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婚姻費用とは?内訳6項目や相場、計算方法を徹底紹介!離婚前に請求する方法は?

婚姻費用とは?内訳6項目や相場、計算方法を徹底紹介!離婚前に請求する方法は?

婚姻費用とは?

婚姻費用は夫婦が別居したときや、同居しているが生活費をもらっていないときに収入の多い方が少ない方に生活費として渡すお金のことです。

各家庭によってさまざまな考え方がありますが、法律的には「夫婦は生活に必要な費用を分かち合う」義務があります。

このため、専業主婦など「仕事を持っていない」パートナーであったり、離婚を前提に別居する場合であっても(扶養される側は)相手に対して、婚姻費用が請求できます。

婚姻費用は次のようなケースの時に支払う必要があります。また、生活費をもらっていない方は「婚姻費用」として相手に請求することができます。

  • 夫婦が同居しているが収入の多い方が相手に生活費を渡していないとき
  • 夫婦が別居しているとき
  • 夫婦が別居して、未成熟子を育てているとき

ただし、収入の低い方(主に妻)が不倫や暴力などで離婚原因を作った場合は婚姻費用を請求することはできません。

未成熟子とは

未成熟子(みせいじゅくし)は年齢にかかわらず経済的に自立していない子どものことを指します。

経済的な自立とは自分で働いて収入を得ていることであり、未成年でも就職して収入があり、自活している場合は未成熟子には含まれません。

婚姻費用を請求するタイミング

婚姻費用は遡って請求できません。このため、請求をしたタイミングから婚姻費用が受け取れます。別居をしている相手の方に所得が多い方や、子育て中の方など「不要の必要性が高い」方は必ず、婚姻費用を請求してください。

もしも、相手が婚姻費用の支払いに応じない場合は、調停を申し立てて婚姻費用が請求できます。婚姻費用を請求する場合は、弁護士に「婚姻費用分担請求の調停」手続きを依頼してください(※ 本記事、後半でも詳しく説明しています)。

離婚と婚姻費用の内訳(内容)は?

婚姻費用は、生活費や住居費など「生活に必要な費用」全体を含んでいます。ここでは「婚姻費用」として、公的に認められる項目(費用)を確認したいと思います。

区分 内容
生活費 食費や光熱費など
医療費 病院に掛かった費用、薬代など
養育費 子育て、子どもの教育に必要な費用
住居費 家賃や、住まいの維持費など、住居に必要な費用全般
交際費 友人などの交際に必要な費用
娯楽費 余暇を楽しむための娯楽費

娯楽費や交際費まで認められるのには、誰もが「えっ…!?」と驚かれることでしょう。もちろん、度を超した散財や交際費、娯楽費(ギャンブルなど)は認められませんが、一定の水準を保っていれば(法律では)正当な請求として認められます。

このほか、子どもの進学や家族の生活状況が変化した場合は、婚姻費用を増額したり(反対に)減額することも可能です。婚姻費用の水準、請求額について分からない場合は、何でも弁護士に相談してみてください。

別居中の夫婦が「同じ水準で暮らせるよう」金額は決定する

婚姻費用は、別居中の夫婦に格差ができないよう「同じ水準で生活出来ることを前提」に設定されます。このため、男性より女性の側に所得が多い場合は(女性が)相手に対し、婚姻費を支払う必要があります。

ただ、家庭の生活水準によって「支払う金額」は変動します。一般的な婚姻費用分担額(全世帯の平均)は以下の通りです。

婚姻費用の相場、金額は?

婚姻費用には特に相場はありません。

夫婦で話し合って決めることもできますが、裁判所が一定の基準を設けているので多くの夫婦はそれをもとに計算します。

裁判所が出している婚姻費用の計算方法

婚姻費用は夫婦だけの場合と子どもがいる場合、また子どもの年齢や数によって異なります。

そして各家庭で生活費がどれくらい必要なのかを計算するのは大変なので、以下の裁判所が作成している「婚姻費用算定表」を元に計算することが大半です。

婚姻費用算定表は裁判所のサイトで公開されています。「夫婦のみの場合」や「子どもが1人の場合」から「子どもが3人の場合」まで、また子どもの年齢別に分けられているので、ご自身が該当する表を探してみましょう。

(裁判所の婚姻費用算定表公開ページ)
最高裁判所公式URL:https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

算定表は下記のように、縦軸が「義務者」(婚姻費用を払う人)の年収、横軸が「権利者」(婚姻費用を受け取る人)の年収を表しています。

  • A:義務者(婚姻費用を払う人)の年収
  • B:権利者(婚姻費用を受け取る人)の年収
  • C:自営か給与か

また、縦軸、横軸ともに自営業と給与(会社員)があるので、間違えないようにしてください。

AとBの交わるところが婚姻費用の相場になります。

婚姻費用の計算例

上の表は夫婦のみの場合です。義務者(夫)の年収が給与で600万円、妻の年収が給与で150万円の場合、婚姻費用は両者が交わるところなので1ヶ月6~8万円ということになります。

同様に夫婦のみの場合でも、義務者(夫)の年収が400万円、権利者(妻)の年収が250万円の場合は婚姻費用は2~4万円に下がってしまいます。

このようにお互いの年収によって婚姻費用の相場はかなり異なります。

ケース別の婚姻費用の計算方法

子どもがいる場合の婚姻費用と算定表の見方

子どもがいる場合は、子どもの年齢が0歳~14歳と15歳以上に分かれています。1人目の子が16歳、2人目の子が12歳という場合は算定表の「子2人表(第1子15歳以上、第2子0歳~14歳)を見ます。

他のケースでも同様で、子どもの数と年齢に合った算定表を開いて、義務者と権利者の年収の交わるところを見ます。

子どもの年齢が14歳以下の家庭の婚姻費用

義務者(夫)の年収と子どもの数、年齢によって受け取れる婚姻費用がどれくらい違うのかを見てみましょう。権利者(妻)の年収は200万円とします。

0歳~14歳の子どもが1人だけの場合、2人の場合、3人の場合の婚姻費用を比較してみました。

義務者の年収 子ども1人 子ども2人 子ども3人
300万円 2~4万円 4~6万円 4~6万円
400万円 4~6万円 6~8万円 8~10万円
500万円 8~10万円 8~10万円 10~12万円
600万円 10~12万円 12~14万円 12~14万円
700万円 10~12万円 14~16万円 14~16万円

このように義務者の年収が同じでも、子どもの数が増えると受け取れる婚姻費用はかなり違ってきます。

子どもの年齢が15歳以上の家庭の婚姻費用

一方、子どもの年齢が15歳以上の場合は下記のようになります。
(権利者(妻)の年収はいずれも200万円です)

義務者の年収 子ども1人 子ども2人 子ども3人
300万円 4~6万円 4~6万円 6~8万円
400万円 6~8万円 8~10万円 8~10万円
500万円 8~10万円 10~12万円 12~14万円
600万円 10~12万円 12~14万円 14~16万円
700万円 12~14万円 14~16万円 16~18万円

金額別:婚姻費用分担額の割合(司法統計を参照)

金額(1カ月当たり) 割合
金額を決めていない 0.6%
2万円以下 3.5%
3万円以下 6.9%
4万円以下 7.5%
6万円以下 18.4%
8万円以下 16.0%
10万円以下 12.9%
15万円以下 16.4%
20万円以下 7.1%
30万円以下 4.1%
30万円以上 1.7%

このように、一般的な婚姻費用は6万円〜15万円以下に抑えられることが多いです。

ただ、所得が多ければ「毎月30万円以上」の婚姻費用を支払うケースもあり、各家庭によって状況は大きく異なります。

離婚に向けて婚姻費用を請求する際のポイント3つ

婚姻費用の請求は、夫婦の話し合いによって決定されます。ここで重要なポイントは3つあります。

  1. 婚姻費用を請求してみて、相手に支払う意思があるかどうか
  2. 婚姻費用分担の金額はいくらになるのか
  3. いつから支払い、いつまで受け取るのか

①〜③について、別居をする前に「冷静に話し合う」ようにしましょう。お金の問題は、どの夫婦でも必ずと言って良いほど揉めてしまいます。

このためお酒が入っていたり、どちらかの機嫌が悪い時には、焦って協議を進めないようにしてください。

協議内容は書面に残しておけるよう(※証拠になるので)メールなどを使って、話し合う機会を持つと良いでしょう。

また、できるだけ早い段階で弁護士に相談しておけば、婚姻費用や育児にかかる費用、慰謝料などの問題も素早く解決できます。

別居後や離婚後揉めないように、自力では無く、専門家(弁護士)の力を借りて、話し合いの場を持つようにしましょう。

離婚手続き中の婚姻費用の話し合いで必ず「決めておきたい」こと

夫婦で離婚を進めるにあたって、婚姻費用の額、支払い(受け取り)の方法、婚姻費用の支払いはいつからなのか(開始する日時)、月々の支払期限も含めて細かく話し合っておきましょう。

婚姻費用の支払いは「別居の開始月」とするのが一般的です。

また、家庭裁判所に申し立てを行う場合は「申し立てを行った月」を基準にして、支払うケースが多いです。

受け取り方法は手渡しでは無く、相手の口座(銀行)に振込をするのが一般的です。ただ、話し合いの結果によっては「年払いや一括」で手渡すなど、さまざまな方法が取られています。

「相手から婚姻費用が払って貰えない」場合のトラブル解決法

相手と話し合いをしたにも関わらず、婚姻費用が支払われない場合は、家庭裁判所に対して「婚姻費用分担の調停」の申し立てを行ってください。

婚姻費用を支払ってもらう3つの方法

法的に手続きを進める場合は、履行勧告、履行命令、強制執行の3種類の方法があり、相手に婚姻費用を支払うよう請求できます。

手続きの区分 内容
履行勧告 家庭裁判所が、支払わない相手に対して支払いを勧告する方法。強制的な執行力は無い。
履行命令 家庭裁判所から、支払いを命令する手続きを指す。強制的な執行力はないものの、命令に応じない場合は10万円以下の過料が科せられる。
強制執行 相手が支払わない場合、支払うよう、国の権力によって強制執行が行われる。

法的な手段で支払いを求める場合、素人の知識では太刀打ちできません。手続きについては、必ず弁護士に相談を行い、正しい方法で支払いを請求してください。

婚姻費用でよくあるQ&A

婚姻費用に関してよくある質問をご紹介します。

Q:20歳を超えている子どもの分も婚姻費用は請求できますか?

わが家には3人子どもがいて、上の子は20歳を過ぎていますが、病気治療中のため働いていません。

この子の分も婚姻費用を請求できるでしょうか?

A:20歳を超えていても未成熟子であれば請求できます

子どもが20歳を超えていても、病気や心身の障害がある場合、または就学中などで働いていない場合は、その子は「未成熟子」となり婚姻費用請求の対象になります。

Q:子どもが4人以上いる場合の婚姻費用はどうなりますか?

子どもが4人以上いて、全員がまだ働いていません。この場合、婚姻費用はどのように計算すればいいでしょうか。

A:算定表でなく生活費指数を使って計算することになります

裁判所が公開している婚姻費用算定表は子どもが3人の場合までしかありません。子どもが4人以上いる場合は、義務者の収入をもとに生活費指数を使って計算します。

ただ、計算はとても複雑で難しいので、離婚問題や婚姻費用に詳しい弁護士に相談してみましょう。

Q:夫に借金があるが婚姻費用は請求できますか?

夫との離婚を考えていて、現在は子どもを連れて別居中です。別居中の期間の婚姻費用を夫に請求したいのですが、夫にはギャンブルで作った借金があります。

借金の返済中でも婚姻費用は請求できますか?

A:請求は可能で減額も考慮されません

義務者(この場合は夫)に借金があっても、それが理由で婚姻費用が減額されたり、支払いを免除されたりすることはありません。請求も可能です。

このことは過去にも裁判があり、その判例でも減額や免除はされないという結論が出ています。

ただし、夫婦が住んでいた家の住宅ローンがある場合は、本来は夫婦で負担して返済すべきものなので、その分を婚姻費用から減額するという判決が出ています。

婚姻費用とは~まとめ

婚姻費用とは夫婦が別居している場合、または同居していても生活費を渡していない場合に収入の低い方が収入の多い方に請求できる費用のことを指します。

また、年齢にかかわらず経済的に自立していない子どもがいる場合は、その子の生活費も婚姻費用に含まれます。

計算方法は裁判所が公開している婚姻費用算定表に基づいて算出しますが、義務者(夫)に借金がある場合や子どもの数が多い場合、子どもの医療が高額である場合など個々のケースによって計算が異なります。

不明な場合は以下から婚姻費用に詳しい弁護士に相談してみましょう。

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