離婚慰謝料の請求の時効は3年?不貞行為DVなどで変わる?起算点や中断方法も解説!
実は離婚の慰謝料請求にっは時効があるります。
一般的に時効と聞くと刑事ドラマなどで犯人が一定期間捕まらずにいると時効が成立し、警察が捕まえることができないといったシーンを思い浮かべる人が多いかも知れません。
しかし犯罪以外に生命保険金の請求や慰謝料の請求などにも時効があり、時効までに請求しないとその権利を失ってしまいます。
そこで離婚時の慰謝料の時効について、時効が始まる期間はいつからなのか、という起算点や裁判を起こして「時効を中断する方法」なども詳しくご説明します。
離婚の慰謝料とは?発生するケースは?
まず、離婚時の慰謝料とは、大きく分けると次の3つのように精神的または身体的に苦痛を受けた場合に発生します。
- 配偶者に不貞行為があった場合
- 配偶者からDV(暴力)を受けていた場合
- 悪意の遺棄があった場合
配偶者に不貞行為(浮気)があった場合
不貞行為とは浮気や不倫のことで、具体的には配偶者以外の異性と性行為を持つことを指します。
ただ不貞行為とみなされるのはケースバイケースで、裁判では性交渉を持たなくても特定の異性と継続して交際をしている場合なども不貞行為として離婚が認められる場合もあります。
配偶者からのDVやモラハラを受けている
最近増えている配偶者からのDV(暴力)が原因で離婚した場合も慰謝料請求ができます。
DVでケガを負った場合は医師の診断書やケガの写真などがあると思うので、それを用意することが出来れば強い証拠になります。
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また、物を投げ散らかすなどDVで散乱した部屋の写真も有効です。
なお、DVにはモラハラも含まれます。日記やメモに相手の言動を記録したり、ICレコーダーで録音したりしておくと証拠になるでしょう。
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悪意の遺棄があった
夫婦の間には「協力する義務」や「扶養する義務」「同居の義務」があります。
しかし、配偶者が生活費を渡さない、同居を拒否する、家出や浮気相手の家で生活するなどで同居をしない、病気の配偶者を病院に連れていかないなどの場合、これを「悪意の遺棄」といい、離婚の原因として認められますし、慰謝料の請求もできます。
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反対に離婚で慰謝料が発生しないケースとは?
逆に次の場合、慰謝料は発生しません。
- 性格の不一致による離婚
- 夫婦の双方に離婚の原因があり、それが同程度の場合
性格の不一致は、夫婦のどちらが悪いわけではありません。
また、夫婦のどちらにも離婚に至る原因があり、しかもそれが同程度の場合は慰謝料は請求できません。
離婚の慰謝料の時効は3年
離婚での慰謝料が請求できる場合、タイトルにもある通りその時効は「3年間」です。
民法第724条に、次のように記されています。
第724条
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
ちょっとわかりにくい表現ですが、要約すると「損害や加害者を知ったとき」=「離婚が成立したとき」という意味です。
また、「不法行為の時から」というのは「配偶者の不貞行為(浮気など)が始まった日」と考えられています。
離婚慰謝料の時効が始まる起算点はいつ?
では続いて上記の3年という時効はいつから数えるのか、その「起算点」についてご説明します。
民法第724条にもある通り、離婚慰謝料の時効が認められるのは「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時」から3年間となっています。これを「消滅時効」と言います。
一方、「不法行為の時から20年を経過したとき」の20年間のことを「除斥(じょせき)期間」と言います。
例えば夫の浮気を知らずにいたものの、浮気(=不法行為)が始まってから20年以内であればまだ時効は成立していないので、すでに離婚をしていても慰謝料が請求をすることが可能です。
反対に浮気が始まってから25年が経過していた場合、状況や互いの関係にもよるのですが離婚して3年以内でも慰謝料を請求できないケースもあります。
浮気が始まってから20年以内の場合でも夫の不貞行為(浮気)を知った日からの時効は3年間なので、その間に慰謝料を請求しなければいけません。
整理すると、時効の起算点には次の3つがあります。
- 離婚が成立したときから3年間(消滅時効)
- 配偶者の不貞行為を知ったときから3年間(消滅時効)
- 離婚原因(浮気など)が始まったときから20年間(除斥時効)
①:離婚が成立したときから起算点が始まる
まず(1)のケースについてご説明します。
この場合、離婚が成立してから3年以内であれば慰謝料請求ができるということになります。
配偶者の不貞行為を知ってから3年間
配偶者の不貞行為があった場合は、「不貞行為を知った日から」時効は始まり、時効期間は3年間です。
ただし一般的には離婚によって精神的な負担を負ったことで慰謝料請求するケースが多く、離婚前に配偶者の浮気を知っていた場合でも時効の起算点は「離婚が成立したとき」として考えます。
離婚後に配偶者の不貞行為を知った場合
最後に (3)のケースを見てみましょう。
例えばA子さんが夫のYさんと離婚をしましたが、その時は慰謝料を請求しませんでした。
しかし結婚していた時にYさんが職場の同僚のMさんと浮気をしていたということを、離婚後に知ります。
離婚成立からすでに3年が経過しているため離婚の慰謝料請求は時効を迎えていますが、夫の浮気(不貞行為)に対する時効は「不貞行為が始まった日から20年間」で、かつ「不貞行為を知った日から3年以内」に請求すればいいので、今からでも慰謝料請求は可能ということになります。
補足:不倫相手への慰謝料請求は離婚後でも可能
ちなみに上記の例は配偶者に対する慰謝料請求の時効ですが、不倫相手に対しては離婚成立後でも可能です。
この場合は相手の顔、名前、住所などを特定したときから3年が時効になります。
時効の3年はすぐに来る!そんなときは時効の中断が可能
3年間は意外と早くに過ぎてしまいます。慰謝料請求が進まない場合や時効の期限が迫っている場合は、時効を「中断」することができます。
時効を中断する2つの方法
時効を中断するには「内容証明郵便を催告(送付)する」と「裁判を起こす」という2つの方法があります。
内容証明郵便を送付して時効を中断させる方法
内容証明郵便を送付して慰謝料を請求すると時効はいったん停止し、6ヶ月間は時効が中断されます。
その間に裁判を起こすことで、時効をゼロにして再スタートできます。
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裁判を起こして時効を中断させる方法
もうひとつは裁判を起こして時効を中断する方法があります。
裁判を起こすとその時点で時効は消滅しゼロに戻りますので、離婚慰謝料の時効目前の場合はこいった方法で中断するといいでしょう。
時効が過ぎても慰謝料請求できるケース
相手が慰謝料を支払う姿勢があれば、時効が過ぎていても請求(受け取り)は可能です。
ただし、自分で交渉するのは難しいので、この場合は離婚や慰謝料請求に強い弁護士に相談するのがおすすめです。
離婚の慰謝料請求の時効まとめ
今回は離婚後の慰謝料請求の時効について紹介しました。
離婚で慰謝料が請求できるのは、配偶者に不貞行為があった、DV(暴力やモラハラ)があった、悪意の遺棄があったときの3つです。
離婚時の慰謝料請求の時効は3年間で多くは離婚をしたときを起点に計算しますが、内容証明郵便の送付や裁判を起こすことで時効を中断させることができますので、時効に入ってしまいそうな場合は中断をするのが良いでしょう。
ただ時効間際の状況から個人で中断させるのは難しいので、慰謝料請求に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。
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