性の不一致(セックスレスや性交不能)が理由で離婚や慰謝料請求は可能?相場も紹介!
夫婦間の性の不一致という問題は人に相談できないだけに悩みは深刻です。どうしても歩み寄れない場合は離婚という結果になってしまいます。
このような性の不一致で離婚した場合、慰謝料請求はできるのでしょうか?また、相場はどれくらいなのかを当記事では詳しく解説します。
性の不一致が理由(原因)で離婚できる?
まず、性の不一致で離婚できるのかどうかを見ていきましょう。結論から言うと「協議離婚」「調停離婚」ならどのような理由でも離婚は可能です。
また詳しくは記事の中盤で解説していますが、性の不一致が理由で慰謝料の請求をすることもできます。
双方の話し合いまたは調停で「離婚しましょう」ということになれば、それで婚姻関係は終了します。
一方で離婚裁判の場合は「どんな理由でも離婚できる」というわけではありません。下記のように民法第770条に定められている「法定離婚事由」に該当すれば離婚が可能となります。
法定離婚事由
- 配偶者の不貞行為
- 悪意の遺棄(生活費を入れない、同居しないなど)
- 配偶者の生死が3年以上不明の場合
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があること
「性の不一致」という理由で離婚裁判を成立させるには、それによって婚姻が継続し難い状態であることを示す必要があります。
そもそも性の不一致とは具体的に何を指す?
そこで、「そもそも性の不一致とは何を指すのか」を理解しておきましょう。
次のものが性の不一致になります。
- セックスレス(性行為を拒否する)
- 身体的・精神的なものが原因で性交不能になる場合
- 性的異常(1日に何度も求めてくる、SMプレイを強要するなど)
セックスレス(性行為を否定する)
夫婦どちらか一方が性行為を望んでいるのに相手が拒否する場合を指します。日本性科学会では、「夫婦間で特に病的な原因がないのに1ヶ月以上夫婦間で性行為がないこと」をセックスレスと呼んでいます。
過去の判例では夫がアダルトビデオを見て自慰行為にふけり妻との性行為を拒否し続けた結果、妻が離婚裁判を起こし認められたという事例があります。
また、結婚はしたものの夫が同性愛者で妻との性行為を拒否したことで離婚が成立したケースもあります。
身体的・精神的なものが原因で性交不能になる場合
男性側の勃起不全や女性側の機能障害など身体的なことが原因で性交ができない場合があります。
また、結婚当初は性行為ができていたのに精神的な原因で性交不能になった場合も離婚が認められています。
実際の判例としては、結婚前に睾丸摘出手術を受けた男性が医師から性行為は可能との説明を受けたものの現実には性的不能であったため、離婚が認められたというケースがあります。
性的異常
SMプレイを強要したり、1日に何度も性行為を求めたりすることはたとえ夫婦であっても、相手が嫌がり結婚生活を継続できなくなった場合は離婚が認められます。
重要なポイントは性の不一致で「婚姻関係を継続し難い」状態にあるかどうかという点です。
夫婦のどちらかが性の不一致を感じているのに、相手はそう思っていない場合もあるので注意が必要です。
性の不一致が婚姻を継続し難い重大な事由とは
法定離婚事由のひとつ「その他婚姻を継続し難い重大な事由」の具体的な内容を見てみましょう。
主に次のような内容の場合は離婚事由として認められています。
- DVやモラハラ
- 薬物依存
- 犯罪で服役している
- 過度な浪費やギャンブル
- セックスレスや性の不一致
セックスレスや性の不一致で結婚生活の継続が困難になった場合は離婚が認められますが、高齢のために性行為ができなくなった場合や病気が原因でセックスレスになった場合は離婚原因としては認められません。
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性の不一致が原因で離婚する際に必要なこと
上記のように離婚事由に該当するような「性の不一致」の状況で離婚をするには、以下の証拠などを提出して裁判で認めてもらう必要があります。
性の不一致の証拠を出す
大切なのは「性の不一致で婚姻を継続させるのが難しい」ことを証明できるかです。
セックスレスの証拠を出す
セックスレスの証拠を出すのは難しいし恥ずかしいことですが、日記や会話などの記録が有効な証拠になります。
- 性行為を行った日や求めたのに拒否された日などを日記に記す
- セックスレスについて夫婦で話し合った会話の録音データやメモ
- セックスレスについて夫婦でやり取りしたメールの内容
- 誰かに相談した日の記録
特に日記は何か出来事があったことだけを記録するのではなく、毎日の様子を克明に記載する方が有効です。
夫が帰宅した時間、疲れているかどうか、性行為の有無、求めたが応じない……などを細かく記していくと説得力があります。
性交不能で夫婦生活が破たんしたことを示す
病的な性交不能(勃起不全や機能障害など)だけでは離婚に持っていくのは難しいのが現実です。
それによってセックスレスになり、夫婦関係が破たんしたことを日記などで証明する必要があります。
性交不能になり夫婦の会話が減ったり、夫婦がそれぞれバラバラに出かけるようになりすれ違いの生活になったなど、性交不能によって婚姻関係を継続するのが難しくなったことを証明することが大切です。
性的異常の証拠を出す
会話の録音や配偶者が買ってきた性交グッズなどを証拠として出すのが有効な方法です。
1日に何度も求める場合はその時間帯を日記に記録したり、拒否しているのに求める様子を録音したりします。
性交グッズの写真や実物、領収書などは保管しておきましょう。
性の不一致による離婚で請求できる慰謝料の相場
性の不一致が原因で離婚した場合、慰謝料請求は可能ですが、相手に請求できる慰謝料の相場は最大でも100万円程度です。
中には10万円というケースもあり、証拠集めや裁判を起こす手間や、他人の前で夫婦の性行為について説明しなければいけないという恥ずかしさなどを考えると、慰謝料請求が必ずしもプラスになるとは言い切れません。
性の不一致での離婚の慰謝料が高額になるケース
ただし、次の場合は慰謝料が高額になりやすいと言われています。
- 配偶者とはセックスレスだが浮気相手とは性交渉がある
- 問題改善の話し合いに応じないなど協力の姿勢が見られない
- セックスレスの期間が長い
- 子どもがまだ小さい
- 慰謝料を払う方の収入が多い(または社会的な地位が高い)
つまり夫婦ともに若く、配偶者は別の相手(不倫相手や風俗関係など)とは性行為ができる場合は悪質だとして慰謝料が高くなる傾向にあります。
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また、セックスレスの期間が長い場合や相手の収入が高い場合も慰謝料が高くなります。
性の不一致で慰謝料を請求するには弁護士に相談するのが確実
中には自分では「相手が応じてくれない」と悩んでいても、相手はセックスレスだとは認識していない場合があります。
また、特に子どもがほしくないとか、性に関して淡泊でそれほど性行為を重視していないなど、判例をみていると夫婦間で温度差があるケースも多いです。
このように相手が性の不一致だと認識していない場合、離婚を成立させるのは難しくなります。
さらに離婚だけでなく慰謝料を請求しようと思うならば、証拠を集めるなどの行動を起こす必要がありますので、納得できるだけの慰謝料を勝ち取るには、離婚慰謝料に詳しい弁護士に相談するのが得策です。
そうでないと労力ばかりかかり、裁判では恥ずかしい思いをした割には得るものが少ないという結果になってしまうでしょう。
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性の不一致による離婚や慰謝料相場まとめ
性の不一致には性行為を拒否されるセックスレスや身体的・精神的な原因による性交不能、性的異常(1日に何度も性行為を求める、SMプレイを要求するなど異常な性癖)などがあり、これらが原因で婚姻生活を継続させるのが難しい場合は離婚が認められます。
また、慰謝料の請求も可能ですが、慰謝料の相場は高くなく、相手が浮気をしているなど悪質でない限りは数十万円程度が相場です。
そのため、慰謝料の請求のメリットがデメリットを上回る保証はありませんが、少しでも有利に交渉を進め、多くの慰謝料を請求するなら離婚に強い弁護士に相談するのがおすすめでしょう。
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