離婚時にDV冤罪をでっちあげられた!正しい対処法は?
DV被害の増加とともにDVによる離婚も増えてきましたが、中にはDVをしていないのに配偶者から「DVを受けた」と冤罪により離婚を申し出られ慰謝料まで請求される「DV冤罪」も多発しています。
このページではそんなDV冤罪の実態と、でっちあげられた時の正しい対処法をご紹介します。
なぜDVの冤罪が多発するのか?
DVはあってはならないことですが、DVのでっちあげ、つまり冤罪もあってはならないことです。
それなのになぜDV冤罪が多発し、しかもまかり通ってしまうのでしょうか。
やっていないことの証明は難しい
痴漢の冤罪でもそうですが、「自分はやっていない」と証明することは難しいものです。「やっていない証拠」は出しようがありません。さらに妻がケガをした写真や部屋の中が散らかっている写真をわざと撮影して、証拠として出すことがあります。
しかし、「家庭」という密室でのことで、誰も目撃者はいません。その状況で妻がいかにも暴力を受けたかのような写真を取ることは簡単にできてしまうのです。
しかも日本では世間一般で「妻が夫から暴力を受けた」と聞けば、妻に同情し夫を非難するという風潮が出来上がっています。裁判官ですら妻がでっちあげた証拠を信用するほどです。
そのため、DV冤罪やでっちあげがまかり通るようになっています。
DVをでっちあげるDV冤罪離婚が増えている!
DV冤罪が増加している背景にはDVそのものの増加、そしてDVだと認められる「DV認知件数」が増えていることがあると考えられます。
配偶者によるDVの認知件数
各相談機関でのDVに関する相談件数を見てみましょう。
(単位:件)
相談先 | 2002年 | 2010年 | 2014年 | 2018年 |
---|---|---|---|---|
配偶者暴力相談支援センター | 35,943 | 77,334 | 102,963 | 114,481 |
警察 | 14,140 | 33,852 | 59,072 | 77,482 |
婦人相談所(※) | 3,974 | 4,579 | 4,143 | 3,000 |
出典:内閣府 男女共同参画局 「配偶者からの暴力に関するデータ
(※1:警察への相談件数は配偶者からの身体に対する暴力の相談件数です。いわゆる「モラハラ」(言葉の暴力)は含まれていません。)
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(※2:婦人相談所とは売春防止法に基づいて各都道府県に設置されていますが、配偶者暴力防止法に基づいて夫から暴力を受けている女性の一時保護などを行っています。
なお、上の表のデータは配偶者からの暴力による相談件数を示しています。)
このようにDVに関する相談件数は増加していますが、それは今までは「夫の暴力に妻は耐えるだけ」という日本の風習のようなものがあったのに対して近年は「DV」という言葉が浸透してきたこと、相談機関が設けられたことなども関係していると思われます。
DVをでっちあげて離婚する理由
DVをでっちあげて離婚する理由としては、下記のものが考えられます。
- 配偶者と離婚したいが正当な理由がないのでDVを受けたせいにする
- 離婚だけでなく慰謝料も取ろうとたくらんでDVをでっちあげる
- 妻がこっそり不倫しているが、それがバレないように夫のDVをでっちあげ離婚しようとする
- 夫に親権を渡したくない
このように離婚の際に自分に有利に運ぶように夫にDVの罪をなすりつけるケースが多いです。
DV冤罪で離婚を請求されたときの対処法
では、DVをでっちあげられたときはどうすればいいのでしょうか?
DV冤罪に対しては、次の行動を取るのがおすすめです。
- DVが冤罪であることを証明する
- 少しでも早くに弁護士に相談する
DVが冤罪であることを証明する
DVが冤罪であることを証明するのが一番なのですが、DVがあったことを証明することはできても「やっていないこと」を証明するのは難しいものです。
そこで、次のような流れで対応していきましょう。
相手の言い分を聞く
まず、相手が自分のどんな行動をDVだと言っているのかを落ち着いて聞いてみてください。
その時に「自分が悪かった」とDVを認めてしまわないことが大切です。
まず「僕が何をした?」「どんなときの行動をDVだと思ったの?」と静かに聞く姿勢を見せてみましょう。そのときは穏やかな態度で接することが重要です。
怖い顔で向き合うと「ほら!また怒った!」と責められますし、相手にDV冤罪をでっちあげさせるチャンスを作ってしまうので注意してください。
相手が誤解していることを説明する
相手の言い分を聞いたら、次にそれは誤解で本当はDVではないことを説明しましょう。
- 仕事がうまくいかずイライラしていただけで、君に対して怒ったのではない
- 〇〇(モノ)を投げたというが、それは部屋の隅に置こうと思って軽く投げただけで、悪意はなかった
- 君が作ってくれた食事を食べなかったのは味が不満だったのではなく、体調が悪くて食べられなかったから
これらを静かな口調で説明しましょう。
相手が出している証拠が本当かどうか確かめる
相手は慰謝料目的で「あなたの暴力のせいで腕にあざができた」という写真を見せるかも知れません。しかし、それがニセモノという可能性があります。
「撮影された日時に自分は出張で家にいなかった」「怒って部屋のモノを投げ散らかしたという写真が自宅ではない」など反論できる点がないかを検証してみましょう。
自分に非がない場合は、相手が出している証拠に何か盲点があるはずです。それを落ち着いて考えてみてください。
なお、その場で「君がウソをついている」と相手を責めるのではなく、相手の主張だけを聞いて弁護士に相談するのが得策です。
日頃から疑われることをしない
冤罪をでっちあげられてからでは遅いのですが、日ごろからDVを疑われるようなことや妻の恨みを買うようなことはしないという点も重要なポイントです。
例えば、酔った勢いで怒鳴ったり、気に入らないことがあると態度を荒げたりしないように気をつけましょう。
少しでも早くに弁護士に相談する
相手は「慰謝料の請求」や「自分に有利な条件で離婚したい」など、何か意図するものがあってDVだと主張している可能性があります。
そういう場合は「DVではないこと」を証明するのは難しく、結果的に話し合いは平行線になってしまいます。
さらに相手は離婚したいために弁護士に相談し、知恵をつけられている可能性があります。それに太刀打ちするには、自分も弁護士に依頼して対応するしかありません。
離婚は避けられないとしても冤罪による慰謝料の支払いは阻止する
相手が離婚したいためにあなたをDVだと主張している場合、そんな相手とあなたが今後結婚生活を続けてもプラスにはならないのではないでしょうか。
離婚は避けられないとしても、せめて慰謝料請求は阻止するように持っていきたいものです。
そのためにも弁護士の力を借りることを強くおすすめします。
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DVをでっちあげて離婚した実例
DVをでっちあげられて離婚した実例と、冤罪の汚名を返上した実例をご紹介します。
妻がDVをでっちあげて離婚したケース
30代のAさんは妻と2人の子どもの4人で暮らしていました。Aさんが妻にDVをでっちあげられて離婚し、慰謝料を請求されたいきさつをご紹介します。
離婚する3ヶ月ほど前のこと。私(Aさん)は仕事が忙しく帰宅が遅くなる日が続いていましたが、その間は妻がひとりで家事と育児をしていたため、疲れていたのかも知れません。
ある日、私は体調がすぐれず妻が用意していた食事を残したところ、急に妻が起こり始めました。
「何よ!私が作った料理が食べられないっていうの?」
「どうせあなたの安月給じゃ、この程度の料理しか作れないわよ」
「バカ!あなたなんかいなくても生きていけるんだから」と次々と暴言を吐きだしたのです。
「急にどうしたんだ」と思ったものの、「そこまで言うことないだろ」と思い、ついカッとなって、「何を言ってるんだよ。料理にケチなんかつけてないだろ?疲れて食欲がないだけだよ」
と怒鳴ってテーブルをバンとたたいてしまいました。
すると妻は「バカ!」「死んでしまえ!」とまで言い出す始末。その様子はまるで私を挑発しているようでした。あげくの果てに近くにあったワインボトルを振り上げたのです。
このままでは頭を直撃されると思い妻の両手をつかんだのですが、そのすぐあとに私がつかんだ部分をスマホで写真を撮り始めました。どうやらつかんだ部分が赤くなっている様子を撮影して証拠にしようと考えたようです。
そして、警察に行き「夫が私の手をつかんで離さない。蹴ったり、殴ったりされる。このまま一緒に暮らすのが怖い」とスマホの画像を見せながら訴え、子どもを連れて実家に戻ってしまったのです。
裁判では私が悪いと言われ、相場よりも高い慰謝料と養育費を払うことが決まりました。
離婚した後でわかったのですが、妻には当時から不倫していた男性がいて、最近その男との間に子どもが生まれたそうです。私をDVに仕立てあげて離婚を仕組んだのだとようやくわかりました。
妻に未練はありませんが、お金は取られるし子どもには会えないし……。本当に納得できません。最初から弁護士に相談すればよかったと後悔しています。
夫がDV冤罪の汚名を返上したケース
妻からDV冤罪を受けてお困りだった男性の相談を受けた弁護士の話です。
夫YさんからDVを受けたという妻・CさんはあちこちのDV相談センターなどに行っては夫から暴力を受けたことを力説していました。うつ病を発症し、心療内科に通院しているとも伝えています。
散らかった部屋の写真や、足や腕にあざができている写真を見せるなど証拠も提出しています。相談先では「離婚して慰謝料を請求すること」とアドバイスされたようで、すぐに離婚請求と慰謝料の請求を行いました。
しかし、Yさんは「DVは一切やっていない」と私のところに相談に来られました。私はCさんが提出している証拠をひとつずつ細かく調査し、Yさんへの聞き取りや周囲への調査なども行いました。その結果、これら証拠の多くはCさんが捏造したもので、しかも心療内科では「夫のDVが怖くて眠れない」などと言って診断書を書いてもらっていたことがわかりました。
裁判ではCさんの証拠がウソであること、実際はYさんは何もしていないことを説明しました。Yさん自身も妻との離婚を望んだため、離婚は成立しましたが、慰謝料の支払いは認められませんでした。
Yさんからは慰謝料請求が却下されてよかったと感謝されました。
このようにDV冤罪を仕立てあげる場合は証拠をでっちあげ、慰謝料を獲得しようと狙っている可能性があります。
弁護士に依頼する場合と自分ひとりで対応する場合では結果が大きく異なるケースが多いので、早い段階で弁護士に相談されることをおすすめします。
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DVのでっちあげによる離婚のまとめ
配偶者によるDVは年々増加しています。その一方で「夫からDVを受けた」とでっちあげて離婚に持っていこうとするケースも多く見られます。
DVにより離婚で慰謝料を請求するには証拠が必要ですが、多くは家庭内のことで目撃者がおらず、確たる証拠がないのに妻の訴えが認められる傾向にあります。また、妻が夫を挑発して暴力をふるうように仕向けるケースもあります。
しかも、冤罪をかけられた方は「やっていない」ということを証明するのが非常に困難です。
そんな場合は早い段階で弁護士に相談しましょう。ウソの証言や証拠を崩して、解決を図ってくれます。
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