DINKS・共働き子なし夫婦は離婚しやすい?
DINKSとは
DINKS(ディンクス)という言葉が日本に広まったのはバブル期のころです。そして現在ではDINKS離婚という言葉も耳にするようになりました。
しかしDINKSという言葉の意味をはっきりとは知らないという方もいるのではないでしょうか。
ここではDINKSの意味とその範囲についてみていきます。
共働きで子を持たないこと
DINKSとは「Double Income No Kids」の略語です。つまり「共働きで子どもがいない」という意味ですね。
DINKSは子どもがいないことで夫婦二人の時間も一人の時間も十分に持つことができ、金銭的余裕がうまれるという利点があります。結婚しても仕事や趣味をあきらめずに済むという新しいスタイルが話題になりました。
また、日本では「結婚したら子を持つもの」という考え方が主流であるために、子どもを望まない人々の選択肢としても注目されています。
結婚したてで子どもがまだいない夫婦はDINKS?
それでは、結婚して間もないため、まだ子どもがいない夫婦はDINKSと呼ぶのでしょうか?
DINKSは子どもを持たないことを積極的に選択した夫婦を意味するので、子どもが欲しくてもできない夫婦や、希望しているがまだできないという夫婦は含みません。
経済的な事情や身体的事情などで子どもを作る予定がない夫婦も含めないと考えられます。
ただし、「子どもが欲しいか」「作る予定があるか」などの事情は個人的なものですから、明確な範囲を決めることはできないでしょう。
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DINKS夫婦の離婚率
DINKS夫婦の離婚率は高いのでしょうか?
残念ながらDINKS(子どもがいない共働き夫婦)に限定した離婚率として、公式なデータは存在しません。ここでは、子どものいる夫婦といない夫婦の割合、離婚件数などのデータからDINKSの離婚率を検証してみます。
子どものいない夫婦はかなり少ない
まず日本の夫婦のうち、子どものいる夫婦と、いない夫婦の割合はどれくらいなのでしょうか?
国立社会保障・人権問題研究所の調査では、結婚持続期間15年~19年の夫婦のうち、子どもがいない割合は2015年の調査で6.2%と、全体からみると非常に低い割合です。
少子化が叫ばれる中としては意外な数字とも言えますが、子どものいない夫婦というのはそもそも非常に少ないのが実態です。
この子どもがいない夫婦のうち、「子どもを持たないことを積極的に選択した夫婦」だけがDINKSにあたるので、この世代のDINKSは、すべての夫婦のうち 6.2%以下ということになります。
離婚件数自体は子のいる夫婦が多い
子どものいる夫婦といない夫婦の離婚件数はどれくらいなのでしょうか?
厚生労働省が過去4回(昭和59年度・平成2年度・平成11年度・平成21年度)発表している「離婚に関する統計」という資料があります。
日本人の離婚の動向についてまとめたもので、その一つとして「親権を行わなければならない子の有無」による離婚件数がデータ化されています。
親権を行わなければならない子の有無による離婚件数
厚生労働省の離婚に関する統計(平成21年度発表)によると、平成20年の離婚件数は全体で251,136件でした。
そのうち、親権を行わなければならない子がいる夫婦の離婚件数は、143,834件で、子がいない夫婦の離婚件数は107,302件です。
件数だけみると、子どもがいない夫婦よりも、子どもがいる夫婦のほうがたくさん離婚しているようにみえますね。
おおよそ
子どものいる夫婦:子どものいない夫婦=6:4
の割合です。
しかし、そもそも子どものいない夫婦自体が少ないので、離婚件数だけではDINKSの離婚率が高いとは言えません。
DINKSの離婚率は高い?
子のいない夫婦の割合は全体からみると非常に低い水準であり、DINKSはこの中に含まれています。
平成20年度の1年間の離婚件数、世帯数、子どもの有無でおおまかな離婚率を計算してみると、子のいる夫婦よりもいない夫婦のほうが離婚する確率はぐっと高くなります。
総数 | 子あり | 子なし | |
---|---|---|---|
離婚件数(H20) | 251,136 | 143,834 | 107,302 |
世帯数(H20) * | 47,957,000 | 18,961,000 | 1,073,000 |
離婚率推計 | 0.52% | 0.76% | 10.00% |
* 子ありの数値は「夫婦と未婚の子のみの世帯」「三世代世帯」の合算
こうした結果からは、子どもありの夫婦に比べ子なし夫婦の離婚率は大幅に高く、そのうちの一部、DINKS夫婦それぞれ独立性の高い生活様式を考慮すると、DINKSの離婚率は特に高い可能性も考えられます。
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DINKSが離婚しやすい理由とは
それではDINKSはなぜ離婚してしまいやすいのでしょうか?離婚しやすいことにはメリットもデメリットもあります。それぞれ原因別にみていきましょう。
再考する時間がない
DINKSが離婚しやすい理由として、離婚を考え直す時間がないことがあります。
子の親権や養育費を考えなくてよいため、合意があれば即離婚ができてしまうからです。
子どもがいる場合、学校の卒業や就職を待ってから離婚するケースもありますが、DINKSは子どものために離婚を延ばすことがないのです。
これはすぐに離婚できるというDINKSのメリットでもありますが、まだやり直せるような状態だった場合や後で後悔するようなケースでは、デメリットになってしまうでしょう。
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本当に今、離婚してもよいのか冷静に判断を
子どもがいないからといって、離婚による家族問題が起こらないとは限りません。
相手の家族や親せきとは何も問題がなくても、離婚してしまえば他人です。
特に女性は名字が変わることでわずらわしい手続きが必要になったり、周囲の目が変わったりということも覚悟しておく必要があります。
離婚まで時間がないからこそ、今一度離婚に際してのデメリットについても確認しておきましょう。
経済的に自立している
夫婦の双方が経済的に自立していることも、DINKS離婚のメリットでありデメリットです。
すぐに離婚しても生活に困らないため、離婚を軽く考えてしまうこともあるでしょう。
財産分与の確認を
経済的に自立しているとはいっても、二人で築いた財産は離婚時に分ける必要があります。保険や不動産など、分けにくい財産は多いものです。
額が大きな場合は、揉めないためにも弁護士などの専門家へ相談した方がよいでしょう。
自由な時間が多い
子どもの予定や育児にしばられずに自由な時間を持てるのはDINKSの良い点です。しかし、自由な時間が多ければ、それだけ出会いがあるもの。
子どもがいないと生活感がなく、出会いから恋愛に発展してしまい、離婚に至るケースがあることは否定できません。
慰謝料を請求できる場合も
子どもがいなくても、不貞による離婚では慰謝料を請求できる可能性があります。慰謝料の額や請求できるか否かはケースバイケースですので、弁護士に一度確認することをおすすめします。
生活がマンネリ化
子どものいる生活は変化に富んでいるものです。子の成長に伴いさまざまな課題をこなさなければなりません。良くも悪くも離婚を考える暇などないかもしれませんね。
一方DINKSは、週末は好きな時間に起き、二人で好きな時に外食や旅行を楽しむという生活スタイルを維持できるかもしれません。
しかし二人でいる時間が長いと揉め事も起こりがちです。余裕のあるライフスタイルも、マンネリ化すればつまらない毎日と感じてしまう可能性もあるでしょう。
夫婦どちらか一方がDINKSであることに不満を持ち始めたら、離婚の危険があるかもしれませんね。
DINKSの離婚は弁護士に相談を
DINKSは子どもや経済的な理由でしばられることがないことから、離婚を決意するのが容易なことがあるでしょう。
だからこそ、今一度冷静に考えてみる必要があるかもしれません。あとで後悔をしないためにも、専門家のアドバイスを受けつつ、慎重に検討しましょう。
DINKSの離婚には、弁護士のアドバイスも有効です。実際に離婚することになり、慰謝料や財産分与などを巡って揉めた場合でも、弁護士は心強い味方となってくれます。
離婚を決める前に、まずは一度、相談を検討してみてはいかがでしょうか。
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