MENU

国際離婚の手続きの手順と内容を徹底解説!親権に要注意!

国際離婚の手続きの手順と内容を徹底解説!親権に要注意!

国際交流が活発な現代社会では、外国人との結婚(国際結婚)が増えています。しかし、それと同時に問題となっているのが「国際離婚」です。

国際離婚をする際には相手国の法律も関係するため、日本人同士の離婚とはまた別の問題が発生します。

そこで当記事では国際離婚の手続きや内容をパターンや国別に紹介しつつ、子供がいる場合の親権など知っておきたいルールなどを解説します。

国際離婚は夫婦の居住地によって適用される法律が異なる

国際離婚_手続き_国別

各国には独自の法律があるので、離婚の際に適用される法律も状況によって大きく異なります。

国際離婚の場合はどこの国の法律が適用されるのかを知っておきましょう。

国際離婚と準拠法

国際離婚では、夫婦がどこに住んでいるのかが重要になります。「国際私法」によって、住んでいる国の法律に従うということが決められているからです。

この際に適用される法律のことを「準拠法」と言います。

日本では国際離婚の場合、次のケースによって適用される法律(準拠法)を定めています。

  1. 自分もパートナーも日本に住んでいる場合
  2. 夫婦ともにパートナーの国に住んでいる場合
  3. どちらかが日本でパートナーは別の国に住んでいる場合
  4. 自分もパートナーも第三国に住んでいる場合

下記の表のように、居住する国の法律によって離婚手続きを進めることになります。

第三国 第三国 居住している第三国の法律

自分の居住地 パートナーの居住地 適用される法律
日本 日本 日本の法律
パートナーの国 パートナーの国 パートナーの国の法律
日本 パートナーの国 日本の法律

なお、この場合の「居住」とは一時帰国的なものではなく、日本に住民票があり、1年以上居住していることが明らかな場合などを指します。パスポートなどから一時的な帰国であるとわかれば、常に居住している国(常居所)の法律に従うことになります。

夫婦ともに日本国内にいる場合の国際離婚の手続きの流れ

自分もパートナーもともに日本に居住する場合、または自分が日本に居住していてパートナーは外国で居住する場合は、日本人同士の夫婦のケースと同じように日本の法律に従って離婚の手続きを進めます。

日本での離婚手続きの流れ

日本での離婚は次のような流れで進めます。

  1. 夫婦で離婚について話し合う(協議離婚)
  2. 協議離婚で話がまとまらない場合は離婚調停
  3. 調停でも話がまとまらない場合は離婚裁判

お互いの協議で離婚が成立するのが一番スムーズですが、話し合いがこじれたら調停をします。

離婚裁判は時間がかかり、その間にパートナーが本国に帰国する可能性があります。

また、日本ではいきなり離婚裁判を起こすことはできないので、上記の流れに沿って進めるように決められています。そのため、まずは協議か調停で離婚成立できるようにしましょう。

配偶者の本国でも離婚手続きが必要

ただ日本で離婚手続きが完了しても、それだけでは安心はできません。

配偶者の本国ではまだ婚姻関係が継続しているからです。ここで注意したいのはパートナーの国できちんと婚姻関係が成立しているかどうか、という点です。

国によっても違いますが、中には日本で婚姻届けを出したが相手国では婚姻届を出さずそのまま一緒に暮らし始めたというケースがあります。

パートナーの国で婚姻が成立していない場合は特に離婚手続きは不要ですが、婚姻関係が成立していれば相手国の法律に従って離婚手続きをする必要があります。

パートナーの国で離婚手続きを進める際の注意点

手続き方法は相手国の在日大使館に問い合わせしてみましょう。国によっては協議離婚を認めていないところがあり、裁判の判決文が必要というケースがあります。

日本国内では協議離婚が成立したとしても、裁判所の判決文を得るために形式だけでも離婚調停をして、あえて不成立にして離婚裁判を起こす必要があります。

これはパートナーの国によって異なるので、そのまま放置せずに各国の大使館などに聞いてみましょう。

パートナーの国に居住している場合の国際離婚の手続きと内容

夫婦がともにパートナーの国に居住していて国際離婚をする場合は、その国の法律に従う必要があります。

そこでいくつかの国の離婚裁判の手続きや内容をご紹介します。

パートナーがアメリカ人の場合

アメリカでは州によって法律が異なるので、居住している州の法律に従って手続きを進めます。

例えばニューヨーク州では「書面による合意のもとで1年以上別居期間があるとき」「裁判所の命令で1年以上別居したとき」は離婚が認められます。

また、裁判では配偶者の不貞行為(不倫)や配偶者の3年以上の受刑・留置があるとき、または配偶者を虐待したときなどの場合、離婚が認められます。

一方、カリフォルニア州では「無過失離婚」、つまり夫婦のどちらかに過失がなくても離婚が認められています。

例えば「和解できない不和」といった理由でも離婚が可能で、またそれを証明する必要もありません。日本で言う協議離婚なら成立は早いですが、裁判をすると時間がかかります。

カリフォルニア州での離婚裁判では、最低でも半年間の待機期間があり、さらにそこから数年かかることもあります。

このようにアメリカは州によってかなり事情が異なるので、現地の弁護士に相談してみましょう。

パートナーが韓国人の場合

韓国では協議離婚が認められていますが、次のような手順を踏む必要があります。

  1. 夫婦が離婚に合意する
  2. 韓国の家庭裁判所で確認を受ける
  3. 韓国の役所に離婚届を提出する

ただし、慰謝料を請求する場合は協議離婚ではなく離婚裁判を行います。

パートナーが中国人の場合

中国人同士の夫婦の場合は協議による離婚が認められていますが、中国人と外国人の夫婦が離婚する場合は協議による離婚は認められていません。

基本的に離婚裁判を行いますが、中国内地の婚姻登記機関で婚姻登記を行っている場合は例外的に協議離婚が認められています。

方法は配偶者(中国人)の居住地の婚姻登記機関に出向いて離婚登記を行います。

パートナーがフィリピン人の場合

国際結婚の相手として人気も高いフィリピンですが、なんと「離婚」そのものを認めていません。これは宗教上の理由があるからです。

しかも夫婦がともにフィリピンに居住している場合、居住国の法律に従わなければなりません。

そこで、「婚姻関係解消(婚姻無効)」の手続きを行う必要が出てきます。これは現地の弁護士に依頼して手続きを進めてもらいましょう。

一方、日本にも婚姻届を出している場合は、離婚届を出すことで離婚は成立します。

パートナーがドイツ人の場合

夫婦が離婚に合意していても、離婚裁判を行います。また、その際には「1年間別居生活をしていること(家庭ない別居も含む)」「弁護士を立てること」という条件があります。

ただし、DV(暴力)を受けている場合は別居期間は1年未満でも裁判を起こすことが可能です。

国際離婚の場合、慰謝料はどうなる?

国際離婚では慰謝料の考え方や対応も国によって異なります。

国別の離婚慰謝料

国によって対応は異なりますが、下記のように「精神的苦痛」や「配偶者の不倫」に対しての慰謝料請求を認める国は少ないことがわかります。

慰謝料の対応
アメリカ 州によって対応は異なる
一般的に離婚の慰謝料請求はできても浮気相手への慰謝料請求はできない
韓国 協議離婚では慰謝料請求できない
離婚裁判を起こすことで離婚によって、失った財産の損害や精神的な苦痛に対する慰謝料請求は可能
中国 精神的な苦痛に対する慰謝料請求という考え方が存在しない
ただ物的損害に対しての賠償請求はできる
フィリピン 離婚そのものを認めていない
慰謝料請求もできない
ドイツ 離婚による慰謝料という概念がない。
そのため慰謝料請求もできない
暴力を受けた場合は「傷害」に対して損害賠償的な慰謝料は認められる場合がある。
フランス 不貞行為に対する慰謝料請求はできない
ただ離婚によって配偶者の生活レベルが下がらないよう「離婚補償手当」を支払う

国際離婚をした場合、親権と養育費はどうなる?

次に国際離婚した場合の親権と養育費について見ていきましょう。

親権に関して日本は「単独親権」なので、離婚したら父親か母親のどちらかが親権を持ちます。

しかし、海外では「共同親権」制を取っている国があります。ここが親権において日本との大きな違いでしょう。

養育費はどの国でも子どもの権利を守るために親が負担すべきと定めていますが、国際離婚の場合は離婚によって両親のどちらかが本国に帰国し、その後連絡が途絶えるケースが跡を絶ちません。

養育費の金額を決めると同時に支払い方法を決める、または前払いで一定額を受け取る(または自分が支払う)ようにすると安心です。

自分とパートナーが日本に住んでいる場合

自分もパートナーも日本に住んでいる場合は日本の法律に従って親権を決めます。

まずは夫婦で話し合いますが、それで親権や養育費が合意できない場合は調停、裁判へと進みます。

  1. 夫婦の話し合いで親権と養育費を決める(協議離婚が成立)
  2. 協議で結論が出ない場合は家庭裁判所で調停を行って決める(調停離婚が成立)
  3. 調停でも結論が出ない場合は離婚裁判を起こして判決を出してもらう(裁判離婚が成立)

パートナーの国に住んでいる場合

パートナーの本国に住んでいる場合は現地の法律に従いますが、どの国でも子どもの養育費は親の義務として支払うようにきちんと定められています。

アメリカの場合

アメリカは共同親権なので、離婚によってどちらか一方が親権を持つということはありません。ただ、両親は離婚して別れて暮らすため、子どもはどちらかの家に住むことになります。

どちらに住むかは話し合いで決めますが、主として暮らす家から別れた親の家に時々訪問するという形を取るケースが多いようです。

また、アメリカでは養育費の支払いは義務化されていて、州によって計算式が設けられています。約束通りに養育費が支払われないと罰則もあります。

韓国の場合

韓国は日本と同様に単独親権で、父親か母親のどちらかが親権を持ちます。以前は親の都合や親の権利として親権を決めていましたが、法改正によって子どもの幸せや権利を優先して決めるようになりました。

どちらが親権を持つかは協議、または裁判で決定します。

養育費に関しては離婚しても両親が子どもを養うという考え方があり、親権を持つ方が子どもが20歳になるまで養育を行い、親権を持たない方が養育費を負担します。

養育費の金額も協議または裁判で決定します。面会交流に関しても同様です。

中国の場合

日本で言う協議や調停、裁判で養育費を決定します。協議離婚の場合でも婚姻登記機関の登記員が話し合った内容(財産分与や養育費)を審査し、OKが出れば認められます。

内容が不十分な場合は指導(日本での調停)が行われ、それでも合意しない場合は裁判で決定されます。

ドイツの場合

離婚しても子どもが18歳になるまでは共同親権になりますが、どちらの親と一緒に暮らすのか、養育費や医療費はどのように負担するのかなどは離婚時に取り決めます。

面会交流についても話し合いで決めます。ただ、話し合いで合意に至らない場合は弁護士や青年局の担当者が子どもの意見を聞いた上で裁判で決定されます。

国際離婚をするなら要注意:ハーグ条約とは?

ハーグ条約とは、1980年にオランダのハーグで締結された、国際的な子供の連れ去りや留置をめぐる紛争に対応するための条約です。

国境を越えて子どもを連れ去られた場合に、双方の国が協力して元の場所に速やかに戻す手続きを取るというのが目的で、日本も2014年に加盟しています。

ハーグ条約の内容

国際離婚の増加によって、親権を持たない親が子どもを連れ去って自分の本国に無理やり連れて行くことがあります。

そうなると子どもは今までとは異なる環境、言語、人間関係の中で暮らすことになり大きなストレスを受けることになります。

そこで、ハーグ条約では「監護権の侵害を伴う国境を越えた子どもの連れ去り」に対して次のように定めています。

  • 子どもを元の居住地に戻すこと
  • 親権を持たない親との面会交流の機会を確保すること
  • 16歳未満の子どもが対象
  • 子どもがある程度成熟しており、子どもが連れ去った親の元で暮らしたいと意思表示した場合はそれを尊重する

日本がハーグ条約に加盟するまでは、親権を持たない親が子どもを本国に連れ去った場合は自力で探し出して取り戻す(捜索、相手国の裁判所で子どもの返還を訴えるなど)苦労が伴いました。

また、逆に外国で暮らす日本人が離婚して日本に一時帰国する際にハーグ条約に加盟していないため、わが子を日本に連れて帰れないといった問題も起こりました。

しかし、国際結婚の増加に伴ってこのような問題が増加したため、日本もハーグ条約の加盟を決断したのです。

ハーグ条約加盟のメリットと注意点

日本がハーグ条約に加盟する前は、例えば国際結婚で外国に住んでいたが離婚して日本に帰国する際に、子どももつれて帰ろうと思うと「連れ去り」つまり「違法行為」とみなされました。

しかし、ハーグ条約加盟後は日本に帰国申請を出す際に子どもを一時帰国させると申請すれば「連れ去り」とはみなされなくなります。帰国の許可が出やすくなるのです。

また、逆に日本に住んでいて別れた配偶者が帰国する際に子どもを連れ去った場合でも、日本の国から相手国に対して子どもの返還を求めることができます。

ただ、親権に関してはハーグ条約で取り決めることはできません。また、ハーグ条約に加盟していない国は対象外なので注意しましょう。

国際離婚の手続きまとめ

今回は近年増加している国際離婚の手続きや流れについて紹介しました。

互いに日本に住んでいる場合はそれほど難しく考える必要はありませんが、相手の母国や自分が外国にいる場合は注意が必要です。

また、外国の法律は法改正が行われることがあるので、必ず現地の法律に詳しい弁護士に相談してください。

「離婚と家族(子ども)」記事一覧