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保護命令とは?種類・要件・期間と申立ての流れ、違反の罰則

保護命令とは?種類・要件・期間と申立ての流れ、違反の罰則

配偶者の暴力や脅しに怯えながら、「どうすれば近づかせないようにできるのか」と検索してこの記事にたどり着いた方もいるのではないでしょうか。夜中にスマホが鳴るたびに心臓が縮む。そんな毎日が続いているなら、まず知ってほしいのが「保護命令」という制度です。

先に結論をお伝えします。保護命令とは、配偶者や元配偶者、同居する交際相手からの暴力・脅迫から被害者を守るため、被害者の申立てにより地方裁判所が相手に「近づくな」「家から出ていけ」「連絡するな」と命じる制度のこと。命令に違反した相手には、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金という刑罰が科されます。

2024年4月の配偶者暴力防止法(DV防止法)改正で、保護命令は大きく変わりました。精神的DVによる被害も対象に広がり、接近禁止命令の期間は6か月から1年へ延長。罰則も強化されています。この記事では、保護命令の種類・要件・期間、申立ての流れ、費用、違反時の罰則、そして相談先まで、2026年10月時点の制度に沿って整理しました。

保護命令とは?DV防止法に基づく裁判所の命令

保護命令とは何かを説明するイメージ(DV被害者を守る裁判所の命令)

「警察に相談しても、結局は家に帰らなければならない」と感じていませんか。保護命令は、その状況を法律の力で変えるための手段です。

保護命令で禁止できること

保護命令は「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(DV防止法)に定められた制度です。被害者が地方裁判所に申し立て、要件を満たすと裁判官が相手方に対して次のような行為を禁止します。

  • 被害者の身辺につきまとい、住居や勤務先の付近をうろつくこと(接近禁止命令)
  • 面会の要求、無言電話、深夜の連絡、GPSによる位置情報の取得など(電話等禁止命令)
  • 被害者と同居する子や、親族・関係者への接近(子・親族等への接近禁止命令)
  • 被害者と一緒に住んでいた家に居続けること(退去等命令)

裁判所の命令ですから、単なる「お願い」ではありません。守らなければ刑事罰の対象になる、強い効力を持った制度です。

保護命令の対象になる人

保護命令は「配偶者」からの暴力を前提にした制度ですが、法律上の夫婦だけが対象ではありません。対象になる関係は次のとおりです。

相手との関係 対象になるか
法律上の配偶者(夫・妻) 対象
事実婚(内縁)の相手 対象
離婚した元配偶者・内縁を解消した元パートナー 離婚前から暴力等があり、離婚後も続いている場合は対象
生活の本拠を共にする交際相手(同棲中の恋人) 婚姻に類する共同生活があれば対象
同居していない恋人 対象外(ストーカー規制法などで対応)

恋人は「生活の本拠を共にする」場合だけ対象

同棲している恋人からの暴力は、婚姻に類する共同生活を営んでいれば保護命令の対象になります。一方、同居していない恋人や、ルームシェアのように福祉・就業上の理由で一緒に住んでいるだけの関係は対象外。その場合は警察へのストーカー被害の相談や、民事上の慰謝料請求を検討することになるでしょう。

妻から夫への暴力、同性カップルも対象

保護命令は女性だけのための制度ではありません。妻からの暴力に悩む夫も申し立てられる制度です。内閣府男女共同参画局の案内によれば、同性カップル間の暴力について保護命令が出された例もあります。「男だから相談しにくい」と抱え込まず、安心して相談窓口を使ってください。

保護命令の対象になる暴力

申立ての前提になるのは、相手から次のいずれかを受けたことです。

  • 身体に対する暴力:殴る、蹴る、物を投げつける、首を絞めるなど
  • 生命・身体・自由・名誉・財産に対する脅迫:「殺す」「家から出たら実家に火をつける」「裸の写真をばらまく」「お前の給料は全部取り上げる」など、害を加えると告げる行為

例えば「次に逆らったら二度と外に出られないようにしてやる」という言葉は、自由に対する脅迫に当たり得ます。暴力そのものがなくても、こうした脅しが繰り返されているなら申立てを検討できるのです。

2024年4月の改正で精神的DVによる被害も対象に

改正前は「身体に対する暴力」と「生命・身体に対する脅迫」しか対象になっていませんでした。2024年4月1日施行の改正で、脅迫の範囲が自由・名誉・財産にまで広がり、接近禁止命令の要件も「生命または身体」への危害のおそれから「生命または心身」への危害のおそれへと見直されています。つまり、PTSDやうつ病といった重篤な精神的被害を受けるおそれがある場合も、接近禁止命令の対象になったということ。モラハラが深刻化して心療内科に通っているような方にも、道が開かれました。

ただし、「無視される」「バカにされる」といった言動だけで直ちに命令が出るわけではありません。あくまで、暴力や脅迫を受けたうえで、さらなる暴力等によって心身に重大な危害を受けるおそれが大きいと裁判所が認める必要があります。診断書や録音など、客観的な証拠が重要になる点は覚えておいてください。

保護命令の種類と期間【一覧表】

「どの命令を出してもらえば、子どもも守れるのだろう」と考えている方もいるでしょう。保護命令には6つの種類があり、組み合わせて申し立てられます。

命令の種類 禁止される行為 期間
①被害者への接近禁止命令 被害者の身辺へのつきまとい、住居・勤務先付近のはいかい 1年
②被害者への電話等禁止命令 面会要求、行動監視の告知、無言電話、連続した電話・メール・SNS送信、夜間の連絡、GPSによる位置情報取得など ①の期間中
③子への接近禁止命令 同居する未成年の子へのつきまとい、学校等の付近のはいかい ①の期間中
④子への電話等禁止命令 同居する子への電話・文書・SNSの連続送信など ①の期間中
⑤親族等への接近禁止命令 被害者の親族や密接な関係者へのつきまとい、住居・勤務先付近のはいかい ①の期間中
⑥退去等命令 共に生活する住居からの退去と、その付近のはいかい 2か月(住居の所有者・賃借人が被害者のみなら申立てにより6か月)

②〜⑤は単独では申し立てられず、①の接近禁止命令と同時か、すでに①が出ている場合にだけ発令されます。

接近禁止命令(1年)

保護命令の中心になるのが接近禁止命令です。発令されると、相手は1年間、あなたの身辺につきまとったり、自宅・職場の付近をうろついたりできなくなります。改正前の期間は6か月でしたが、2024年4月から1年に延長されました。

「1年経ったらまた来るのでは」と不安になるかもしれません。期間満了後も暴力等のおそれが続いている場合は、再度の申立てができます。

電話等禁止命令(GPSによる位置情報の取得も禁止)

接近禁止命令だけでは、電話やSNSでの執拗な連絡は止められません。そこで併せて申し立てるのが電話等禁止命令です。禁止される主な行為は次のとおり。

  • 面会を要求すること
  • 行動を監視していると思わせる事項を告げること(「今日は青い服だったな」など)
  • 著しく粗野・乱暴な言動
  • 無言電話、緊急時以外の連続した電話・FAX・メール・SNSメッセージの送信
  • 緊急時以外の午後10時から午前6時までの電話・FAX・メール・SNS送信
  • 汚物や動物の死体など、著しく不快・嫌悪の情を催させる物の送付
  • 名誉を害する事項を告げること
  • 性的羞恥心を害する事項を告げたり、わいせつな写真・動画を送りつけたりすること
  • GPS機器などで位置情報を無断で取得すること、GPS機器を無断で取り付けること

SNSのメッセージや位置情報の取得が明記されたのも2024年改正のポイントです。例えば、別居後に相手から「お前の車にGPSを付けてある」と言われたなら、それ自体が禁止対象の行為に当たり得ます。

子への接近禁止命令・電話等禁止命令

相手が「子どもに会わせろ」と言って学校の校門で待ち伏せする。そうなると、あなた自身が相手と顔を合わせざるを得なくなります。それを防ぐための命令が、子への接近禁止命令と、2024年改正で新設された子への電話等禁止命令です。

対象は被害者と同居している未成年の子。子が15歳以上の場合は、その子の同意が必要になります。

親族等への接近禁止命令

被害者の実家に押しかけて「娘を出せ」と怒鳴る、職場の上司に執拗に電話する。こうした行為を止めるのが親族等への接近禁止命令です。対象になるのは、被害者の親族(成人した子を含む)や、被害者と社会生活上密接な関係にある人。原則としてその親族本人の同意が必要になります。

退去等命令(2か月・6か月)

退去等命令は、相手を今の家から出ていかせる命令です。発令されると、相手は2か月間、生活の本拠である住居から退去し、付近をうろつくこともできなくなります。

なぜ2か月なのでしょうか。この期間は、被害者が荷物をまとめて引っ越すなど、安全に避難する準備のために設けられたものだからです。ただし2024年改正で、住居の所有者または賃借人が被害者だけである場合は、申立てにより6か月に延ばせるようになりました。例えば、あなた名義で借りている賃貸マンションなら、6か月の退去等命令を申し立てられます。

保護命令が出る要件

「うちの場合、本当に命令を出してもらえるのか」。ここが一番気になるところですよね。命令ごとの要件を整理します。

接近禁止命令の要件

接近禁止命令が発令されるには、次の2つを満たす必要があります。

  1. 配偶者等から身体に対する暴力、または生命・身体・自由・名誉・財産に対し害を加える旨の脅迫を受けたこと
  2. さらなる身体に対する暴力等により、生命または心身に重大な危害を受けるおそれが大きいこと

ポイントは「おそれが大きい」こと。過去に一度だけ手を上げられたものの、その後は何年も平穏に暮らしているというケースでは、認められにくいでしょう。逆に、暴力が繰り返されている、別居後も「見つけ出してやる」と脅されているといった事情があれば、おそれが大きいと判断されやすくなります。

退去等命令の要件

退去等命令は、相手を住居から追い出すという重い効果があるため、要件が少し厳しくなっています。

  1. 身体に対する暴力、または生命・身体に対し害を加える旨の脅迫を受けたこと
  2. さらなる身体に対する暴力により、生命または身体に重大な危害を受けるおそれが大きいこと
  3. 申立人と相手方が生活の本拠を共にしていること

接近禁止命令と違い、退去等命令では精神的な危害のおそれだけでは足りず、「身体」に対する危害のおそれが必要です。また、すでに別居している場合は申し立てられません。

証拠になるもの

要件を満たすことは、申立人の側が裁判所に示さなければなりません。例えば次のようなものが役立ちます。

  • けがの写真、医師の診断書、通院記録
  • 脅迫のメール・LINE・SNSメッセージのスクリーンショット
  • 暴言や脅しの録音・録画
  • 警察への相談記録、配偶者暴力相談支援センターの相談記録
  • 暴力があった日時・状況を記した日記やメモ
  • 壊された物の写真

「証拠なんて残していない」と落ち込む必要はありません。相談機関に相談した事実そのものが記録として残りますし、日付と出来事を書いたメモも立派な資料になります。今日からでも記録を始めてみてください。

保護命令の申立て手続きの流れ

手続きと聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、流れは4つのステップに整理できます。相談先の職員や弁護士がサポートしてくれますから、安心してください。

  1. 配偶者暴力相談支援センターまたは警察に相談する(していない場合は公証人の認証)
  2. 地方裁判所に申立書と証拠を提出する
  3. 裁判官が申立人と面接し、相手方の審尋を行う
  4. 保護命令が発令され、相手方に送達されて効力が生じる

①配偶者暴力相談支援センターか警察に相談する

保護命令の申立ては、事前に配偶者暴力相談支援センターまたは警察に相談しておくことが前提になっています。申立書には、どこに・いつ・どんな相談をしたかを書く欄があるためです。

配偶者暴力相談支援センターは、都道府県の女性相談支援センターのほか、市区町村の男女共同参画センターや福祉事務所などに設けられています。全国共通の「DV相談ナビ」(#8008)に電話すると、最寄りのセンターにつながる仕組みです。

事前相談をしていない場合には、公証人役場で「宣誓供述書」を作る方法もあります。暴力を受けた事実を書面にし、公証人の面前で宣誓して認証を受けるもので、認証には11,000円の手数料が必要です。ただ、相談機関への相談なら費用はかかりませんし、その後の支援にもつながるため、多くの場合はまず相談するのが現実的でしょう。

子や親族への命令も求めたいときは、相談の段階でその必要性も話しておくことが大切です。

②地方裁判所に申立書と証拠を提出する

申立先は、家庭裁判所ではなく地方裁判所(またはその支部)です。次のいずれかを管轄する地方裁判所に申し立てられます。

  • 相手方の住所地
  • 申立人の住所地または居所
  • 暴力や脅迫が行われた場所

避難先の近くの裁判所に申し立てられるので、元の住所の裁判所まで戻る必要はありません。

保護命令申立書の記載内容と必要書類

申立書の書式は裁判所のウェブサイトで公開されており、各地方裁判所の窓口でも入手できます。主な記載内容と必要書類をまとめました。

項目 内容
申立書に書くこと 当事者の氏名・住所、求める命令の種類、暴力・脅迫を受けた状況、さらなる暴力等のおそれが大きい事情、相談機関への相談の経緯(機関名・日時・内容)
添付書類 申立書の副本(相手方送付用)、戸籍謄本や住民票など関係を示す書類、診断書・写真・録音など証拠、相談していない場合は公証人の認証を受けた宣誓供述書、15歳以上の子や親族への命令を求める場合はその同意書
費用 申立手数料として収入印紙1,000円、相手方への送達などに使う郵便切手(金額は裁判所により異なる)

必要書類は裁判所によって細かな違いがあります。申立前に、申立先の地方裁判所に確認しておくと手戻りがありません。

相手に住所を知られないための工夫

申立書の副本は相手方に送られます。避難先の住所をそのまま書けば、居場所が知られてしまうでしょう。そのため、申立書には相手と同居していた当時の住所を書き、裁判所からの書類を受け取る場所は別途「送達場所等届出書」で届け出るのが一般的です。心配な点は裁判所の窓口や弁護士に遠慮なく相談してください。

③裁判官による面接と相手方の審尋

申立書が受理されると、当日または速やかに裁判官が申立人(または代理人の弁護士)と面接し、事情を聞きます。その約1週間後に、相手方が立ち会える審尋の期日が開かれるのが通常の流れです。

「相手と同じ部屋で顔を合わせるの?」と心配になりますよね。裁判所では、申立人と相手方が鉢合わせしないよう、待合室や入退室の時間を分けるなどの配慮が行われています。弁護士に依頼していれば、代理人が対応する場面も増えるため、精神的な負担はさらに軽くなるでしょう。

なお、審尋を待っていては生命や心身に重大な危害が生じることが明らかな場合など、緊急性が高いときは、相手方の審尋を経ずに発令されることもあります。

④保護命令の発令と効力の発生

要件を満たすと裁判所が判断すれば、速やかに保護命令が発令されます。効力が生じるのは、相手方に決定書が送達されたとき、または審尋期日で言い渡されたとき。発令されると、裁判所から警察本部や配偶者暴力相談支援センターにも通知され、警察が被害者の保護に動ける体制になります。

申立てから発令までの期間

面接の約1週間後に審尋期日が設けられるため、申立てから発令までは一般に2週間前後が目安になります。もちろん事案によって前後しますが、民事裁判に比べればかなり迅速な手続きです。

決定に不服があるときは即時抗告

保護命令が出た相手方も、申立てが却下された申立人も、決定に不服があれば即時抗告ができます。ただし、相手方が即時抗告をしても、それだけで命令の効力が止まることはありません。

保護命令違反の罰則

「命令が出ても、相手が守るとは思えない」。そう感じる方のために、罰則を確認しておきましょう。

保護命令に違反した者は、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金に処せられます(DV防止法29条)。改正前は1年以下の懲役または100万円以下の罰金でしたから、刑罰は2倍に引き上げられたことになります。

命令違反は警察が逮捕できる犯罪です。相手が家の前に現れた、禁止されている時間帯に電話が来たという場合は、ためらわず110番通報し、「保護命令が出ている」と伝えてください。決定書の写しを手元に置いておくと、説明がスムーズになります。

保護命令を申し立てるメリットと注意点

保護命令は心強い制度ですが、申立ての前に知っておきたい注意点もあります。良い面と気になる面の両方を見ておきましょう。

保護命令のメリット

  • 刑罰を背景に、相手の接近や連絡を止められる
  • 警察が状況を把握し、違反時にすぐ対応してもらいやすくなる
  • 裁判所が暴力の事実を認めた記録として、離婚調停・裁判や慰謝料請求で有利な資料になる
  • 保護命令が出ていれば、離婚前でも児童扶養手当の支給対象になり得る
  • 退去等命令により、自宅に戻って荷物を整理したり、引っ越し準備をしたりする時間を確保できる

特に3つ目は見逃せません。保護命令が発令されたという事実は、「婚姻を継続し難い重大な事由」の有力な裏付けになります。

保護命令のデメリット・注意点

  • 申立書や証拠は相手方に送られるため、相手が反発して関係がさらに悪化することがある
  • 要件を満たすと認められなければ却下される
  • 接近禁止命令の期間は1年で、終了後は再度の申立てが必要になる
  • 相手方が警察に逮捕されるなど、子どもの父親(母親)に前科がつく可能性がある

相手の反発が怖いという気持ちは当然です。だからこそ、発令後に相手が現れたときの行動(すぐ110番、誰に連絡するか)を、事前に相談機関と決めておくことをおすすめします。

虚偽の申立ては罰則の対象になる

一方で、事実と異なる内容で保護命令を申し立てると、10万円以下の過料に処せられます。「早く出してもらいたいから」と話を大きくするのは逆効果。相手方は申立書を読んだうえで反論してきますから、事実を正確に、証拠とともに示すことが結局は近道になります。

保護命令について相談できる窓口

一人で裁判所に行くのは不安という方がほとんどでしょう。次の窓口が、申立ての前から後まで支えてくれます。

相談先 連絡先・内容
DV相談ナビ #8008(はれれば)。最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながる
DV相談プラス(内閣府) 0120-279-889。電話は24時間対応、メール・チャット相談もある
警察 緊急時は110番。相談専用は#9110
法テラス・サポートダイヤル 0570-078374。平日9時〜21時、土曜9時〜17時。収入等の要件を満たせば無料法律相談や弁護士費用の立替制度を利用できる
弁護士 申立書の作成、裁判所での代理、離婚・慰謝料請求まで一貫して依頼できる

弁護士に依頼すれば、裁判官との面接や審尋に代理人として対応してもらえ、相手方とのやり取りを任せることも可能です。費用が心配な方は、法テラスの民事法律扶助(弁護士費用の立替え)を使える可能性があります。まずは無料相談から始めてみてください。

保護命令に関するよくある質問

殴られたことはなく、暴言と脅しだけです。保護命令は出ますか?

2024年4月の改正により、生命・身体だけでなく自由・名誉・財産に対する脅迫を受けた場合も申し立てられるようになりました。「殺す」「写真をばらまく」「金を全部取り上げる」などの脅しがあり、さらなる暴力等で心身に重大な危害を受けるおそれが大きいと認められれば、接近禁止命令が出る可能性があります。ただし、暴言のみで脅迫に当たらない場合は難しいこともあるため、録音や診断書をそろえて相談機関や弁護士に判断を仰いでみてください。

すでに別居していても保護命令を申し立てられますか?

接近禁止命令や電話等禁止命令は、別居後でも申し立てられます。むしろ別居後に「居場所を探し出す」と脅されているケースこそ、保護命令が力を発揮する場面です。一方、退去等命令は生活の本拠を共にしていることが要件なので、別居後は対象になりません。

離婚した後でも保護命令は出ますか?

離婚前に暴力や脅迫を受けていて、離婚後も元配偶者から引き続き暴力等を受けている場合は、元配偶者も保護命令の対象になります。事実婚を解消した場合や、同居していた交際相手と別れた場合も同様です。

保護命令が出ると離婚や親権で有利になりますか?

保護命令は、裁判所が暴力等の事実と危険性を認めたうえで出すものです。離婚調停や裁判では「婚姻を継続し難い重大な事由」を裏付ける有力な資料になり、慰謝料請求でも重要な証拠になります。親権については、2026年4月施行の改正民法で、DVや虐待のおそれがあるなど父母が共同で親権を行うことが困難な場合には家庭裁判所が必ず単独親権にすると定められました。保護命令が出ている事案は、この判断でも考慮されるでしょう。

費用はどれくらいかかりますか?

裁判所に納めるのは収入印紙1,000円と郵便切手代だけです。戸籍謄本などの取得費用が別途かかります。事前に相談機関へ相談していれば公証人の認証(11,000円)も不要です。弁護士に依頼する場合の費用は事務所ごとに異なるため、相談時に確認してください。

保護命令の期間が終わったらどうすればいいですか?

期間満了後も暴力等のおそれが続いている場合は、再度の申立てができます。接近禁止命令なら1年ごと、退去等命令なら2か月(または6か月)ごとに状況を見直し、必要なら早めに準備を始めましょう。

まとめ|保護命令は「安全に離れる」ための法的な盾

保護命令とは、配偶者や元配偶者、同居する交際相手からの暴力・脅迫に対し、地方裁判所が接近や連絡、同居の継続を禁止する命令です。2024年4月の改正で、精神的DVによる重篤な被害も対象になり、接近禁止命令は1年に延長、違反の罰則は2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金に強化されました。

申立ては、相談機関や警察への相談を経て地方裁判所へ。費用は印紙代1,000円と切手代だけで、申立てから発令までは2週間前後が目安です。証拠は多いほど心強いものの、相談記録やメモからでも始められます。

もし今、身の危険を感じているなら、まず#8008か110番へ。手続きの準備や離婚・慰謝料請求まで見据えるなら、DV事案に慣れた弁護士に相談してみてください。あなたとお子さんの安全を取り戻す道は、きちんと用意されています。

「離婚の基礎知識」記事一覧