離婚後の児童手当(児童扶養手当)や保育料は?母子家庭で役立つ知識を紹介
子どもがいる夫婦が離婚するとシングルマザー(シングルファザー)となりますが、その際に様々な手当を利用することができます。
そこで今回は離婚後に母子家庭(父子家庭)で利用できる、児童手当や公的支援や保育料など子育てにまつわるお金を詳しく説明していきます。
母子家庭(父子家庭)で役立つ!離婚後に受け取れる子育ての手当
まず子育て中に受け取れる手当にはどのようなものがあるのか整理しておきましょう。
大きく分けると次の3つがあります。
- 児童手当
- 児童扶養手当
- 自治体による育児手当
児童手当の内容
「児童手当」は「児童手当法」によって支給内容が定められているもので、離婚していなくても児童を養育している人に支給されます。
児童の年齢や人数によって支給額が異なります。支給対象児童の年齢と支給額は下記の通りです。
子どもの年齢 | 月額支給額 |
---|---|
0歳~3歳未満 | 15,000円(一律) |
3歳~小学校修了まで | 10,000円 (第3子以降は15,000円)※ |
中学生 | 10,000円(一律) |
※第3子とは高校卒業までの養育している子どものうち、第3番目のことを指します。
児童手当の支給月
児童手当は下記の3回に分けて支給されます。
- 6月(2月~5月分)
- 10月(6月~9月分)
- 2月(10月~1月)
児童扶養手当の内容
児童手当とよく似ているものに「児童扶養手当」があります。
「児童扶養手当」は「児童扶養手当法」によって内容が定められているもので、離婚や親との死別でひとり親になった児童、親が一定の障害がある児童などに支給されます。
児童扶養手当の支給月
児童扶養手当は2019年11月から下記のように年6回支給されるようになりました。
- 1月(11月~12月分)
- 3月(1月~2月分)
- 5月(3月~4月)
- 7月(5月~6月分)
- 9月(7月~8月分)
- 11月(9月~10月)
自治体による育児手当の内容
各自治体によってさまざまな育児手当が設けられています。なお、育児手当がない自治体もあるので、お住まいの役所でご確認ください。
ここではいくつかの例をご紹介します。
市町村 | 支援内容 |
---|---|
東京都台東区 | 区内に3年以上居する小学校3年生以上(18歳到達後最初の年度末まで)の児童を養育する父母に対して児童2人5000円、3人1万円、4人以上1500円を支給(所得制限あり) |
東京都三鷹市 | 18歳未満の児童を4人以上養育している場合に4人目から1人につき月額1000円を支給 |
愛知県名古屋市 | 3歳未満児を含む児童を3人以上養育している場合、3人目以降の3歳未満児に月額2万円を支給 |
大分県宇目町 | 町内在住で小学校入学前までの第3子以上に月額5000円を支給 |
離婚後の児童手当の手続き方法
離婚したら児童手当は誰が受け取るのか、手続きはどうするのかなど、その時にならないとわからないことが多いと思います。
そこで、児童手当の受給手続きについて解説します。
なお、説明は婚姻中は夫が児童手当を受給していたが、離婚後は妻が子どもと同居し、児童手当を受け取るというものでご説明します。
該当しない方は各自で自分のケースへ補完の上でご覧下さい。
児童手当は子どもを養育している人が申請して受け取るもの
児童手当の基本は「子どもを養育している人」が受け取るものであり、受け取るには「申請が必要」です。
子どもを育てているからと言って自動的に預金口座に振り込まれるものではないのでご注意ください。
また、ここでの「子どもを養育している人」とは、子どもと同居し、生計を維持している人を指します。
離婚協議中、または別居中の場合は子どもと同居している人に支給されます。
離婚後の児童手当の手続き
児童手当は、離婚する前は多くのケースで父親に支給されています。離婚して母親が子どもを引き取っても、手続きをしないとそのまま父親(夫)の方に支給されてしまいます。
離婚に伴って児童手当の支給に関する手続きが必要になりますが、その際には子どもが誰と同居しているか、また離婚が成立しているかどうかで手続きが異なります。
この場合の同居とは住民票が子どもと同じか別であるかが重要になります。
離婚が成立し夫とは住民票が異なる場合
住民票が夫と別になっている場合は、妻が新たに住む自治体の役所に児童手当の申請を行います。
これは新規に児童手当の申請をするのと同じです。役所で児童手当の申請手続きをしましょう。
離婚は成立したが夫と住民票が同じになっている場合
また、妻と子どもが夫と同じ住民票になっている場合は、まず夫に「児童手当・特例給付受給事由消滅届」に署名してもらい、住民票がある自治体の役所に提出します。
その後、妻が役所に新たに児童手当を受け取る手続きを行います。この際の手続きは新規申請と同じです。
手続きに必要な書類は次の通りです。
- 児童手当・特例給付認定請求書
- 通帳やキャッシュカードなど口座番号がわかるもの
- 健康保険証または年金加入証明書(厚生年金に加入している場合)
- マイナンバーが確認できるもの
- 印鑑
自治体によってはこれ以外の書類の提出を求められることがあります。事前に問い合わせて確認しておきましょう。
離婚協議中だが同居し住民票も同じ場合
まだ離婚が成立しておらず、住民票も同じという場合は、夫に「児童手当・特例給付受給事由消滅届」に署名してもらい、住民票がある自治体の役所に提出します。
その後、妻が役所に新たに児童手当を受け取る手続きを行います。(手続きは新規申請と同じです。)
離婚協議中で別居し住民票も異なる場合
離婚協議中で、すでに別居し、住民票も異なる場合は、離婚を前提として別居中であることを証明する必要があります。
まず、「児童手当・特例給付の受給資格に係る申立書(離婚前提)」を妻が居住する市区町村の役所に提出し、離婚前提の別居であることが公的に証明できる書類として、次のいずれかを提出します。
- 協議離婚申し入れに係る内容証明郵便の謄本
- 家庭裁判所への離婚協議の申入れの控えと、調停期日呼出状の写し
- 家庭裁判所における事件係属証明書
- 離婚調停不成立証明書
- 離婚協議について、弁護士に依頼していることが明記している書類(弁護士が任意で作成)
- 離婚の話し合い中であることが明記されている公正証書
詳しくは自治体の窓口で相談しましょう。
公務員の申請は勤務先
公務員の方は、勤務先から児童手当が支給されています。そのため、受給者や振り込み口座の変更などの申請は市町村ではなく、勤務先で行う必要があります。
離婚後の児童扶養手当の手続き方法
児童扶養手当は離婚や死別などで母子(父子)家庭となった場合や親が一定の障害状態にあるときに、子どもの養育者に支給されるものです。
ここでは離婚してひとり親になったときのケースでご説明します。
児童扶養手当の受給条件をチェック
まず、児童扶養手当の受給条件に該当しているかチェックしましょう。
主なポイントは次の4点です。
- 子どもが18歳まで(18歳になって最初の3月31日まで)である
(障がいがある場合は20歳の誕生日前日まで) - 所得制限に該当していないかどうか
- 公的年金(遺族年金、障害年金、遺族補償など)を受けていない
- 離婚後、別の異性と内縁関係や事実婚状態になっていない
児童扶養手当の所得制限
児童扶養手当の支給は前年の所得に応じて全部支給と一部支給があり、全部支給の対象となるのは子どもが1人の場合、収入ベースで前年の所得(1月~6月に申請する場合は前々年の所得)が160万円までの人となっています。
所得額は源泉徴収票に記載されている「給与所得控除後の金額」と養育費の8割を足して、そこから各種控除を指し引いて計算しますが、自分ひとりで計算するのは難しい点が多いので役所で聞いてみましょう。
離婚全般の相談と合わせて弁護士に相談することもできます。
公的年金を受給していると児童扶養手当が受け取れないことがある!
公的年金(遺族年金や老齢年金、障害年金、労働基準法による遺族補償など)の受給額が児童扶養手当の受給額よりも多い場合は、児童扶養手当は受けられません。
少ない場合は差額分を受け取れます。
市区町村役場に申請手続きをする
児童扶養手当の受給条件に該当するとわかったら、必要な書類を自治体の役所に持参し、申請手続きを行います。
必要な書類には次のものがあります。
(申請者とは保護者のことを指します)
- 申請者と子どもの戸籍謄本の原本(発行から1ヶ月以内のもの)
- 申請者名義の預金通帳
- 印鑑(認印)
- 申請者と子どものマイナンバー確認書類
- 申請者の本人確認書類
なお、必要書類は自治体や家庭の状況によって異なる場合があるのでそのつど確認することが大切です。
また、申請は書類の提出だけでなく窓口で担当者と面談することになっています。面談で家庭の状況を説明し、書類を提出。さらにその後審査があり、通れば支給が始まります。
児童扶養手当は受給後も毎年審査がある
児童扶養手当は受給が始まっても、毎年審査があり、8月に現況届を提出するようになっています。
また、再婚する際にも届出が必要なので、忘れずに届け出ましょう。
離婚したら保育料はどうなる?
母子家庭になると子どもが小さくても働かなければいけない……という人が多いのではないでしょうか。
子どもは保育所に預けることになりますが、母子家庭になったからと言って保育料が免除になるわけではありません。
ただ、所得や家庭の状況に応じて減免措置があります。
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保育料が決まる5つの要素
まず、保育料はどのように決まるのかを理解しておきましょう。一般には次の5つの要素で決まります。
- 世帯全体の所得(納付する住民税の額で決定する)
- 自治体によって異なる
- 子どもの年齢(低いほど高い)
- 子どもの数(2人目からは安くなり、3人目からは無料になる)
- 預ける時間(夜間や延長保育を頼むと高くなる)
これらを総合して、保育料は算出されます。
母子家庭の保育料減免制度
母子家庭というだけでは保育料が免除になりませんが、生活保護世帯や住民税の徴収が猶予または納期が延期された場合などは減免されます。
ただ、自治体によって対応が異なるので一度相談してみましょう。
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離婚後の児童手当や児童扶養手当について~まとめ
児童手当は離婚の有無にかかわらず15歳までの子どもを養育している家庭に支給されます。基本は子どもと同居して生計を担っている人に支給されるので、離婚するまでは多くの家庭で父親が受給しています。
しかし、離婚して別居すると子どもを引き取り同居している人が受給するようになります。ただ、自動的に変更されるわけではありません。
一方、離婚や死別などでひとり親になった場合には「児童扶養手当」が支給されますが、所得制限や公的年金受給者には支給されないなどの条件があります。
また、家庭の状況によっては保育料が減免されるケースがありますが、やはり自治体によって対応が異なります。
このように離婚に伴う児童手当や保育料などは非情に複雑ですので、心配な方は以下のリンクから弁護士にまず無料相談をしてみましょう。
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