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離婚裁判の期間は平均どのくらい?流れや最短で有利に離婚する方法

離婚裁判の期間は平均どのくらい?流れや最短で有利に離婚する方法

イヤな相手とは一日も早く別れたいもの。協議(話し合い)や調停で離婚が成立しなければ離婚訴訟を起こすことになりますが、裁判は想像以上に時間がかかります。

このページでは離婚裁判の期間がどれくらいなのか、また、最短で有利に離婚を成立させる方法は何か……についてご説明します。

離婚裁判の期間は平均どのくらい?

離婚裁判_期間_平均

結論から言ってしまうと、離婚裁判を起こしてから判決が出て離婚が成立するまでに平均12.9ヶ月ほどかかると言われています。

また、相手方が争った場合には平均で17.5ヶ月もの期間がかかると言われています。

長引くと2~3年もかかるケースも珍しくなく、最長では揉めに揉めた結果4年近く続いたという例もあります。

離婚裁判にこれほどの期間を要する理由は、裁判に多くの過程があるからです。

離婚裁判の過程

離婚裁判は次のようなステップで進めていきますが、その前に離婚調停を行う必要があります。

日本では「調停前置主義」があり、裁判を起こす前にまず調停で話し合いを進めるように定めているからです。調停で離婚に合意できない場合は裁判を起こします。

裁判はおおまかに書くと次のような過程で進められます。

ステップ 内容
訴状を提出する 離婚を望む人(原告)が裁判所に訴状を提出する
(13,000円の収入印紙と戸籍謄本が必要)
第1回口頭弁論の期日が決まる 裁判所が訴状を確認し、第1回口頭弁論の期日を決める
第1回口頭弁論の期日が知らされる 相手(被告)に裁判所から訴状の写し(副本)と第1回口頭弁論期日の知らせが届く
第1回口頭弁論が開催 裁判所で第1回目の口頭弁論が開催される
2回目以降の口頭弁論が開催 第1回目の口頭弁論から約1ヶ月後に第2回目の口頭弁論が開催される
その後も1ヶ月~1ヶ月半に1度のペースで口頭弁論が開催される
争点整理や事実の調査 裁判の主旨(何が争点なのか)を裁判所が整理し、提出された証拠を調べる
判決が出る 裁判所が判決を出す

離婚裁判が結審するまでの期間

では、これらのステップをどれくらいの期間で行うのでしょうか。

裁判所が公開している「司法統計」の「婚姻関係事件数  終局区分別審理期間及び実施期日回数別」(平成30年度 全家庭裁判所)から離婚裁判と調停のそれぞれで離婚が成立するまでの期間を調べてみました。

離婚の認容(成立)件数は2021件、調停成立件数は35,081件で、それぞれの期間は下記の通りとなっています。

これを見ると、離婚調停の約65%は6ヶ月以内に成立していますが、離婚裁判が6ヶ月以内に結審する割合は約29%です。1年(6ヶ月以上~1年)がもっとも多く約46%を占めています。さらにそれ以上かかる場合も多くあります。

(単位:件)

審理期間 裁判 調停成立
1ヶ月以内 9(0.4%) 974(2.8%)
3ヶ月以内 118(5.8%) 9,217(26.3%)
6ヶ月以内 451(22.3%) 12,672(36.1%)
1年以内 934(46.2%) 9,613(27.4%)
2年以内 476(23.6%) 2,509(7.2%)
2年を超える 33(1.6%) 96(0.3%)

出典:平成30年度 婚姻関係事件数  終局区分別審理期間及び実施期日回数別 全家庭裁判所

離婚裁判に時間がかかる理由

上と同じ調査で離婚裁判と離婚調停のそれぞれの審理実施期日回数を調べたところ、次の表のようになりました。

これを見ると離婚調停は2回がもっとも多く22%、次いで3回が19.8%となっています。一方、離婚裁判では6~10回が34.8%ともっとも多くなっています。

このように審理の回数が多いことも裁判が長引く要因になっていると考えられます。
(単位:件)

回数 裁判 調停成立
1回 88(4.4%) 4,836(13.8%)
2回 145(7.2%) 7,719(22.0%)
3回 313(15.5%) 6,958(19.8%)
4回 362(17.9%) 5,264(15.0%)
5回 295(14.6%) 3,584(10.2%)
6~10回 704(34.8%) 5,994(17.1%)
11~15回 89(4.4%) 645(1.8%)
16~20回 13(0.6%) 74(0.2%)

途中で和解を促されることも

なお、裁判は最後まで争うだけでなく、途中で裁判所から和解を促されることもあります。その時点でお互いに和解すれば早期に離婚が成立します。

また、裁判の途中で訴えを取り下げることも可能です。相手ともう一度やり直したいということもありますし、子どものために離婚はしないという選択肢もあります。そんなときは訴訟の取り下げをします。

裁判離婚を行うためには「法定離婚事由」を満たす必要がある

なお、日本の法律では、以下の「法定離婚事由」を満たす場合のみ訴訟を起こすことができると定められています(民法第770条)。

法定離婚事由

  • 配偶者に不貞な行為があったとき
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき(同居しない、生活費をいれないなど)
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき(アルコール依存症は含まれない)
  • その他婚姻を継続しがたい重大な事実があるとき(DV、セックスレスなど)

したがって、有責配偶者(不貞やDVなどを行った配偶者)からの離婚請求は、原則として認められません。

ただし「別居期間が8~9年を超える」「未成年の子どもがいない」「離婚によって相手が厳しい状況に置かれない」などの要件を満たす場合は、例外的に有責配偶者からの離婚事由が認められることもあるようです。

離婚裁判で決めること

離婚裁判では、一般的に以下の事項について決めることになっています。

  • 離婚の可否
  • 慰謝料・養育費・財産分与の金額
  • 未成年の子どもの親権者

離婚裁判の期間に起きるおおまかな流れ

離婚裁判の大まかな流れについて、解説します。

  1. 管轄の家庭裁判所に提起
  2. 第1回口頭弁論
  3. 被告側から答弁書を提出
  4. 口頭弁論
  5. 判決、または和解
  6. 離婚届の提出

管轄の家庭裁判所に提起

まずは管轄の家庭裁判所に定期をする必要があります。

これは夫婦が最後に一緒に住んでいた住所地、またはどちらか一方の住所地が管轄です。

第1回口頭弁論

訴状提出から3~10日ぐらいで、第1回口頭弁論期日の通知が裁判所から届きます。

第1回口頭弁論期日は、訴状提出の約1ヶ月が目安と考えておくと良いでしょう。

被告側から答弁書を提出

訴訟を提起する際に原告から提出された訴状には、原告の言い分が記載されています。

被告側の弁護士は、その内容に対する反論を「答弁書」にまとめ、裁判所に提出します。

口頭弁論

口頭弁論では、夫婦がお互いの意見を裁判官の前で述べます。あらかじめ準備した証拠などに基づき、それぞれ主張・反論を繰り返していくのです。この口頭弁論は、月1回ぐらいの頻度で第2回、第3回……と重ねていきます。冒頭でも記載しましたが、短くて半年、ほとんどは1年~1年半続くと見ておいて良いでしょう。

判決、または和解

裁判官が判決を下すのに充分だと判断すると、弁論を終結。あらかじめ指定された判決言渡期日に、判決が言い渡されます。判決結果が原告・被告のもとに届いて2週間後に、効力が確定します。

裁判官が和解を勧めてくることも多く、実は約半数が和解で決着をつけていると言われています。和解する場合は「和解調書」が作成され、判決と同様の効力を有することになります。「離婚裁判」を早く終わらせるためには、和解を選ぶのもひとつの方法です。

離婚届の提出

判決確定後10日以内に、離婚届を「判決の謄本」「判決確定証明書」と一緒に役所に提出します。

10日以内に離婚届を提出しないと過料が課されるおそれがありますので、注意が必要です。

離婚裁判の期間を最短かつ有利に終わらせる方法

離婚裁判は、ここまででご説明したように1年~2年はかかります。その間は離婚が成立しないので精神的にストレスを感じる人がいると思います。

そこで、少しでも早くしかも有利に終わらせる方法をご紹介します。

  • 書類は不備なく準備する
  • 有力な証拠をたくさん準備する
  • 親権はどちらが持つかを決めておく
  • 財産分与の内容を整理しておく
  • ある程度は妥協する
  • 和解に応じる
  • 離婚問題に強い弁護士に依頼する

書類は不備なく準備する

離婚訴訟を起こすときは裁判所に訴状を提出します。離婚裁判だけなら訴状は1つだけですが、離婚にともなって次の問題も訴える場合はそれぞれについて訴状を提出する必要があります。

  • 配偶者に慰謝料を請求する
  • 配偶者と浮気相手に慰謝料を請求する
  • 親権を希望する(子の陳述書)
  • 財産分与を請求する(財産の調査嘱託申出書)
  • 第三者が訴訟記録を閲覧できないようにする(第三者閲覧制限の申立書)

このように請求する内容によって多くの書類が必要になります。これらを不備なく準備することで裁判がスムーズに進められます。

また、訴状と一緒に戸籍謄本も提出します。本籍地が遠方の人は現地の役所に連絡して郵送してもらいます。その日数もかかるので、早めに準備しておきましょう。

有力な証拠をたくさん準備する

配偶者の不貞行為(不倫)やDV、悪意の遺棄などの理由で離婚を申し出る、または慰謝料を請求する場合は、それの証拠をなるべく多く集めて提出することが重要です。

「これは離婚になっても仕方ないだろう」「これは〇〇万円の慰謝料の支払いが妥当だ」と判断されるようになるべく有力な証拠を集めておきましょう。

有力な証拠の例

有力な証拠としては、次のものがあります。

訴える内容 証拠品
不貞行為(不倫)の慰謝料 ・ラブホテルに出入るする写真や動画
・Hな行為をにおわせるメールやLINEのやりとり
・不倫とわかる会話を録音したもの
DV(暴力) ・暴力を受けたときの傷の写真
・暴力をふるうときの様子の動画や音声データ
・暴力でケガや精神的に不調をきたして受診した病院の領収書や診断書
・暴力で部屋を散らかした様子の写真や動画
DV(モラハラ) ・暴言を録音したものや動画のデータ
・精神的に不調をきたして受診した病院の領収書や診断書
・暴言を記録したメモや手帳
悪意の遺棄 ・長期間別居している証拠(手帳や別居先の写真など)
・生活費が振り込まれていない預金通帳

これらは一例です。それぞれのケースでどんな証拠があると有利か、弁護士や探偵事務所で相談してみましょう。

親権はどちらが持つかを決めておく

裁判でよく争われるのが親権をどちらが持つかということです。

離婚前に夫婦で話し合いがついていればいいのですが、そうでない場合は自分が親権者としてふさわしいことを示す資料を準備しておくといいでしょう。

例えば、子どもを育てるのに必要な収入がある、現在の生活が大きく異ならない環境で住むところがある(子どもに転校をさせなくてもいい)、子どもへの愛情がある、子どもを養育する時間があるなどを伝えられると有利になります。

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財産分与の内容を整理しておく

離婚裁判では財産分与も争点になります。

あらかじめ自分がほしいものといらないものを整理しておくといいでしょう。

特に相手がほしがるもの(車、宝石など)は相手に譲る姿勢を見せると話し合いが早く進みます。

ある程度は妥協する

たとえば配偶者の不貞行為が許せないからと言って2000万円もの慰謝料を請求しても、それは相場よりかなり高額になります。

よほど配偶者の収入が多いとか社会的地位が高いなど資力がない限り、その請求が通ることはありません。

テクニックとして最初は高めに請求するという方法もありますが、「何が何でもこの金額は得たい」と主張すると裁判が長引く可能性があります。どの程度で妥協するかというラインを決めておくといいでしょう。

和解に応じる

離婚裁判の途中で和解案を提示されることがあります。そのときの条件次第では和解に応じるのも早期に離婚成立させる手です。

ただ、どうしても譲れない条件がある場合は早々に和解せず、粘ってみるのもいいでしょう。

離婚問題に強い弁護士に依頼する

裁判は専門用語が多く、自分ひとりで戦うのはかなり困難です。また、有力な証拠がないと有利に進めることができません。

少しでも有利に、そして早く離婚を成立させるには離婚問題に強い弁護士に依頼するのが早道です。最適な方法で早期結審に導いてくれます。

離婚裁判の期間を最短にするため弁護士に依頼した場合の費用

離婚裁判を弁護士に依頼した場合、平均で総額50万~80万円ほどの費用がかかります。

これは一見すると高額ですが、自分でやってもかかる収入印紙代等の諸費用1万5千円を含む金額なのと、すべての手続を代行して望んだ結果を出してくれるメリットがあります。

前述した1~2年間、離婚裁判を自分でやり続けるのは不可能ではありませんが、メンタルや時間的な負担から非常に困難です。

ただ弁護士に依頼することで話もスムーズに進みますし、慰謝料や養育費なども有利な条件になりやすいので、依頼する意味は大いにあるでしょう。

離婚裁判の期間まとめ

離婚裁判の結審までは通常1年~2年かかります。少しでも早く離婚を成立させるには有力な証拠をそろえ、和解を促されたら応じるなどの方法がありますが、いずれにしても自分ひとりの判断で進めるのは非常に大変です。

離婚問題に強い弁護士に依頼することで、離婚裁判をスムーズに進められます。無料相談を行っている事務所も多いので、まずは相談をしてみてはいかがでしょうか。

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