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配偶者が長期間行方不明になった場合の離婚手続き

配偶者が長期間行方不明になった場合の離婚手続き

たとえ「相手への愛情」が残っていたとしても、生死が分からない状況では、幸せな結婚生活が継続できません…。配偶者が長期間行方不明の場合は、これまでの関係を清算し「離婚を考える」のも、ひとつの方法です。

離婚|配偶者が行方不明になった場合、すべきこと

配偶者が行方不明になった場合、必要な手続きを「一連の流れ」としてまとめてみました。

配偶者が行方不明になった場合の手続き

STEP1:手がかりが掴めない場合は捜索願を出す
STEP2:長期間生死が分からない場合は、離婚を考える
STEP3:弁護士に相談し、離婚訴訟を申し立てる

まず、配偶者の行方に手がかりがなければ、最寄りの警察署で捜索願を提出しましょう。配偶者に、家出などの心当たりがなければ、事件に巻き込まれた可能性も考えられます。この場合、家出人が失踪した時の管轄内警察署にて「捜索願」の手続きを行います。

もしくは、配偶者が失踪した管轄の警察署でも構いません。家出人の保護者、配偶者、親族であれば、捜索願が届出できます。捜索願の手続きには、家出人の写真、届出人の身分証明書(運転免許証や保険証でOK)のほか、印鑑が必要です。

捜索願の手続きに必要なもの

  • 家出人の写真(スマホの画像でもプリントすればOK)
  • 家出人の住所・氏名・年齢など個人が特定できる情報
  • マイカーの車両番号
  • パスポートや保険証の情報(分かればで良い)
  • 体格や人相、特徴となる事柄

このほか、警察が捜索しやすいよう、家出人の住所、氏名、生年月日、人相や体格、家出時の着衣、車両に関する情報(マイカーを持っている場合は、ナンバープレートの番号を控えておく)を伝えてください。また、家出の原因について分かる限り(心当たりがあれば)情報を提供し、家出時の状況を詳しく説明しておきましょう。

離婚したい配偶者「捜査されない」ケースとは?

家出人が「本人の意思」で出て行った場合は、捜査が行われません。このほか、借金苦などの夜逃げや、浮気相手との家出に関しても捜査対象にならないので、注意が必要です(=一般家出人として扱われる)。

遺書などが見つかった場合や、日頃の行いから生命の危険が感じられるケース、何かの事件・事故に巻き込まれた可能性に対してのみ「家出人の捜索」が行われます。こうした事件性のある家出人は「特異家出人」として扱われます。

三年以上、生死が分からなくなったら離婚できる

配偶者と連絡が取れず三年を経過すると「生死不明」として離婚の申し立てが可になります。また、行方不明の時期が三年未満でも「悪意の遺棄」が認められた場合、裁判によって離婚が認められます。

ここでの「悪意の遺棄」とは、同居の義務など「夫婦の義務」を怠ったことを指します。夫婦は同居し、それぞれが協力しながら扶助する義務を持ちます。

しかし、配偶者の一方的な理由で家出し、同居の義務を果たさない場合は、三年未満でも離婚原因として成立するのです。

3年以上7年未満、音信不通の場合の離婚

「3年以上7年未満」音信不通の状態が続いた場合、後日生存が確認された場合でも離婚の申し立てが受理されます。

7年以上、音信不通の場合の離婚

「7年以上」音信不通になった場合は、二種類の方法で、離婚の申し立てが可能です。

7年以上、音信不通になった場合の離婚方法

① 離婚裁判を申し立てる
② 失踪宣言を行う

①と②の内容について、以下で詳しく説明します。

① 離婚裁判を申し立てる

配偶者が長期間行方不明だったことが証明できれば、ほぼ確実に離婚が成立します。後日生存が確認されても、離婚がくつがえらないので(多くの方は)①の方法で裁判を申し立てるケースがほとんどです。

② 失踪宣言を行う

家庭裁判所に「失踪宣言」を申し立てると、婚姻関係が解消出来ます。家庭裁判所が失踪宣言を受け入れると、配偶者は「死亡者」という扱いになり、離婚が成立します。ただし、失踪者が後日見つかった場合、婚姻関係が復活するため「離婚の意思」を持った方には不都合が生じます。

また失踪者が見つかると、再婚相手との「再婚」が取り消される可能性もあり、良い方法とは言えません。配偶者が7年以上見つからない場合は、①の離婚裁判を申し立てる方が安全かつ確実です。

「配偶者の生死不明」を認めてもらう方法

「配偶者の生死が不明」だと認めてもらうには、失踪の証明が必要になります。例えば、相手と最後に接触した時の手紙やメール、通信履歴が証拠になるほか、警察への捜索願も「相手を探そうと努力した」証拠として受理されます(捜索願受理証明書を提出)。

このほか、妻や夫以外の「第三者」から、家出人を長期間見かけていないことを陳述書によって証明してもらう必要があります。陳述書とは、事件や特定の出来事について、時系列に沿い、自分の知っていることを記した文章を指します。

弁護士と一緒に、陳述書は正しく書こう

陳述書の書き方は、最寄りの地方裁判所、家庭裁判所の公式サイトから記入例が確認出来ます。記入の仕方が分かったら、周りの親戚や知人、会社の同僚などに「どのくらいの期間、失踪者を見かけていないのか」陳述書を通じて証明してもらいましょう。

また、法的な手続きについては、弁護士などプロに相談すると安心です。裁判を予定される方は「無料弁護士相談」等の機会を活用し、陳述書の書き方や「心がけるべきこと」について質問をしてみてください。

【補足】 第三者が「不明人を見かけた」と証言した場合

第三者が「不明人を見かけたと」証言した場合、生存の可能性が生じ、離婚の条件が認められなくなります。この場合は、生存不明を理由にするのではなく「行方不明が悪意の遺棄」になるとして、離婚を申し立てる必要があります。

配偶者が死亡した場合の離婚手続き

配偶者が死亡していた。もしくは、死亡してしまった場合は市町村区に届け出を行い、婚姻関係を解消します。配偶者の戸籍から抜けるのも、新しい戸籍の筆頭者になるのも、みなさんの自由です。配偶者の死亡で「自動的に離婚」という流れにはならないので、必ず戸籍の手続きを忘れないようにしましょう。

配偶者生死不明の離婚、注意すべきポイント

相手の居場所が分からない時には、協議離婚は行えません。この場合、弁護士に依頼し、離婚訴訟を提起する必要があります。もちろん、弁護士を付けなくても離婚訴訟は行えます。

しかし、訴訟は自らに決定権があるのでは無く、裁判官の判決結果によって「未来」が大きく左右されます。また、素人が離婚訴訟を申し立てようとしても、手続きが複雑なので大変です…。裁判で必ず勝てるよう、また、私たちや家族が幸せに生活するためにも、まずは信頼できる弁護士を通じ、離婚準備を進めるようにしましょう。

このほか、離婚訴訟だけでなく、行方不明になった配偶者がどのように遺産を管理すべきなのか「必要な手続き」はすべて弁護士に相談できます。分からないことは、無料相談などの機会を通じ、まとめて質問してみてください。

離婚はショックだが、弁護士と協力し冷静に対応すべき

配偶者が突然行方不明になるのは、ショックなことです。精神的苦痛も大きく、事実を受け止めるのは容易なことではありません。

しかし、配偶者による長期間の不在・行方不明は、婚姻生活が破綻する原因です。徐々にでも「離婚の意思」が芽生えたのであれば、気持が切り替えできたタイミングで、無理なく離婚手続きを始めてみてください。

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