らかでない財産」となり、共有財産とみなされます。

共有財産の内容

共有財産とみなされるものには、次のものがあります。

  • 現金・預貯金(婚姻後に貯めたもの)
  • 有価証券(株式、国債など)や投資信託
  • 不動産(土地、住宅など)
  • 自動車
  • 骨董品や絵画など
  • ゴルフ会員券
  • 学資保険や個人年金保険など
  • 退職金
  • 年金

なお、住宅ローンなどの負債もマイナスの共有財産となります。

夫婦どちらか一方の名義でも共有財産となる

持ち家や自動車などの名義が夫(または妻)だけの場合でも、お互いに助け合って手にしたものなので離婚時の財産分与では「夫婦共有の財産」とみなされます。

同様の考え方でどちらか一方の名義の貯金も共有財産として財産分与の対象になります。

離婚時に貯金の使い込みが発覚した時の財産分与まとめ

夫婦の共有財産は離婚する際は基本的に折半(2分の1)で分けますが、どちらかが使い込んでいた場合や明らかに浪費であるときは、その分を浪費した方が負担しなければなりません。

ただ、浪費かどうかの見極めはかなり難しく、「生活で必要なものを買った」「子どもの教育に必要だった」などと主張されると「貯金を使い込んだ」と言うのは困難です。

よって、夫婦間で話がまとまらない場合は調停あるいは裁判で決めてもらうことになります。この場合は法律的な根拠を元に使い込みだと証言できる、弁護士がいないと財産分与で損をする可能性が高いです。

そのため、相手が趣味やブランド品の購入などで過剰な使い込みをしている場合は、まずは弁護士に無料相談して見ることをオススメします。

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