慰謝料減額交渉の書き方!期間や弁護士の依頼費用も紹介
慰謝料を支払う気持ちがあっても請求された金額に納得がいかない、金銭的に難しいと言う場合は減額交渉をすることで下げてもらえる可能性があります。
減額交渉は簡単ではありませんが、対応次第では提示された慰謝料より数百万も低い金額で済むケースも多いです。
当記事ではそんな慰謝料の減額交渉における回答書の書き方や注意点、弁護士への依頼費用などを解説していますので参考にして下さい。
慰謝料の減額交渉は書面で回答するのがベスト!
慰謝料を口頭で請求されたとしても内容証明などの書面で請求されたとしても、減額交渉は書面で回答をするのがセオリーです。
慰謝料の減額請求では、まず減額要素を検討する必要があります。不倫であれば不倫の期間が短い、もともと夫婦関係が破綻していたなどの状況は減額要素となりますし、そもそも支払い能力がなければ減額をしてもらわないと払えません。
また、相手にも非がある場合も減額要素となります。減額要素に関しては弁護士に相談すると適切な要素を見つけてくれるので、書面へ請求に対する回答書を送るのが減額交渉の第一歩です。
慰謝料減額交渉の回答書の書き方!
回答書はひな形に基づいて作成する
回答書というのは、請求や要求、質問などに対する答えを記載した文書のことです。
回答書に関してはネットで調べると一般的なひな形がヒットしますから、これを土台として作成することができます。
ただし、回答書の日付や名前など一部分を書き換えるだけという作成方法はNGです。回答書は正式な書面になりますが、それでも形式的な文書というのは相手に不快感を与えます。
例えば回答書というタイトルではなく謝罪文としたり、最初の一文にへりくだった文言を入れたりするなど、読み手への少しの気遣いで回答書のイメージはまったく変わってきます。
文書の入り口は記載されている内容のイメージを決める重要なポイントです。ここで印象を悪くしてしまうといくら謝罪をしても儀礼的なものにしか感じられませんから、弁護士と相談しながら少しでも誠意が伝わる内容で作成していきましょう。
減額希望理由を具体的に書く
本人の支払い能力にもよりますが、慰謝料というのは決して安いものではなく、ほとんどの場合一括で支払うのはかなりの負担が生じる金額です。
確かに負担が大きすぎるのは減額理由になりますが、慰謝料請求をされるようなことをしてしまったのですから、支払いが厳しいというだけで相手も減額する気にはなれないでしょう。
減額しようという気持ちになってもらうには、やはり具体的な減額理由が必要になります。
自分の収入や預金を記載するのもいいですし、離婚後の生活の立て直しで引っ越し費用の負担が大きいといった、相手も共感できるような理由でもいいでしょう。
子供がいる場合は、養育費をしっかり払っていきたいから、と言う理由でもいいかもしれません。とにかく自分が慰謝料を請求する立場で考えてみて、相手が納得しやすい理由を分かりやすく書くことが交渉成立のポイントになります。
謝罪の気持ちを記載する
減額交渉でもっとも重要なのは、しっかり反省しているという気持ちを伝えることです。請求する側は単にお金が欲しいという気持ちではなく、裏切られた悔しさや苦しみ、怒りをぶつけるために慰謝料を請求することも少なくありません。
回答書というと必要事項だけ記載するイメージがあるかもしれませんが、謝罪文を入れることで相手の気持ちを和らげることができますと言っても、ただ「申し訳ございませんでした」「心より反省しております」など、一般的な謝罪で使うような言葉での謝罪は止めましょう。
よくある謝罪文では反省の気持ちは伝わりませんし、逆に儀礼的に記載したと思われてしまうかもしれません。
ビジネスであれば形式に則った文言を書く必要がありますが、慰謝料減額はビジネスではないので上手い下手ではなく自分の言葉で謝罪をするのがベストです。
また、減額を求めることに対しても、「大変申し訳ない」というようにお詫びの一文を入れるといいでしょう。
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慰謝料の減額交渉の回答書を書く際の注意点
回答書に記載する内容というのは特に決まりがなく、請求に対する回答や自分が相手に伝えたいことなどを自由に書いて構いません。
ただし、相手の気持ちを逆なでしてしまうような内容では交渉が上手くいかないので、回答書を書くときの注意点をチェックしておきましょう。
自分を正当化しないこと
慰謝料請求をされるようなことをしてしまったとしても、こちら側にも言い分というものがあるかもしれません。
ですので、悪気はなかった、仕方なかった、本当はやりたくなかったということを書きたくなるのも分かりますし、責められてしまうと自分を正当化したくなるのも当然です。
しかし、どんな言い分であっても慰謝料を請求する側にとっては言い訳にしか聞こえません。性格にもよりますが、言い訳をされるとさらに怒りが増す、許す気にならないと言う人が多いのも事実です。
いくら謝罪文を入れて平身低頭の文章を記載しても、自分を正当化するような文言を入れた時点ですべてが帳消しになってしまいます。
減額交渉を狙うなら、回答書ではいかに相手の立場にたって思いやれるかが重要なので、言いたいことがあってもぐっと飲み込んでください。
感情的な文章を書かないこと
回答書は事務的なのも良くありませんが、だからといって感情に任せて文章を書くのも良くありません。特に気をつけたいのが相手を責める言葉です。
例え丁寧な言葉でも、そちら側にも責任がある、こちらだけが悪いわけではないというような内容を書いてしまうと、相手は態度を硬化させてしまうでしょう。
本当に相手側に非があり、それを証明できるようであれば、それを元に減額請求の裁判を起こすことは可能です。
しかし、証拠が提示できなければ裁判には勝てませんし、相手側も減額には応じてくれません。例え相手側にも問題があったとしても、証拠がない限りは責めたところで減額請求が通ることはないので、損をしないためにも感情的な文章を書かないように注意してください。
減額の要求だけをする
確かに回答書は請求に対しての返事だけを書けば良いのですが、請求する側も人間ですからただ減額を請求されても気分は良くありません。
たとえ請求されたことに不満があったとしても示談が成立しなければ減額はされませんし、調停や裁判へと進んでいく場合はより面倒なことになってしまいます。
裁判の判決で請求額が認められてしまえばそれまでなので、相手の気持ちを逆なでするリスクのある減額要求だけの回答書を送ることは止めておきましょう。
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慰謝料の減額交渉を依頼した場合の費用内訳と相場
慰謝料減額の交渉は自分でも出来ますが、スムーズに進めて減額交渉を成立させるには弁護士の力を借りるのが一番です。
ここでは、弁護士に依頼した場合の費用の内訳と相場をご紹介します。
依頼をする前の相談料
どういった事案であっても、弁護士に依頼する前には必ず相談をします。その上で依頼をするかしないかを決めるので、いきなり高額な費用が発生することはありません。
相談料の相場は1時間5000円ですが、最近は初めての相談料は無料にしている弁護士事務所も多いので、少しでも費用を節約したい場合は無料のところに相談をしてみるといいでしょう。
相談する弁護士事務所を選ぶ時はインターネットで離婚や慰謝料交渉の実績があるかを調べて、出来るだけ経験を積んでいる弁護士が在籍しているところを選ぶのがおすすめです。
実際に交渉を始めてもらうための着手金
相談をして、この弁護士なら信頼できる、交渉を任せたいと思ったら正式に依頼をしますが、ここで必要となるのが着手金です。
着手金の相場は10万円から20万円ほどになりますが、依頼内容や弁護士事務所によって変わります。慰謝料減額交渉の場合、高額な着手金を設定している事務所は少ないですし、示談交渉が得意な事務所であれば成功報酬だけで着手金は不要というところもあります。
ただし、中には着手金が不要であっても成功報酬が異常に高いという事務所もあるので、安易に依頼せずに成功報酬の金額もしっかり確認しましょう。
また、慰謝料減額交渉がうまく行かず、調停や裁判となった場合は追加着手金がかかることもありますが、協議の段階から依頼をしていれば着手金を割り引いてくれるところもあるので念のため追加着手金についても確認しておくといいでしょう。
減額が成功した時の成功報酬
減額交渉が成功したら発生するのが成功報酬です。どんなに良心的な弁護士事務所でも、成功報酬はぜったいにかかる費用です。
一般的な成功報酬の相場は、減額交渉の場合は減額分の10%から20%となっています。つまり、100万円の減額交渉が成功した時には、10万円から20万円の成功報酬を支払うことになります。
一見高額に思えるかもしれませんが、自分1人の交渉だと減額自体が出来ないことが多いので、成功報酬を払ってでも弁護士に依頼した方が得と言えるでしょう。
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諸経費が発生することもある
弁護士に交渉を依頼すると、1日の日当や裁判所、協議をする場所に出向くための交通費、遠方の場合は宿泊代、収入印紙購入など必要経費が発生することがあります。
日当は弁護士によって異なりますが、安くて10000円、ベテラン弁護士になると30000円ほどかかると言われていますから、日当はかなりの負担になるかもしれません。
ですので、何度も読んでお金を無駄にしないために交渉に必要なことや弁護士が求める情報をしっかりまとめて、テキパキと話を進めましょう。
他の必要経費に関しては、弁護士事務所ごとに計算方法が違うので最初に内訳を聞いておくとのがおすすめです。
減額交渉が成立するまでの期間
減額交渉というのは、弁護士に相談後は内容証明郵便を送付して減額請求を行います。そこで合意が成立しなければ調停、調停で解決しなければ裁判というのが主な流れです。
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そのため、減額交渉が成立するまでの期間は人によってまったく異なるのが実情です。協議がスムーズに進めば1日で終わることもありますし、裁判となったら1年以上かかることもあります。
平均的な期間は半年となっていますが、そこは本当にケース・バイ・ケースです。請求される側は1日でも早く終わらせたいと思うのが一般的ですが、請求する側は日数がかかっても要求する慰謝料を払ってもらいたいと思っているので、基本的に減額交渉の成立まで時間がかかります。
と言ってもある程度の要求が通ったり減額をしなければ支払い自体不可能な場合、相手側も妥協点を探します。
つまり、出来るかぎり短期間で交渉を成立させたい場合は、交渉力を持っている弁護士に代理人を依頼するべきと言えるでしょう。
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慰謝料の減額交渉成立後の注意点
減額交渉が成立すれば一段落ですが、そこで油断してはいけません。
こちらの要求に合意をしてもらったとしても、時間が経つと気が変わることもありますし、周りからの助言で撤回されてしまうこともあるので、成立後の注意点を踏まえておきましょう。
必ず示談書を作成する
慰謝料の減額交渉が成立したら、必ず示談書を作成してください。示談書の作成は義務ではありませんし、示談書がなくても合意をすれば減額交渉は成立します。
しかし、示談書がないと示談を成立した証明ができないため、請求する側の気が変わってしまったら再度協議をしなくてはいけなくなります。
そうなると減額が受け入れられないどころか、相場内であればさらに高い慰謝料を請求される可能性もあるのです。
ここで示談が成立しなければ調停や裁判へと進むことになりますから、減額に合意をしてもらったらお互いが合意した条件を明確に記載した示談書を作成してください。
示談書があれば仮に上乗せ請求の訴訟を起こされたとしても、示談が成立していることを証明できるので後々のトラブルを防ぐことができます。
示談書の内容を確認してから署名する
示談書に署名をしてしまうと、どういった内容であっても撤回したり変更したりすることは出来ません。減額の合意が出来たとしても、示談書にそのことが盛り込まれていなければ減額は無効になってしまいます。
もちろん故意に盛り込まないということはほとんどありませんが、万が一ということがありますし、こちらに不利な条件が記載されている可能性もゼロではありません。
実際、交渉時にこちらが合意しなかったことでも、合意されたとして記載されていたらその条件を履行しなくてはいけなくなります。
示談書が作成されたからと言って安心せず、しっかり内容に目を通しておかしな点や疑問点などがあったら署名の前に確認をしましょう。素人だと判断が難しい部分も多いので、弁護士にチェックを依頼するのも手です。
減額交渉を成功させるには弁護士の力が必要不可欠
慰謝料の減額交渉の方法はネットで検索をするとたくさんの情報がヒットしますから、自分だけで出来ると思うかもしれません。
ただし、減額請求には法的な手続きが必要になるため、弁護士を立てるのが一般的です。もちろん1人で行うのは絶対に無理ということはないものの、手続き方法を間違えると失敗するリスクが高くなります。
また、当事者同士での交渉は感情が入りやすいので、決裂してしまうことも少なくありません。請求してくる側は少しでも多く慰謝料を支払ってもらいたく、こちらは少しでも減額をしてほしいので当然ですね。
そのためにも交渉経験に長けている弁護士の力が必要不可欠です。まずは無料相談を利用して、慰謝料の減額交渉をスムーズに成功させるアドバイスをもらいましょう。
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