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婚約破棄とは?慰謝料相場や請求の流れ、口約束でも請求可能か解説!

婚約破棄とは?慰謝料相場や請求の流れ、口約束でも請求可能か解説!

離婚した際に慰謝料請求できることは多くの人がご存知の通りですが、まだ結婚していないカップルが婚約破棄された場合にも慰謝料請求はできるのでしょうか?

このページではそんな「婚約破棄」について詳しく説明しつつ、慰謝料の相場や慰謝料が発生するタイミングなども紹介していきます。

婚約破棄とは?

婚約破棄とは、「婚約」という結婚を約束する「契約」を破棄する行為を指します。

婚約は「婚姻の予約」という一種の契約なので、それを正当な理由がなく破棄することは、次のような理由で「不法行為」となります。

  • (結婚に対する)期待権の侵害
  • 契約不履行

ただし、これらは不法行為であっても犯罪行為ではありません。

結婚詐欺でない限り罰則はありませんが、損害賠償責任や慰謝料の対象となります。

婚約破棄に該当する不当な理由

婚約が成立している状況で、次のような理由で相手から婚約を破棄された場合、正当な理由とは言えない(不当な理由)ので婚約破棄に該当します。

  • 性格の不一致
  • 親に反対された
  • 占い師に「相性が悪い」「時期や方角が悪い」と言われた
  • 信仰の違い
  • 出身地(部落差別)や職業に対する差別
  • 国籍を理由に断る
  • お互いの家の格や家風が合わない
  • 相手が浮気をして、「他に好きな人ができた」と言ってきた

つまり、相手からこんな理由で「結婚できない」と言われても、自分や親は納得できないという場合は「不当な理由での婚約破棄」となります。

婚約破棄が認められる正当な理由

一方、下記は「正当な理由」として婚約を破棄することが認められています。

  • どちらかが浮気をしていた
  • どちらかが既婚者であることを隠して婚約した
  • どちらかが結婚前に失踪した
  • どちらかが暴力をふるう、暴言が続く
  • どちらかが社会的常識を逸脱した行動をする
  • どちらかが精神疾患や重い身体障害を負った
  • どちらかが一方的に結婚式の中止や延期、変更を決めた
  • どちらかの性的な不能や異常な性癖がわかった
  • 婚約時から相手の経済状況が変わり、経済的に生活できなくなった
    (多額の借金など)

相手がこのような状態であれば自分から婚約破棄をしても仕方がない、つまり「正当な理由での婚約破棄」として認められます。

婚約破棄に至る男女の割合(確率)

婚活支援サービスである「パートナーエージェント」が2,400人もの男女に行ったアンケートによると、約20%に男女が婚約破棄をされているとの事でした。

つまり確率にすると5組のうち1組の確率で婚約破棄をしているという計算になります。

また、違うサイトの調査では約47%が婚約破棄をした、されたと回答していることから、婚約をしていたにも関わらず婚約破棄はされるのは決して珍しい確率ではありません。

婚約破棄の慰謝料の相場は?

婚約破棄_慰謝料_相場

婚約破棄の慰謝料の相場は一般的に50万円~200万円と言われています。ただ高い場合は300万円になるケースもありました。

婚約破棄で慰謝料請求ができるかどうかは、「まだ結婚していなくても結納を交わしている」「結婚式場の予約や招待状の発送を済ませている」など、周囲の人が「婚約関係である」と承知しているかが関係しています。

そして明らかに婚約関係であり、正当な理由がないのに婚約破棄された時は相手に対して慰謝料の請求が可能です。

婚約破棄の慰謝料の内訳

なお、婚約破棄の慰謝料には次の2つがあります。

  1. 婚約破棄されたことに対する精神的な苦痛(損害)
  2. 結婚準備にかかった金銭的・財産的な損害

① の精神的な苦痛に対する損害賠償を金額で算定するのは難しく、状況によって金額に差が出ます。

婚約破棄で慰謝料が請求できるケースを紹介

婚約破棄_慰謝料_相場_請求できるケース

では、続いて慰謝料請求できるケースを紹介していきます。

慰謝料請求には「婚約」しているかどうかが重要なので、まずは婚約が具体的にどのような状態を指すのか解説していきましょう。

慰謝料請求可能な「婚約」とは?

具体的には次のようなケースを指します。

当たり前ですが、婚約破棄と認められなければ慰謝料も請求できないので、前述した婚約破棄が認められる理由と近いです。

  • 両親や親戚に婚約者である(またはこの人と結婚する)と紹介している
  • 結納を交わした
  • 婚約指輪を渡した(もらった)
  • 結婚式場や披露宴会場を予約した
  • 結婚式や披露宴の招待状を発送した
  • 新婚旅行の予約(申し込み)をした
  • 新居に引越している(または新居を契約した)
  • 寿退社(会社に結婚すると言って退社)した

口約束だけの婚約では慰謝料請求できない!

一方、「結婚しよう」と口頭で約束しただけの場合は「婚約」が立証できず、慰謝料請求もできません。

婚約破棄で慰謝料請求できない「婚約」の事例

例えば次のようなケースは「婚約」が立証できず、慰謝料請求もできません。

  • 相手から「〇〇になったら結婚しよう」と言われた
  • 相手から「一緒に暮らしたいね」と言われた
  • 友達に「結婚しようと思っている相手」として紹介した
  • 婚約指輪としての意味ではない指輪(ファッションリングなど)を贈られた

プロポーズは婚約したことになる?

また、「結婚してください」などのプロポーズをした(された)場合も、残念ながら「婚約」とは言えません。

これは相手が「そんなことは言っていない」と言う可能性があり、その場合に証明をすることができないため正式な婚約としてはみなされないのです。

その状況で「やっぱり結婚できない」と言われても、慰謝料請求の対象にはならないので注意してください。

婚約破棄で慰謝料が高くなるケースは?

婚約破棄の慰謝料の相場は50万円~200万円、高い場合は300万円の支払いが認められたケースなどがありますが、一般に以下のような場合は慰謝料が高くなる傾向にあります。

  • 新居に入居する契約で敷金・礼金などを納めている
  • 既に婚約指輪や結婚指輪を購入している
  • 結婚式場・披露宴会場・ドレスなどを予約して費用を納めた(またはキャンセル料が必要)
  • 新婚旅行を予約した(お金を入金した、またはキャンセル料が必要)
  • 新居の準備費用(家具や電化製品などの購入費用)がかかった
  • 妊娠(または中絶)している
  • 婚約破棄で心身に不調を来たし治療を受けている
  • 相手の年収や社会的地位が高い
  • 交際期間や同居期間が長い

結婚式場や新婚旅行、新居の準備費用などでキャンセル料や実費がかかっている場合は、その金額を損害賠償請求することも可能です。実際に裁判で認められたケースがあります。

また、交際期間(婚約期間や同居期間)が長いと相手は「当然結婚できる」と思っているため、婚約破棄によって精神的な苦痛が大きくなります。そのため、慰謝料も高くなる傾向が強いです。

結納金はどうする?

結納金を受け取っているのに婚約解消(婚約破棄ではなく双方の合意によって解消)になった場合、結納金は返還します。

受け取った方から婚約破棄を申し出た場合、地方によっては「倍返し」(100万円の結納金なら200万円を返す)をするところもありますので注意しましょう。

一方、結納を納めた側が原因で婚約解消する場合、納めた結納金の返還は請求しません。

婚約破棄の慰謝料請求の流れ

婚約破棄_慰謝料_相場_慰謝料請求流れ

婚約破棄されたことに対する慰謝料請求は、次のような流れで進めていきます。

  1. 慰謝料請求を申し出る(口頭よりも内容証明郵便などが効果的)
  2. 双方で話し合う
  3. 話し合いがまとまらない場合は調停を申し出る
  4. 調停でも合意しない場合は裁判を起こす

話し合いで合意できれば調停や裁判は不要ですが、話し合いがまとまらずにもつれることがあります。そんなときは調停や裁判など公平な立場で判断できる第三者に決めてもらいましょう。

裁判になる場合は証拠が必要

話し合いでもそうですが、特に裁判になると「婚約破棄された証拠」が必要になります。まずは「婚約したこと」を証明しなければなりません。

例えば結婚式場の予約票や入金した振り込み票や領収書、婚約指輪などの物証が有効です。

そして婚約破棄を申し出られた日時や状況、相手側が言っている理由などをメモしておきましょう。

心身に不調を来たしたときは診断書をもらっておく

婚約破棄を申し出られたことでうつ病になるなど心身に不調を来たしたときは、必ず医師の診断書をもらっておきましょう。

また、相手から暴力を受けたらケガをした写真や部屋が散らかっている写真などを残しておき、治療を受けたら診断書をもらっておくことも重要です。

暴力は婚約破棄による慰謝料だけでなく、治療費の実費や傷害に対する損害賠償請求もできますし、警察に傷害罪として相談することもできます。そのためにもしっかりと証拠を残しておきましょう。

婚約者の浮気(不貞行為)が見つかった場合

不貞行為は結婚している夫婦のどちらかが配偶者以外の異性と性行為を持つことを言いますが、正式な婚約をしている場合にも該当します。

婚約中の浮気に対しての慰謝料請求も可能ですが、その際には「正式な婚約関係であること」を証明するために結納や結婚式場の予約があることを見せて証明する必要があります。

さらに相手が不貞行為をしている証拠を出さなければなりません。異性と食事や映画に行くだけでは不貞行為とはみなされないので、肉体関係にあることを写真や動画、録音などを押さえます。これは素人では難しいので、探偵事務所に相談して進めましょう。

慰謝料請求の時効は3年

婚約破棄に限らず「慰謝料請求」の時効は3年です。民法第724条にあるように、損害や加害を知ったときから3年以内に請求しないと、その権利は消滅します。

(民法第724条)【不法行為による損害内相請求権の期間の制限】
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。
不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。

婚約破棄の慰謝料請求はひとりで悩まないこと!

婚約破棄は親にも言えず苦しむケースがあります。特に親戚や友人に結婚式・披露宴の招待状を送付しているのに、「婚約破棄になった」と伝えるのは恥ずかしく、誰とも会いたくないと思ってしまうものです。

しかし、もしあなた自身に非がないのであれば、必ず慰謝料請求を進めましょう。「婚約」は婚姻届を提出していない状況なので、正式な婚約と認められるかどうか、また婚約破棄の理由が正当なものではないということを証明する必要があります。

その場合は自分ひとりでは難しいことが多いので、弁護士に相談しながら進めると安心です。

婚約破棄でよくある質問Q&A

婚約破棄に関してよくある質問をご紹介します。

Q:婚約破棄されたら結納金はどうなりますか?

交際中の彼女と結婚することになり、両親と一緒に相手の家に結納に行きました。結納金も納めていますが、彼女の方から「昔の恋人と再会して気持ちが変わった」という理由で一方的に婚約破棄されました。
すでに結婚式場も予約しています。

結納金や式場の費用はどうなりますか?

A:婚約破棄されたら返還してもらいましょう

結納を交わしたということは正式に婚約したということになります。それを不当な理由で一方的に婚約破棄された場合は返還してもらえます。

結納を納めた後に女性側から婚約破棄された場合は、地方によっては「倍返し」と言って受け取った金額を2倍にして返すところもあります。

自分から返金を言いにくい場合は親を通じて交渉してもらうといいでしょう。式場はキャンセルして、キャンセル料が必要な場合は相手に負担してもらいます。

もちろんあなたが負担した費用は相手に支払ってもらいましょう。

さらに精神的な苦痛を受けたことに対する慰謝料請求もできます。

弁護士に相談すれば結納金の返還や慰謝料請求をすべてやってくれるのでおすすめです。

Q:婚約の証拠がないときはどうすればいいですか?

結婚の約束をしていた彼は、「どうせ一緒になるんだから」と言って私の家(賃貸マンション)で同居を始めました。お互いの親にも「結婚を考えている」と紹介し、顔合わせをしています。

2人で暮らすには狭い部屋だったので広い物件を探して、私の名前で契約をしました。引っ越しの準備を進めていたら、彼が「君の本気度が重くて怖い」と言って出て行ってしまいました。
結納や婚約指輪などはなく婚約をしたという証拠はないのですが、新しい部屋の契約など私の負担だけが残っています。この場合、彼に婚約破棄として慰謝料を請求できるでしょうか。

A: 親に紹介していれば婚約状態と考えられます

親に本人を引き合わせて「結婚相手」と紹介していれば、相手(彼)も結婚の意思があったと考えられます。

その場合は婚約が成立していると言えますが、広い部屋の契約や引っ越しを彼が合意していたのかどうか…で慰謝料や契約に関する費用の請求が可能かどうかが分かれます。

今までの状況をできるだけ詳しく時系列に書き出した上で弁護士に相談してみましょう。他にも結婚の意思が確認できるものがあれば婚約成立と判断でき、それを相手が破棄したということで慰謝料請求などが可能になります。

婚約破棄の慰謝料まとめ

双方の親や親戚など、周囲の人が2人の婚約を承知しており準備を進めているような「婚約」状態なのに、正当な理由がなく婚約破棄された場合は慰謝料請求が可能です。

慰謝料の相場は50万円~200万円ですが、中には300万円になるケースもありますので、後々後悔しないためにも精神的苦痛を受けた場合は必ず慰謝料請求をしましょう。

相手との話し合いがまとまらない場合も、調停や裁判で慰謝料の決定をしてもらうことができます。ただその際には法律の専門知識が必要になるため、弁護士に相談しながら進めると安心です。

最近は無料相談ができる事務所も多いので、自分の婚約破棄のケースが慰謝料請求が可能かどうかを調べるためにも、まずは無料相談をしてみてはいかがでしょうか。

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