モラハラとは?特徴・セリフ例とモラハラ夫チェック、対処法
「夫の言葉に毎日おびえている」「妻に何を言っても否定される」。殴られたわけではないから我慢するしかない、と思い込んでいませんか?
結論からお伝えします。モラハラ(モラルハラスメント)とは、暴言・無視・束縛など、言葉や態度によって相手の心を傷つけ、支配しようとする精神的な嫌がらせのこと。夫婦の間で起きれば「精神的なDV」にあたり、2024年4月の改正DV防止法では、精神的な暴力による被害でも保護命令を申し立てられるようになりました。
この記事では、モラハラの意味と特徴、モラハラ夫・モラハラ妻がよく言うセリフ、チェックリスト、パワハラとの違い、職場のモラハラまでを順番に解説します。証拠の残し方や離婚・慰謝料の進め方、電話番号付きの相談窓口もまとめました。読み終えるころには、次に何をすればよいかが見えてくるはずです。
モラハラとは?意味をわかりやすく解説
「これってモラハラなのかな」と検索してこのページにたどり着いた方もいるでしょう。まずは言葉の意味から確認していきます。
モラハラ(モラルハラスメント)の意味
モラハラは「モラルハラスメント(moral harassment)」を略した言葉です。直訳すると「倫理・道徳に反する嫌がらせ」。フランスの精神科医が著書で紹介したことをきっかけに、日本でも広く使われるようになりました。
身体への暴力と違い、モラハラは傷跡が残りません。だからこそ外からは見えにくく、受けている本人でさえ「自分が悪いのかもしれない」と思い込まされてしまうのです。
法律上の定義はない
実は「モラハラ」という言葉そのものを定めた法律はありません。ただし、起きた場面によって次のような法律の対象になります。
- 夫婦間(事実婚を含む):DV防止法の「配偶者からの暴力」に含まれ得る
- 職場:労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)のパワーハラスメントに当たり得る
- 悪質な場合:脅迫罪・名誉毀損罪・侮辱罪などの犯罪や、民法上の不法行為(慰謝料の対象)になり得る
「一方的」「継続的」が見分けるポイント
モラハラかどうかを考えるときに大切なのは、一方が相手を見下す関係が固定されているか、そして同じような言動が繰り返されているかという2点です。一度きりの言い過ぎなら、謝罪と話し合いで修復できることもあるでしょう。
一方で、何年も同じ相手からだけ否定され続けている場合は話が違います。その状態は、もはや「性格の問題」では片づけられません。
夫婦げんかとモラハラの違い
夫婦げんかでも、つい強い言葉が出てしまうことはありますよね。違いを整理すると次のとおりです。
| 比べるポイント | 夫婦げんか | モラハラ |
|---|---|---|
| 力関係 | お互いに言い返せる対等な関係 | 一方が言い返せない、上下の関係 |
| 頻度 | きっかけがあるときに時々起きる | 日常的に繰り返される |
| 目的 | 不満を伝えて解決したい | 相手を従わせ、支配したい |
| 終わり方 | 謝罪や歩み寄りで収まる | 被害者が謝るまで続き、また繰り返す |
例えば「家事のやり方で言い合いになり、翌日お互いに謝った」なら夫婦げんか。「何をしても『お前はダメだ』と言われ、こちらが謝るまで無視が続く」なら、モラハラを疑ってよい状態です。
モラハラとDV・パワハラの違い
モラハラと似た言葉に「DV」「パワハラ」があり、違いがわからず混乱している方もいるかもしれません。3つの言葉を表で比べてみましょう。
| 用語 | 意味 | 主な関係性 |
|---|---|---|
| モラハラ | 言葉や態度による精神的な嫌がらせ(法律上の用語ではない) | 夫婦、恋人、職場、親子など |
| DV | 配偶者などからの身体的暴力と、これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動 | 配偶者(事実婚・離婚後を含む)、同居中の交際相手 |
| パワハラ | 職場で優越的な関係を背景に、業務上必要かつ相当な範囲を超えて就業環境を害する言動 | 上司と部下、同僚間など職場の関係 |
モラハラと精神的DVの違い
DV防止法は「配偶者からの暴力」を、身体に対する暴力、またはこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動と定めています。つまり夫婦間のモラハラは、精神的なDVそのものと考えてかまいません。
対象となる配偶者には事実婚(内縁)の相手も含まれ、性別は問われません。離婚後も暴力が続いている場合や、生活の本拠を共にする交際相手(同棲中の恋人)からの暴力にも、この法律が準用されます。
パワハラとモラハラの違い
パワハラとモラハラの違いは、検索でもよく調べられているテーマです。パワハラは法律(労働施策総合推進法)に基づく概念で、職場で起きるものに限られます。一方、モラハラは家庭・恋愛・職場など場面を問わず使われる言葉。
職場のモラハラの多くは、パワハラの「精神的な攻撃」や「人間関係からの切り離し」に当たると考えるとわかりやすいでしょう。なお、パワハラは上司からの言動に限りません。同僚や部下からでも、抵抗しにくい関係を背景にしていれば該当することがあります。
モラハラをする人の特徴
「優しいときもあるから、モラハラとまでは言えないのでは」と迷っている方は少なくありません。モラハラをする人には、次のような共通する特徴が見られます。
外面がよく、家の中で態度が変わる
職場や近所では愛想がよく、「いいご主人ね」と言われるタイプが多いもの。ところが家に帰ると一変し、家族にだけ冷たく当たります。周りに打ち明けても「あの人がそんなことをするはずがない」と信じてもらえないのは、この二面性があるからです。
自分の非を認めず責任転嫁する
自分のミスでも「お前が言わなかったからだ」と相手のせいにするのが典型です。謝ることはほとんどありません。謝ったとしても「でも、お前にも原因がある」と必ず付け加えてくるでしょう。
相手を支配・コントロールしたがる
相手の行動や交友関係、お金の使い方を細かく管理しようとします。自分の思いどおりにならないと不機嫌になる。そうして相手が先回りして顔色をうかがうよう仕向けていくのです。
機嫌の波が激しい
急に怒り出したかと思えば、翌日は何事もなかったように優しくなることがあります。この「怒る→優しくなる」の繰り返しによって、被害者は「本当は優しい人だから」と離れられなくなりがちです。
モラハラをする人の心理
背景には、次のような心理があると指摘されています。
- 相手より優位に立ち、支配したい
- 自分の不安やストレスを、反撃してこない相手にぶつけている
- 自分の言動が相手を傷つけていると自覚していない
- 「夫(妻)はこうあるべき」という考えへの強いこだわりがある
ただし、どんな背景があってもモラハラが許されるわけではありません。「私が変われば相手も変わるはず」と一人で抱え込む必要はないのです。
モラハラ夫の具体例とよく言うセリフ
夫が帰宅する足音を聞くだけで胸がざわつく、という方もいるのではないでしょうか。ここでは、モラハラ夫によく見られる言動を種類ごとに紹介します。
言葉の暴力(暴言・人格否定)
学歴・容姿・収入・家事の出来などを繰り返しけなし、相手の人格や存在そのものを否定する言葉を浴びせます。相手の実家や友人をばかにして、少しずつ周囲から切り離していくのも特徴です。
モラハラ旦那がよく言うセリフ例
次のようなセリフに心当たりはありませんか?
- 「誰のおかげで生活できていると思っているんだ」
- 「お前は本当に何もできないな」「役立たず」
- 「普通はこれくらいできるだろう」
- 「お前の育て方が悪いから子どもがこうなる」
- 「嫌なら出て行けばいい」「離婚してやってもいいんだぞ」
- 「お前の実家は常識がない」
- 「俺がこうなったのはお前のせいだ」
- 「お前のためを思って言っているんだ」
一つひとつは「口が悪いだけ」に聞こえるかもしれません。それでも、こうした言葉が毎日のように続いていれば、心は確実にすり減っていきます。
態度による攻撃(無視・不機嫌)
話しかけても返事をしない、何日も口をきかない、わざと大きな音を立ててドアを閉める。こうした態度で相手を萎縮させるのも、立派なモラハラです。ため息や舌打ち、にらみつけるといった小さな行動も、繰り返されれば強い圧力になります。
束縛・監視
誰と会うのか、どこにいるのかを細かく報告させる行為が代表例です。スマホを無断でチェックしたり、友人との外出や実家への帰省を禁じたりすることもあります。位置情報アプリで行動を常に見張られているケースも珍しくありません。
お金で縛る(経済的DV)
生活費を渡さない、収入や貯金を教えない、働くことを禁止する、使ったお金を1円単位で責める。こうした行為は「経済的DV」とも呼ばれ、モラハラと同時に起きやすい被害です。例えば「月3万円で家族4人分の食費と日用品をまかなえ」と命じ、足りないと責め立てるような場合が当てはまります。
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子どもを巻き込む
子どもの前で配偶者をばかにする、「お母さんみたいになるな」と言い聞かせるといった言動は、子どもの心にも深刻な影響を与えます。子どもの前で配偶者に暴言や暴力を向ける「面前DV」は、児童虐待(心理的虐待)に当たるとされているのです。お子さんを守る意味でも、見過ごさないでください。
モラハラ妻の具体例とセリフ
「男なのに妻からのモラハラで悩むなんて」と、誰にも言えずにいる方もいるでしょう。モラハラは夫から妻への行為に限られず、妻から夫へのモラハラも同じように問題になります。
モラハラ妻がよく言うセリフ例
妻からのモラハラでは、収入や仕事ぶり、男らしさを否定する言葉が目立ちます。
- 「稼ぎが少ないくせに偉そうにしないで」
- 「〇〇さんの旦那さんはもっと稼いでいるのに」
- 「あなたの親のせいで、こんな性格になったのよ」
- 「子どもの前で恥をかかせないで」
- 「私がいなかったら何もできないくせに」
人前で夫を見下す、小遣いを極端に制限する、子どもを味方につけて夫を孤立させるといった行動もよく見られるパターンです。
男性が相談をためらいやすい理由
男性は「妻に責められているなんて恥ずかしい」と考え、被害を打ち明けにくい傾向にあるようです。けれども、配偶者暴力相談支援センターなどの公的な窓口は男性も利用できます。安心して相談してみてください。
モラハラ夫・妻チェックリスト
自分の状況を客観的に見るのは、思っている以上に難しいものです。次のチェックリストで、今の状態を確認してみましょう。
相手の言動をチェック
- 人格や容姿、学歴、実家などを繰り返しけなす
- 気に入らないことがあると、何日も無視する
- 自分のミスを認めず、必ず相手のせいにする
- スマホや行動を監視し、外出や交友関係を制限する
- 生活費を十分に渡さない、お金の使い道を細かく責める
- 外では愛想がよく、家の中だけで態度が変わる
- 子どもの前で配偶者をばかにする
自分の状態をチェック
- 相手の機嫌を損ねないよう、いつも言動に気をつけている
- 「自分が悪いから怒らせてしまう」と思い込んでいる
- 相手の許可なく友人に会ったり、お金を使ったりできない
- 相手が帰宅する時間が近づくと動悸がする、眠れない
- 家族や友人と疎遠になった
- 話しても「考えすぎ」と言われそうで、誰にも相談できない
当てはまる項目が多いときは
このチェックリストは診断ではなく、あくまで目安です。とはいえ、いくつも当てはまるなら、一人で判断せずに専門の窓口へ話してみることをおすすめします。「これくらいで相談していいのかな」と迷う段階でも大丈夫。相談員は、まさにそうした声を聞くためにいます。
職場のモラハラとパワハラ
上司の言葉に毎朝胃が痛くなる、という方もいるかもしれません。職場のモラハラは、多くの場合パワハラ(パワーハラスメント)の問題として扱われます。
パワハラに当たる3つの要素
厚生労働省は、職場のパワハラを次の3つの要素をすべて満たすものと定めています。
- 優越的な関係を背景とした言動であること
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
- 労働者の就業環境が害されること
業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な指示や指導は、パワハラに当たりません。例えば「遅刻を繰り返す部下に、個室で改善を求める」のは指導の範囲。「同僚の前で『給料泥棒』と何度も怒鳴る」なら、精神的な攻撃に当たる可能性が高いといえます。
職場のモラハラの具体例(6つの類型)
厚生労働省はパワハラの代表的な類型として次の6つを示しています。モラハラに当たりやすいのは、特に「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「個の侵害」です。
| 類型 | 職場のモラハラの例 |
|---|---|
| 身体的な攻撃 | 物を投げつける、小突く |
| 精神的な攻撃 | 人前での大声の叱責、人格を否定する暴言、脅し |
| 人間関係からの切り離し | 無視する、仲間外れにする、会議や連絡から外す |
| 過大な要求 | 到底こなせない量の仕事を押しつける、必要な情報を与えずにミスをさせる |
| 過小な要求 | 能力に見合わない雑用だけをさせる、仕事を与えない |
| 個の侵害 | 私生活にしつこく立ち入る、本人の了解なく個人的な情報を暴露する |
職場のモラハラの相談先
まずは社内のハラスメント相談窓口や人事部に相談するのが基本です。社内で解決しにくい場合は、都道府県労働局や労働基準監督署にある「総合労働相談コーナー」を利用できます。いつ、誰に、何を言われたかをメモしておくと、相談がスムーズに進むでしょう。
モラハラが心と体に与える影響
「最近、眠れない」「理由もなく涙が出る」という状態が続いていませんか?モラハラを長く受け続けると、心と体の両方に影響が出ることがあります。
心への影響
- 気分の落ち込み、意欲の低下、自分を責める気持ち(うつ病・うつ状態)
- 強いストレスによる不安や緊張(適応障害、不安障害)
- 恐怖の体験が突然よみがえる、悪夢を見る(PTSD)
- 「自分には価値がない」と思い込む、自己肯定感の低下
体への影響
頭痛、胃腸の不調、不眠、食欲不振、動悸などの症状が出ることもあります。眠れない、食べられないといった状態が続くときは、心療内科や精神科を受診してください。医師の診断書は、保護命令の申立てや慰謝料請求の際にも重要な資料になります。
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モラハラを受けたときの対処法
「今すぐ何かしなければ」と焦る気持ちもあるでしょう。ここでは、配偶者からのモラハラへの対処法を優先順位の高い順に紹介します。
身の危険があるときは安全を最優先に
暴力を振るわれそうなとき、「殺すぞ」などと脅されたときは、迷わず110番通報してください。緊急でなくても、配偶者暴力相談支援センターや警察に相談すれば、一時保護(シェルター)などの支援につないでもらえます。話し合いよりも、まずあなたの安全が先です。
言動を記録して証拠を残す
モラハラは外から見えにくい被害です。離婚や慰謝料請求、保護命令の申立てでは、証拠があるかどうかが結果を大きく左右します。
証拠になるもの
- 暴言の録音・録画データ
- 相手から届いたメール、LINE、SNSのメッセージ(スクリーンショット)
- いつ、どこで、何を言われたかを書き留めた日記やメモ
- 心療内科・精神科の診断書、通院記録
- 配偶者暴力相談支援センターや警察に相談した記録
- モラハラを見聞きした家族や友人の証言
証拠は相手に見つからない場所に保管しましょう。クラウドや信頼できる家族に預けておくのも一つの方法です。
記録の付け方の例
日記やメモは「日付・具体的な言葉・その後の自分の状態」がわかるように書くのがコツです。例えば「10月3日21時ごろ、夕食の味付けについて『こんなものしか作れないのか、役立たず』と30分ほど怒鳴られた。その夜は眠れなかった」のように残しておくと、後から第三者に説明しやすくなります。短くてもかまいません。毎日続けることが何より大切です。
一人で抱えず相談する
モラハラを受けていると、「自分が悪い」と思い込まされて誰にも話せなくなりがちです。信頼できる家族や友人のほか、後で紹介する公的な相談窓口や弁護士に早めに相談しましょう。
相手に「傷ついている」と伝えて改善するケースもないわけではありません。ただ、指摘されると逆上するタイプの相手と、二人きりで話し合うのは危険です。怖いと感じるなら、無理に一人で伝えようとしないでください。
別居して距離を置く
同じ家で暮らしている限り、被害はなかなか止まりません。別居を検討するのも一つの方法です。別居中でも、収入の多い側には生活費(婚姻費用)を分担する義務があるため、家庭裁判所に婚姻費用の分担を求める調停を申し立てられます。
DVがある場合は、市区町村に申し出て住民票の写しなどの交付を制限してもらう「DV等支援措置」を利用できます。避難先を相手に知られないための大切な制度です。
保護命令を申し立てる
相手から危害を加えられるおそれが大きいときは、地方裁判所に「保護命令」を申し立てることができます。2024年4月施行の改正DV防止法で、保護命令の対象と内容は次のように広がりました。
| 項目 | 改正前 | 改正後(2024年4月〜) |
|---|---|---|
| 申立てできる被害 | 身体に対する暴力、生命・身体に対する脅迫 | 上記に加え、自由・名誉・財産に対する脅迫 |
| 発令の要件 | 身体に重大な危害を受けるおそれ | 心身に重大な危害を受けるおそれ(精神的な被害も対象) |
| 接近禁止命令の期間 | 6か月 | 1年 |
| 電話等禁止命令の対象 | 電話、メール、SNSの送信など | 上記に加え、SNSなどの連続送信、夜間(午後10時〜午前6時)の送信、GPSによる無断の位置情報取得など |
| 違反した場合の罰則 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金 |
精神的な被害で申し立てる場合の「重大な危害」とは、少なくとも通院による治療が必要な程度(うつ病、PTSD、適応障害など)とされます。申立てには医師の診断書の添付が必要なので、早めに受診しておきましょう。単に口論があったというだけでは要件を満たさない点にも注意してください。
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モラハラを理由に離婚する方法
「もう限界。でも、モラハラで本当に離婚できるの?」と不安に思っている方へ、離婚の進め方を解説します。
モラハラは離婚理由になる
相手が離婚に同意しない場合、裁判で離婚を認めてもらうには民法770条1項の法定離婚事由が必要です。2026年4月施行の改正民法で「強度の精神病」が削除され、現在の法定離婚事由は次の4つになりました。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
モラハラは、その内容や期間、被害の程度によって「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当たる可能性があります。生活費を渡さない、正当な理由なく家を出て行ったといった事情があれば、「悪意の遺棄」が問題になることもあるでしょう。
離婚の進め方
離婚の方法には、大きく分けて協議・調停・裁判の3つがあります。
協議離婚
夫婦の話し合いで離婚に合意し、離婚届を提出する方法です。ただし、モラハラをする相手は自分の非を認めず、話し合いの場で相手を言い負かそうとすることが少なくありません。二人きりでの話し合いは避け、弁護士に代理人として交渉してもらうことも検討してみてください。
離婚調停
話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に離婚調停(夫婦関係調整調停)を申し立てます。調停委員が夫婦から交互に話を聞くため、相手と向き合って話す必要はありません。DVやモラハラがある場合は、申立ての段階で事情を伝えておくと、待合室を分ける、到着や退出の時間をずらすといった配慮を求められます。
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離婚裁判
離婚は原則として、いきなり裁判を起こすことはできず、先に調停を経る必要があります(調停前置)。調停が不成立になった場合に、家庭裁判所へ離婚訴訟を起こす流れです。裁判ではモラハラの事実や婚姻関係の破綻を証拠で示さなければならないため、録音や診断書がより重要になります。判決まで1年以上かかることも珍しくありません。
モラハラの慰謝料
モラハラが原因で離婚に至った場合、精神的苦痛に対する慰謝料を請求できるかもしれません。金額に決まった基準はなく、主に次のような事情で大きく変わります。
- モラハラの内容、回数、続いた期間
- うつ病などの診断を受けたか、通院が必要になったか
- 婚姻期間の長さ、子どもの有無
- 証拠によってどこまで立証できるか
相手が事実を否定することも多いもの。慰謝料を請求するなら、録音や診断書などの客観的な証拠をそろえておくことが欠かせません。
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子どもがいる場合の親権
2026年4月から、離婚後も父母の双方を親権者とする「共同親権」を選べるようになりました。とはいえ、DVや虐待のおそれがあり、父母が共同して親権を行うことが困難な場合などは、家庭裁判所は必ず単独親権と定めることになっています。ここでいうDVは身体的な暴力に限られず、精神的な暴力も含まれ得るという点がポイント。
また、共同親権であっても、DVや虐待から避難する必要があるなど「急迫の事情」があれば、一方の親が単独で子の居所などを決めることが可能です。親権の決め方に不安があるなら、早めに弁護士へ相談しておくと安心でしょう。
モラハラ・DVの相談窓口
誰に話せばいいのかわからず、一人で夜を過ごしている方もいるかもしれません。モラハラやDVの相談は、次の窓口で受け付けています。
| 窓口 | 連絡先 | 内容 |
|---|---|---|
| 警察 | 110番(緊急時)、#9110(警察相談専用電話) | 身の危険があるときはすぐに110番。緊急でない相談は#9110 |
| DV相談ナビ(内閣府) | #8008 | 発信地などから最寄りの配偶者暴力相談支援センターなどにつながる |
| DV相談+(内閣府) | 0120-279-889(24時間)、チャット相談 12時〜22時 | 電話やチャットなどで相談できる。チャットは外国語にも対応 |
| 配偶者暴力相談支援センター | 都道府県・市区町村の窓口 | 相談、一時保護、保護命令の手続きの説明、自立支援など |
| 女性の人権ホットライン(法務省) | 0570-070-810(平日8時30分〜17時15分) | 最寄りの法務局・地方法務局につながる人権相談 |
| 法テラス | 犯罪被害者支援ダイヤル 0570-079714 | DV被害者などが弁護士に相談できる「DV等被害者法律相談援助」を案内(資力によっては相談料がかかる) |
| 総合労働相談コーナー(厚生労働省) | 各都道府県労働局・労働基準監督署 | 職場のモラハラ・パワハラの相談 |
いずれの窓口も秘密は守られます。受付時間や番号は変わることがあるので、利用前に各機関の公式サイトで確認してください。離婚や慰謝料、保護命令といった法的な手続きを進めたいときは、離婚問題に詳しい弁護士への相談も検討してみましょう。
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よくある質問
モラハラは病気ですか?
モラハラは医学的な病名ではなく、言動のパターンを指す言葉です。加害者の背景に何らかの事情があっても、モラハラが正当化されるわけではありません。受けている側が心身の不調を感じたら、ためらわず医療機関を受診してください。
モラハラをする人は治りますか?
本人が問題に気づき、カウンセリングなどに真剣に取り組めば、言動が変わる可能性はゼロではないでしょう。ただ、被害を受けている側が相手を変える責任を負う必要はありません。まずはご自身の心と体を守ることを優先してください。
相手に内緒で録音した音声は証拠になりますか?
夫婦間のやり取りを自分で録音したものは、一般に離婚の調停や裁判で証拠として提出されているものです。ただし、相手のスマホを無断で操作して中身を見るなど、方法によっては違法になったり、かえって不利になったりするおそれもあります。集め方に迷う場合は、弁護士に相談すると安心です。
殴られていなくても保護命令は出ますか?
出る可能性があります。2024年4月の改正で、生命・身体・自由・名誉・財産に対する脅迫を受け、心身に重大な危害を受けるおそれが大きい場合には、身体的な暴力がなくても接近禁止命令などを申し立てられるようになりました。精神的な被害を理由にする場合は、医師の診断書が必要です。
モラハラの証拠がなくても離婚できますか?
相手が離婚に同意すれば、証拠がなくても協議離婚や調停離婚は成立します。相手が同意せず裁判になると、モラハラの事実を証拠で示す必要が出てくるでしょう。今日からでも記録を残し始めてみてください。
まとめ
モラハラとは、暴言・無視・束縛などの言葉や態度で相手を支配する精神的な嫌がらせのことです。夫婦の間で起きれば精神的なDVに当たり、職場であればパワハラとして扱われます。
モラハラをする人には、外面のよさ、責任転嫁、支配欲、機嫌の波の激しさといった特徴があります。チェックリストに当てはまる項目が多いなら、それはあなたのせいではありません。
まずは安全を確保し、録音やメモ、診断書などで記録を残しましょう。2024年4月からは、精神的な被害でも保護命令を申し立てられるようになっています。離婚を考える場合は、モラハラの内容によって「婚姻を継続し難い重大な事由」として認められる可能性もあるのです。
一人で抱え込む必要はありません。DV相談ナビ(#8008)やDV相談+(0120-279-889)、離婚問題に詳しい弁護士に相談しながら、あなたにとって安全な道を選んでください。
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