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シングルマザーの貧困問題と支援制度~仕事・子育て・お金の問題を改善するには

シングルマザーの貧困問題と支援制度~仕事・子育て・お金の問題を改善するには

シングルマザーが置かれている過酷な状況

女性の社会進出が進んでいるとは言え、シングルマザーとして子どもを育て上げるのは想像以上に大変。後ほど詳しく解説しますが、子どもが一人前になるまでには多額の教育費・生活費がかかります。

シングルマザーだって生身の人間ですから、時には体調不良でダウンしてしまうこともあるでしょう。そのような最悪の状況も常に想定しつつ、なるべく周囲を頼ることが大切です。

中には「頼る=自力で頑張らずに周りを当てにする」ことだと感じ、罪悪感を抱いてしまう方もいるかもしれません。しかし“真の自立とは、依存先を増やすこと”だと言われています。

実家の親、周囲のシングルマザー仲間、友人・知人、公的支援制度など、なるべく多くの人・機関に頼ること。その方が、子どものためになると考えましょう。

シングルマザーが一番苦しむ、経済的な厳しさ

シングルマザーにとって一番の心配事は、やはりお金でしょう。実際に多くの母子家庭が貧困に苦しんでいます。
お金が人生のすべてではありませんが、生きていくためにはあらゆることにお金がかかるのが現実。ここでは、具体的にどれぐらいのお金が必要になるのかを解説します。

子どもの学費~小学校から高校まで125万円、大学で400万円以上

文部科学省が発表した「平成28年度 子供の学習費調査」によると、小学校から高校まですべて公立に通った場合の学費(教育費・給食費・学校外活動費の合計)は、総額約125万円。

また同省の「平成30年度 学校基本調査」では、約7割以上の子どもが高校卒業後に大学または専門学校に進学していることが分かっています。

大学に進学した場合、私立文系または専門学校なら総額約400万円(年約100万円)、私立理系なら総額約600万円(年約150万円)が目安になります。国公立に進学すれば、もう少し学費を抑えることができるでしょう。
大学の学費を抑えるためには、奨学金制度の利用、夜間大学(昼間働いて夜通学する)、通信大学への進学なども検討してみましょう。防衛大学・防衛医科大学・海上保安大学など、授業料がかからないどころか給料をもらいながら学べる学校もあります。

もちろん子ども自身の夢や目標もあるでしょうから、早い段階から親子で進路について話し合っておくことをお勧めします。

老後の生活も考慮しておく必要あり

子どもの教育費だけでなく、自身の老後の生活についても準備しておく必要があります。総務省の「平成30年度家計調査年報」によれば、60歳以上の単身無職世帯の生活費は月161,995円。さらに住宅購入費や自分自身の介護費用についても、考えなければなりません。
年金だけでは生活するのが難しい時代が到来していますから、今からライフプランについて真剣に考えておきましょう。

元夫からの養育費も当てにできないかもしれない

元夫からの養育費は、なるべくキッチリ回収することが大切。しかし当てにできなくなるケースも多いことに注意が必要です。厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、「養育費の取り決めをしている」と答えたシングルマザーの割合は 42.9 %(前回調査 37.7 %)。2人に1人以上が「もう元夫と関わりたくない」などの理由で養育費をもらう約束をしないまま離婚しています。

元夫のDV・モラハラが原因でやむを得ず逃げるように離婚したケース、元夫が無職かつ借金を抱えており養育費を回収できる見込みがなかったケースなどが考えられます。

このような事情がない限りは、養育費の取り決めを離婚協議書に残してから離婚することをお勧めします。その際は、必ず“執行認諾文言付き公正証書”という形式にすることです。“執行認諾文言”とは「養育費の支払いを怠ったら強制執行をされても構いません」という意味の文言。これを作成しておくことによって、わざわざ裁判をしなくても元夫に強制執行をかけることができるのです。

シングルマザーは孤独?精神的な辛さ

昔に比べて核家族化が進んでいることも、シングルマザーを追い詰めています。誰も頼れる肉親がいない都会で、ひとりぼっちの状況で子育てしているシングルマザーは精神疾患を抱えることも少なくありません。

一度精神疾患になってしまうと、仕事をしながら子どもを育てることも困難になります。そうならないためにも、あらゆる手段を使って助けを求めることが大切です。

前項の経済的な苦しさと精神的な辛さは、密接に関連しています。シングルマザーの支援制度を知らなかったために貧困に陥り、その結果精神疾患になってさらに貧困に苦しむ“負のスパイラル”がしばしば見受けられます。
ですから、まずあらゆる支援制度を隅から隅まで理解して、とことん利用し尽くすことが非常に大切です。

フル活用しよう!シングルマザーの公的支援制度

ここでは、ひとり親家庭の家計を支援する様々な制度をご紹介します。ここに記載している以外にも各自治体で様々なサポート体制を整えていますので、お住まいの自治体に直接相談してみることをお勧めします。

  • 児童扶養手当
  • 児童育成手当
  • 母子父子寡婦福祉資金貸付制度
  • 所得税・住民税の控除
  • 上下水道料金の減免
  • 医療費助成制度
  • 住宅手当
  • 母子家庭等日常支援制度
  • 特別児童扶養手当
  • 生活保護

児童扶養手当

18歳になって最初の3月31日を迎えるまでの子どもを育てているシングルマザー・シングルファザーを対象に、国から年3回(4・8・12月)支給されます。

手当の金額は親の収入によって変動しますが、第2子の月5,000円、第3子以降の月3,000円は、収入に関係なく加算されます。

受給申請手続きは、お住まいの地域にある役所で行います。その際、子どもの戸籍謄本や健康保険証など身分証明書の提出が必要になります。詳しくは役所にお問い合わせください。

児童育成手当

こちらは地方自治体の制度で、同じく18歳になって最初の3月31日を迎えるまでの子どもがいるひとり親家庭に年3回(2月・6月・10月)支給されます。各地方自治体が定める要件を満たす場合に限り、児童扶養手当とセットで受け取ることが可能です。

例えば東京都では、子ども一人あたり月額13,500円となっています。

児童扶養手当と同様に、お住まいの地域の役所で申請手続きを行ってください。

母子父子寡婦福祉資金貸付制度

20歳未満の子どもを育てているシングルマザー・シングルファザーを対象に、無利子または低利子でお金の貸付けを行う制度です。

種類は

  • 事業開始資金
  • 事業継続資金
  • 修学資金
  • 技能習得資金
  • 修業資金
  • 生活資金
  • 医療介護資金

など多岐にわたり、それぞれ条件が異なります。

返済期間が長めに設定されているので、無理なく返済することができます。

所得税・住民税の控除

シングルマザーの家庭では、所得税27万円・住民税26万円の寡婦控除を受けることができます。現在の収入から上記の控除額を引いた上で、課税額を計算するという意味です。
さらに合計所得金額が500万円以下のシングルマザーについては、「特別の寡婦」として所得税35万円、住民税30万円の控除を受けることができます。

上下水道料金の減免

自治体によっては、上下水道料金の減額・免除を受けることができます。お住まいの地域で減免制度があるのかどうかについては、役所または水道局にお問い合わせください。

医療費助成制度

ひとり親家庭の母親(父親)と子どもの医療費については、自己負担額が助成されます。ただし所得制限があるので注意が必要です。

住宅手当

自治体によっては、ひとり親家庭を対象に住宅手当を支給していることがあります。自治体によって条件や支給額が異なるため、役所に確認してください。

母子家庭等日常支援制度

シングルマザーが病気やケガなどで家事・育児ができなくなった時、家庭生活支援員(ホームヘルパー)を派遣してくれる自治体もあります。
具体的には

  • 乳幼児の保育
  • 児童の生活指導
  • 家事
  • 生活必需品等の買物
  • 医療機関等との連絡

などをしてくれます。

特別児童扶養手当

身体・精神に障がいを持つ20歳未満の子どもがいるすべての家庭を対象に、国から年3回(4・8・12月)支給される手当です。

等級によって支給額が異なり、1級(身体障害者手帳1〜2級・療育手帳A判定)が月額52,200円、2級(身体障害者手帳3〜4級・療育手帳B判定)が月額34,770円となっています。この制度にも所得制限があります。

生活保護

病気になってしまい、働きたくても働けない状況に陥ることもあるでしょう。そんな時はお住まいの地域の福祉事務所(福祉課)に生活保護の申請も検討してみましょう。生活環境や就労の見込み、資産状況などを調査した上で認定の可否が判断されます。支給金額は、地域によって異なります。

シングルマザーのキャリアアップを支援する制度

現在専業主婦やパートタイマーの方は、キャリアアップをすることも検討してみましょう。正社員や専門職として就職すれば、収入も今より安定するようになるかもしれません。

マザーズハローワーク(マザーズコーナー)

全国にあるマザーズハローワーク(ハローワーク内のマザーズコーナー)では、シングルマザーが子育てしながら続けられる仕事を紹介しています。その他にも、キャリアアップの相談や保育所の情報提供などを行っています。

母子家庭等就業・自立支援センター

全国の自治体にある母子家庭等就業・自立支援センターでは、就職の相談から情報提供、キャリアアップ支援などを通して、シングルマザーの経済的自立をサポート。

具体的には

  • 公共職業訓練受講の案内
  • 就業支援講習会などの実施
  • 弁護士の無料法律相談

などを行っています。

自立支援教育訓練給付金

20歳未満の子どもを育てているひとり親家庭を対象とする制度です。「児童扶養手当を受給していること」「教育訓練の必要性が認められること」が要件となります。

厚生労働省が指定する職業訓練講座を受講し修了すれば、受講料の60%を給付金として受け取ることができます。ただし受講前にお住まいの各都道府県等から講座の指定を受ける必要がありますので、注意してください。

高等職業訓練促進給付金等事業

同じく、20歳未満の子どもを育てているひとり親家庭を対象とする制度。看護師・介護福祉士・保育士・歯科衛生士・理学療法士等、雇用の安定した専門職への就業を支援します。

資格取得の為に1年以上専門学校で学ぶ際、生活費と学費両方の負担を軽減するために「高等職業訓練促進給付金(月70,500円または月100,000円)」「高等職業訓練修了支援給付金(修了時25,000円または50,000円)」が支給されます。

離婚や法律トラブルで困ったことがあれば、弁護士に相談を

シングルマザーを支援する制度が意外と充実していることに、驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかしこれらの手厚い支援制度も、知らなければ利用することはできません。できれば離婚を決意した段階で、徹底的に調べておくことが肝心です。

そして離婚をする際には、後から金銭的に困ることのないよう養育費についてしっかりと決めておきましょう。離婚案件の経験豊富な弁護士に相談すれば、夫婦二人きりよりも交渉がスムーズになる可能性があります。

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