離婚後に無職になった場合の税金(住民税、年金、国保等)徹底まとめ!
婚姻期間中に夫の扶養家族になっていた人は、健康保険も年金保険も夫の給与から保険料が引かれていました。しかし、離婚したことで「無職」となってしまったら税金や健康保険などはどうなるのでしょうか?
今回はそんな離婚を検討している方なら確実に気になる、離婚後の税金(住民税、年金、健康保険(国民健康保険)について調べてみました。
離婚後に無職になったら税金はどうなる?
そもそも私たちが納める税金には、大きく分けて「所得税」と「住民税」があります。
そこでまず所得税と住民税の違いを理解しておきましょう。
所得税と住民税の違い
所得税
所得税は「国税」で国に納め、福祉や教育、公共事業に使われます。給与所得や事業所得、利子、不動産所得(家賃収入など)の収入に対して課税されるものです。
サラリーマンや公務員などの給与所得は給与から引かれていますが、それ以外の場合(自営業者など)は確定申告をして納税します。
住民税
住民税は地方自治体に納めるもので、地元の福祉や公共事業に使われます。
前年の収入に対して課税されるもので、サラリーマンの場合は給与から天引きされます。住民税の税率は課税所得の10%前後になっています。
離婚前に専業主婦だった場合の税金
離婚する前(婚姻期間中)に専業主婦で収入がなかった場合、離婚後の税金は次のようになります。
所得税 | かからない |
---|---|
住民税 | 前年の収入がない場合、かからない |
給与以外の収入がある場合は要注意
専業主婦で働いていなくても、株式の配当金や家賃収入、ライター業や手作り品販売などで収入がある人は納税が必要になる場合があります。
こちらは確定申告をして納税をしましょう。
離婚前に収入があった場合
離婚前に働いていて離婚後、無職になった場合の税金は次のようになります。
所得税 | 給与所得の場合は給与から引かれているので無職になってからの課税はないが、給与所得以外の収入(事業所得や配当所得など)がある場合は確定申告が必要 |
---|---|
住民税 | 前年の収入によって税額が決まるため、所得に応じて納税が必要 |
働いていた人が離婚後に無職になっても住民税は支払うので注意が必要
住民税は前年の所得に対して課税されます。離婚して無職になったとしても、婚姻期間中に収入があった場合は住民税の支払い義務があります。
離婚して収入が途絶えた場合は、納税分のお金を確保しておく必要があるので気をつけましょう。
無職でも住民税の申告をするとお得に
離婚前から無職で離婚後にも住民税がかからないという人でも、「住民税申告書」を役所に提出すると「収入がない」ことを証明する「非課税証明書」を発行してもらえます。
「非課税証明書」があると、次のような優遇措置が受けられるのでぜひ手続きをしておきましょう。
-
- 国民健康保険料の軽減
- 国民年金保険の免除
- 保育料などの減額措置
などです。手続きの方法や自分がどのような優遇措置が受けられるのかは、地元の役所で聞いてみてください。
慰謝料や養育費は非課税
離婚によって受け取る慰謝料や養育費は非課税です。受け取っても所得税はかかりません。
ただし、慰謝料や養育費の金額が過大だと判断された場合は贈与税がかかる場合があるので注意が必要です。
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離婚後に無職になったら年金はどうなる?
婚姻期間中にサラリーマン(給与所得者)である夫の扶養家族になっていた人は、「第3号被保険者」となり、年金保険料の負担はありませんでした。
しかし、離婚することで「扶養家族」ではなくなるため、年金保険料は自分で負担しなければなりません。
離婚後の年金保険料の負担
離婚後の状況によって年金保険料の負担は次のように変わります。
自分の状況 | 被保険者の種別 | 加入する制度 | 保険料 |
---|---|---|---|
無職 | 第1号被保険者 | 国民年金 | 自分で納付する |
自営業として働く | 第1号被保険者 | 国民年金 | 自分で納付する |
給与所得者として働く | 第2号被保険者 | 国民年金と厚生年金 | 給与から天引きされる |
親の扶養家族になる | 第3号被保険者 | 国民年金 | 自己負担はなし |
離婚後に働く場合は「第2号被保険者」となり、勤務先で厚生年金に加入します。その場合は給与から年金保険料が差し引かれます。
離婚して無職になった場合は「第1号被保険者」となり、国民年金保険に加入します。
国民年金の保険料は1ヶ月16,410円(令和元年度)で、たとえ無職であっても保険料の納付書が送付されます。
国民年金保険料の免除や猶予制度を利用
年金保険料の納付を放置すると「未納」となり、次のようなデメリットがあります。
- 将来受け取れる老齢基礎年金の金額が少なくなる
- 障害になったときに受け取れる障害基礎年金が支給されない
- 自分が死亡したときに子どもが受け取る遺族基礎年金が支給されない
このような事態を避けるために「保険料免除制度」や「保険料納付猶予制度」があります。
年金保険料の免除・猶予制度とは
本人や世帯主の前年の所得が一定額以下の場合は、下記のように保険料の免除や猶予されます。
制度 | 内容 |
---|---|
保険料全額免除 | 保険料の納付が全額免除される |
保険料一部免除 | 保険料の納付が4分の3、半額、または4分の1に免除される |
納付猶予 | 20歳から50歳未満の人が対象で、本人や世帯主の前年の所得が一定額以下の場合、保険料の納付が猶予される |
なお、いずれの場合も自分で申請しなければ受けられません。また、免除や猶予期間がある人は、将来の年金受取額が減少します。
くわしいことは年金事務所で相談してみてください。
離婚後に無職になったら健康保険はどうなる?
日本には「国民皆保険」という制度があり、すべての国民が何らかの公的医療保険に加入しなければならないと決められています。
これは誰もが必要な医療を受けられるための制度で、この制度のおかげで私たちは実際にかかった医療費の3割負担で医療を受けられるのです。
婚姻中に扶養家族になっていた人は配偶者(夫)の健康保険に加入し、保険料は配偶者の給与から引かれていました。しかし、離婚すると夫の扶養から外れるので、「国民健康保険」に加入し、自分で保険料を納めることになります。
国民健康保険の加入方法
国民健康保険の加入は離婚後14日以内に役所で手続きをします。その際に必要なものは以下の通りです。
- 国民健康保険被保険者取得届……役所にあるので記入する
- 健康保険資格喪失証明書……夫の会社に連絡して発行してもらう
- マイナンバーカード
- 本人確認書類
- 印鑑(またはサインでも可)
国民健康保険の保険料は無職でも必要
国保の保険料は「医療分」「支援金分」「介護分」に分けられていて、それぞれに「所得割」「均等割」「平等割」があります。
医療分 | 医療費の充てられる部分で、国民健康保険の全加入者が負担する |
---|---|
支援分 | 後期高齢者の医療費の一部を負担するためで、0歳~74歳までの人が負担する |
介護分 | 介護保険制度を支えるためのもので40歳~64歳までの人が負担する |
なお、無職の人は「所得割」は0円になりますが、それ以外は負担しなければなりません。収入がない場合は保険料の軽減制度を利用する方法があります。
くわしくは居住地の市区町村役場で聞いてみましょう。
実家で親の扶養家族に入るのも1つの方法
離婚して無職になると国民年金も国民健康保険(国保)も自分で保険料を負担しなければなりません。しかし、収入がないと支払いが大変です。
もし親がまだ働いている場合は、仕事が見つかるまでの間、実家に戻り、親の扶養家族に入るのもひとつの方法です。
扶養家族は何人増えても保険料は増額しないのでおススメできます。ただし、親が国民健康保険の場合は「扶養家族」という制度がありません。結局は自分で支払うことになります。
離婚後に無職になった場合の税金まとめ
離婚するまでは夫の扶養家族だった人も、離婚したことで税金や健康保険、年金などの加入状況が変わります。
税金には所得税と住民税がありますが、どちらも婚姻期間中に専業主婦だった場合は離婚後に納税する必要はありません。ただ、前年に何らかの収入がある場合は住民税がかかる場合があります。
年金は扶養家族だったときは第2号被保険者でしたが、離婚することで国民年金に変わり、毎月16,410円の保険料を納付することになります。収入がなく納付が困難な場合は免除制度や猶予制度があるので利用してみましょう。
また、国民健康保険に加入します。収入がない場合は保険料の軽減制度があるのでお住まいの市区町村役所で聞いてみましょう。
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