精神的苦痛が原因で離婚する場合の証拠は?診断書は慰謝料請求に使える?
精神的なことが原因で離婚をする場合、どのような理由で離婚を申し立てすれば良いのでしょうか。本記事では、必要な準備と「証拠集めの方法」について説明します。
精神的苦痛が原因で離婚する場合に証拠となるものは?
「精神的苦痛」が理由で離婚を考えている方は、個別のケース(離婚原因)によって、集めるものや証拠となる物が異なります。
以下に「証拠となる物」の一例を載せておきます。証拠の集め方も合わせて参考にしてください。
証拠となる物 | 証拠の集め方 |
---|---|
・ DVやモラハラを証明する映像や録音データ | スマートフォンや携帯電話で撮影したものでも証拠になる。 |
・ 夫婦関係が破綻していることを証明する日記など | ノートに書き記した物だけでなく、スマホやパソコンに残している日記でも証拠となる 。 |
・ 不貞行為の現場を押さえた写真や録音物 | 自分で撮影をしたり、専門の調査会社(探偵等)に依頼する人も多い 。 |
・ 暴力を受けた場合はケガの写真や医師の診断書 | ケガを受けた場合は写真だけで無く、医師の診察と診断書があれば有力な証拠となる 。 |
・ モラハラで精神的病を患った場合は、心療内科などの診断書を用意する | 精神的苦痛で不眠、不安が原因の諸症状を感じている場合は、心療内科や精神科で診断を受け、医師の正式な診断書を発行してもらうこと。 |
・ 金銭的被害を受けた場合、通帳やレシートなどを集めておく | 配偶者によって財産が損なわれた場合は、レシートや通帳記帳を行い証拠とする。 |
・ 財産(自分の所有物)を傷付けられた場合、破壊されたことを証明する画像を残しておく | スマートフォンや携帯電話で撮影したものでも証拠になる。 |
離婚をするためには、これらの証拠集めが必要になります。
録音データや映像、不貞行為の写真などは確保が難しいですが、暴行を受けたり精神病を患ってしまった場合の診断書は比較的容易かつ確実に入手する事が可能です。
しかも診断書は精神的な苦痛で離婚をする際の確実な証拠となるので、相手への義理や情は捨てて確実に医師から発行してもらうようにしましょう。
このほかにも、以下のページでは「離婚の原因別」にどのような準備や手続きをすれば良いのか詳しく解説しています。みなさんの離婚原因に一致する記事を探して、必要な手続きを始めてください。
精神的苦痛を理由に損害賠償(慰謝料)を請求することは可能?
離婚で慰謝料を請求する方は多いのですが、慰謝料請求とは「精神的苦痛に対する損害賠償」を意味します。
例えば、配偶者が別の異性と浮気をした場合、精神的苦痛を理由に慰謝料の請求が行えます。
また不貞行為だけで無く、相手の長期的モラルハラスメントや家庭内暴力・DV(=ドメスティックバイオレンス)をされた場合も、相手に対して慰謝料が請求できます。
DVの場合は安全に慰謝料を請求する方法がある
DVの場合、相手に恐怖を感じている方がほとんどなので「慰謝料を請求するのが恐ろしい」と躊躇したり「報復を受けるのでは無いか」と、恐怖に怯える方が多くいらっしゃいます。しかし、受けた被害に対して慰謝料を請求するのは当然の権利です。
また「DV問題」に強い弁護士に相談すれば(配偶者から)危害を加えられることなく、安全に慰謝料が請求してもらえるので安心です。配偶者からのDVでお困りの方は、自治体や弁護士に早めに相談を行ってください。DVの問題解決については本サイトで取り上げた、以下の記事が参考になります。
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そもそも離婚の原因として多い「精神的苦痛」の定義とは?
精神的苦痛といっても、さまざまな原因が絡んでいるはずです。例えば、相手が浮気をしたことで苦痛を感じる人、配偶者の心ない暴言など「モラルハラスメント」を理由に、苦痛を感じる方などさまざまです。
以下に「精神的苦痛となりうる例」をまとめてみました。
精神的苦痛となりうる例
- 相手に浮気(不貞行為)をされた
- 家庭内暴力(DV)を受けた
- モラルハラスメントが原因で、精神的苦痛を感じている
- 生活費を渡してもらえない、金銭的問題で苦痛を感じている
- 配偶者により権利を侵害されている、日常生活に制限を課せられている
- 相手は家庭を顧みないことで苦痛を受けている
- その他、配偶者から財産や名誉を傷付けられている
このように「精神的苦痛」にも、色々な種類があります。暴言などもモラルハラスメント(=精神的暴力)として、苦痛を感じる方は多いでしょう。
精神的苦痛は、心理的情緒的ないじめや嫌がらせでも発生します。また一時的な嫌がらせではなく、継続して苦痛を与えられた場合「婚姻の継続が困難な重大な事由がある」と認められ、法的にも離婚原因として成立します。
離婚の理由と原因は十人十色
法廷で認められる離婚原因には、以下「5つの項目」がありますが、精神的苦痛を理由にする場合は5つ目の「婚姻の継続が困難な重大な事由」だけでなく、細かな要因を取りだし「離婚理由」として細かく立証していく必要があるのです。
法廷で認められる離婚理由一覧
- 配偶者が浮気(不貞行為)をしている
- 配偶者が「婚姻義務」を果たしていない
- 配偶者が行方不明で、長期間生死が分からない
- 配偶者が、重い精神病を患っている
- 婚姻継続が困難、重大な事由がある
なお、法廷で認められる離婚理由については、以下の記事を参考にしてください。
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これらの項目に該当しない場合も「離婚の理由」として成立する場合は沢山あります。判断に困った時は、離婚を専門にする弁護士に相談をしてみましょう。弁護士であれば、どのような理由で離婚が成立するのか個別のケースに対応し、有益なアドバイスを与えてくれます。
また、離婚の成立には「不利な理由」でも有利な状況になるよう共に考え、離婚の手続きを進めてくれます。
離婚にも繋がる精神的苦痛(モラルハラスメント)は見過ごさないことが大切
モラルハラスメントは、暴言を受けて精神的苦痛を感じることを意味します。ただ、モラハラ(=モラルハラスメントの略称)については「暴言くらいでは、離婚原因にならないのでは無いか?」と諦めてしまう方が多いのが現状です。
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しかし、モラルハラスメントは「目に見えない暴力」であり、DV同様「精神的なダメージ」が大きいのが特徴です。実際にモラハラがキッカケで、ストレスからさまざまな病を抱える方は多いです。
配偶者から心ない暴言を受け、精神的に苦痛を感じている方が、我慢をする必要はありません。相手の暴言が原因で、不眠や精神的に不安定な状況、自律神経のバランスを崩すなどの症状が出ている方はもちろん、既に心を痛めている方は「ご自身の心と体を守る」必要があります。
モラハラだからと言って軽く扱うことはせず、自分自身を大切になさってください。自治体の窓口や弁護士に相談をすれば、モラハラでも慰謝料を請求する方法や今後のことについて考えてくれます。また、離婚をしたい方も我慢をせずに、慰謝料の請求や離婚手続きを始めてください。
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精神的苦痛や暴力が伴う場合はすぐに自治体や弁護士に相談!
記事の前半でも説明をしましたが、精神的苦痛の中でも暴力を伴う場合(ドメスティックバイオレンス)は事件に発展する前に、できるだけ早く、自治体や弁護士に相談をする必要があります。また身の危険を感じた時には必ず、最寄りの交番や警察にSOSを伝えてください。
実際に精神的苦痛を感じている今、最も気にすることは世間体や配偶者の気持ちではありません。何よりも大切なのは、みなさんの「命」です。暴力を受けていること、精神的苦痛を受けていることに(ご自身で)気が付かない場合も多いのですが、被害が大きくならないうちに、勇気を出して周囲の人や自治体、弁護士などに相談を行ってください。
なお、以下の記事ではDVを受けた時に相談できる機関やシェルター(自治体の協力で隔離してもらえる場所)について詳しく説明しています。大切な命を守るためにも、いち早く行動を起こしてください。
精神的苦痛で離婚する場合、準備は早めに取り掛かろう
精神的苦痛が理由の方も、自分を守るために必要な行動を起こしてください。DVを受けている方、モラハラで精神的に苦痛を感じている方は、自治体の協力や弁護士に相談する必要があります。また慰謝料の請求を考えている方も弁護士に相談をして、ご自身の「明るい未来と生活」のため、勇気を出して「今できることから準備」を始めてみてください。
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