ダブル不倫(W不倫)の慰謝料相場は?請求方法や注意点を紹介!
ダブル不倫(W不倫)とは結婚している人が別の既婚者の異性と浮気(不倫)をする関係のことを指します。
不倫をされた側の配偶者は被害者となり、離婚した場合には自分の配偶者と浮気相手に慰謝料を請求することができますが、その方法や相場はケースによって異なります。
そこでダブル不倫になった場合の慰謝料の請求方法や相場、について詳しく解説します。
ダブル不倫(W不倫)とは?
ダブル不倫とは、上記の画像のようにお互いに結婚している男女が不倫関係にあることを指します。
このページでは画像のようにAさん夫婦の夫・正夫さんと、Bさん夫婦の妻・恵さんが不倫関係になった場合をモデルケースとして請求や相場についてご説明していきます。
ダブル不倫(W不倫)の慰謝料は誰が誰に請求するのか?
ダブル不倫(W不倫)の被害者は「浮気をされている人」なので、請求する相手は「自分を裏切った配偶者と浮気相手」ということになります。
今回の例の場合は、次の請求ケースが想定されます。
- A家の妻(陽子さん)が夫の不倫相手(恵さん)に請求する
- A家の妻(陽子さん)が自分の夫(正夫さん)に請求する
- B家の夫(晃さん)が妻の不倫相手(正夫さん)に請求する
- B家の夫(晃さん)が自分の妻(恵さん)に請求する
2と4のケースは自分の配偶者に請求するケースで、「配偶者の浮気のせいで精神的な苦痛を負った」という理由で請求できます。
ただし、同じ家計の中から慰謝料を請求することになるので、離婚しない限りあまりメリットはありません。
ダブル不倫(W不倫)の慰謝料相場はどれくらい?
配偶者や浮気相手に請求できる慰謝料は「ダブル不倫(W不倫)だから慰謝料は〇〇万円です」と簡単に金額が出せるものではありません。
それぞれのケース(婚姻期間や子どもの有無など)の要素によって金額が決まりますが、過去の判例を見ると100万円~300万円が多数を占めています。
敢えて相場を説明するなら上記の100万円~300万円がダブル不倫の慰謝料相場と言えるでしょう。
慰謝料の算定基準
離婚の慰謝料は婚姻期間や苦痛の大きさ、子どもの有無などを考慮して算定されます。
特に慰謝料が高くなるのは次のケースです。
- 離婚の原因となった配偶者の有責性が高いほど高い
- 精神的・肉体的苦痛が大きいほど高い
- 婚姻期間や夫婦の年齢が高いほど高い
- 未成年の子どもがいる方が高い
- 有責配偶者に社会的地位が高いほど高い
- 無責配偶者の資力が低いほど高い
配偶者の有責性とは
有責性とは「〇〇の責任がある」という意味ですが、この場合は離婚の原因を作った(責任がある)という意味です。
一方、無責配偶者とは配偶者が離婚の原因を作っていない(責任がない)ということを表します。
つまり、ダブル不倫をしたことで妻が心身ともに大きな苦痛を受けた場合、不倫をした夫は「有責配偶者」、妻は「無責配偶者」となります。
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さらに妻が専業主婦やパートの主婦などで資力が低い場合は、慰謝料は高くなります。
W不倫での離婚慰謝料の平均額
慰謝料の額は請求する側が希望を出し、相手がそれを承諾すれば請求通り受け取れます。しかし、相手が承諾しない場合は訴訟を起こして裁判所に判断してもらうことになります。
ある地裁での配偶者の不貞を原因とする離婚の慰謝料が認められた件数は28件で、その平均は215万円でした。
金額で見ると200万円以下がもっとも多く、次いで300万円以下のケースが多くなっています。
それ以上の金額が認められたケースは少ないことから、相場と同様に平均額も100万円~300万円と考えるのが妥当だと言えるでしょう。
ダブル不倫の慰謝料の請求例
実際に配偶者のダブル不倫で請求し、裁判で認められた慰謝料の例をいくつか見てみましょう。
夫の不倫が原因で別居、その後離婚したケース
幸子さんは健一さんと8年前に結婚し、6歳の子どもがいます。2年前から夫が会社の同僚のみゆきさん(既婚者)と不倫関係にあることがわかりました。
夫の健一さんは出張だと言ってはみゆきさんと旅行に行っていたようです。そのことを知った幸子さんはショックで、子どもを連れて実家に帰ってしまいます。
その後も別居状態が続き夫婦関係は破たん。離婚を決意しましたが、まだ子どもが小さく、パートの仕事にしか就けません。精神的なショックも大きいため、慰謝料を請求することにしました。
裁判では子どもが小さいこと、そして幸子さんの資力が低いことなどから慰謝料は請求通り200万円が認められました。
夫の不倫で子どもが不登校や非行になり離婚したケース
雄太さん、由美さん夫婦は結婚して15年になります。中学2年の長男と小学5年生の長女がいますが、夫の雄太さんが子どものPTAの役員仲間であるみどりさんと不倫していました。
相手が子どもの同級生の母親ということもあり長男は夜遊びなどを覚え非行に走り、長女は不登校になってしまいました。由美さんも眠れない日が続いて病院を受診しています。
その結果、夫の不倫のせいで家族が大変な状況になり、結婚生活は続けられないとして離婚を決意しました。
裁判では子どもの非行や不登校、由美さんの心身の苦痛などは雄太さんの不倫がなければ起こらなかったことと判断され、婚姻関係の期間や家族の状況などから280万円の慰謝料が認められました。
結婚2年目で夫が不倫したケース
長い交際期間を経て結婚した桜さんと良太さんは仲よく暮らしていました。しかし、結婚してわずか2年後に良太さんが友達の奥さんと不倫関係にあることがわかりました。
子どもはまだ授かっていないものの、夫に裏切られたということにショックを受けた桜さんは「もう一緒には暮らせない。一生、顔も見たくない」と離婚。慰謝料を請求しましたが、婚姻関係が短いこと、子どもがいないことなどから慰謝料は100万円になりました。
このように慰謝料の金額はさまざまな要素で変わってくるのと、素人ではそもそも請求時に使える不倫の証拠を集めることも難しいので、離婚問題に詳しい弁護士に相談して進めるようにしましょう。
ダブル不倫(W不倫)の慰謝料の請求方法
次にダブル不倫(W不倫)で離婚した場合の慰謝料請求方法についてご説明します。
慰謝料は配偶者と不倫相手に請求することができます。
不倫した夫(妻)に対して慰謝料を請求する場合
まず夫(妻)と離婚し、慰謝料を請求する場合の流れを見ていきましょう。
- 夫の不倫の証拠を集める
- 夫の不倫相手を特定する
- 離婚の条件(子どもの親権、養育費、財産分与、慰謝料の金額など)をある程度考えておく
- 夫婦で(または両親などを交えて)離婚を話し合う→まとまれば協議離婚が成立するので、この段階で慰謝料を請求する
- 協議離婚が成立しない場合は離婚調停をする
- 離婚調停が成立しない場合は離婚裁判を起こす(ここで慰謝料が決定される)
以上の流れで夫(妻)に不倫の慰謝料を請求することができます。
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不倫した相手に対して慰謝料を請求する場合
次に不倫相手に慰謝料を請求する流れを見ていきます。
- 夫との不倫の証拠を集める
- 不倫相手を特定する(氏名や住所など)
- 慰謝料の金額を決める
- 請求方法を決めて実行する(一般的には内容証明郵便を送付する)
- 示談書(合意書・和解書)を作成する
- 公正証書を作成する
- 相手が応じない場合は調停か裁判を起こす
不倫した相手に対しては上記の流れで慰謝料を請求する事が可能です。
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不倫の証拠を押さえることが重要
配偶者に対しても、不倫相手に対しても慰謝料を請求する場合は、確たる証拠を押さえることが重要です。
不倫と言っても、一緒に食事に行っただけ、映画を見ただけ…では不倫(不貞行為)とは言えません。ラブホテルに入る瞬間と一定時間が経過した後にホテルから出てきた瞬間の写真や動画などが証拠として有効です。
なお、後で改変できるメールなどは証拠としては効力が低い場合がありますし、GPSで後をつけるのは違法行為とみなされる場合があるので注意しましょう。
くわしくは以下の「浮気(不倫) 慰謝料の証拠」に関するページをご覧ください。
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不倫相手の配偶者がダブル不倫を知らない場合
自分の夫のダブル不倫が発覚した場合でも、浮気相手の旦那さんは奥さんの浮気を知らないというケースがあります。
たとえば冒頭の図にある陽子さんの場合、夫(正夫さん)の不倫相手である恵さんの夫(晃さん)が妻の不倫のことを知らない場合はどうすればいいのでしょうか?
考え方としては、次の2つがあります。
不倫相手の配偶者に伝える場合
陽子さんが夫の不倫相手(恵さん)の夫(晃さん)に対し、「奥さんが不倫していることを知らないのは気の毒だ」とか、「私だけは苦痛を感じるのは不公平!恵さんの家庭も壊してやる」などと考えて、相手の夫(晃さん)に伝えた場合は、次のような展開になる可能性があります。
まず妻(恵さん)の不倫を知った晃さんが、正夫さんに慰謝料を請求する可能性が高いです。そして陽子さん夫婦が離婚しない場合、慰謝料は2人で築いた財産から支払うことになりあまりメリットはありません。
一方、陽子さんが離婚する場合、夫の正夫さんは不倫相手の夫の晃さんからも慰謝料を請求されるので、慰謝料が非常に高額になり結果的に陽子さんに支払えないという事態を招く可能性があります。
不倫相手の配偶者に伝えない場合
あえて晃さんには2人の不倫を伝えず、恵さんだけに「内緒にしておくから、口留め料として慰謝料を多めに請求します」と交渉をすることができます。
ただし、この際は脅迫や恐喝にならないように気をつけてください。
伝えるのと伝えないのとどちらがいいかという正解はありません。ケースバイケースですし、当人の感情的な部分も影響するからです。
あくまでも冷静に考えて決断しましょう。どうするのが正解か分からない場合は、弁護士などの専門家に相談することで的確なアドバイスが受けられますよ。
離婚しない場合の慰謝料請求について
次に、夫のダブル不倫を知っても離婚しない場合について、ご説明します。
例えば「離婚すると子どもがかわいそう」とか「別れても自分だけでは生活できない」と考えた場合、W不倫が発覚した後も婚姻関係を継続することになります。
その場合は夫に慰謝料を請求しても夫婦で築いた財産から支払われるのであまり意味がありません。
慰謝料は不倫相手だけに請求するといいでしょう。なお、その際はさらに不倫相手と夫に対して「接触禁止誓約書」を書かせることで今後二度と会わないと誓わせることが有効です。
ダブル不倫の慰謝料請求の注意点
ダブル不倫で慰謝料を請求する場合は、次の点に注意が必要です。
- 確実な証拠が必要
- 故意または過失がないかどうか
- 1回だけの不貞行為では離婚や慰謝料請求が難しい
- すでに夫婦関係が破たんしている場合は請求できない
- 慰謝料は夫と不倫相手の合算で請求
- 時効に注意
確実な証拠が必要
慰謝料を請求しようとしても、「浮気はしていない」「ただ会っておしゃべりしていただけ」……などと言い逃れをされないように、浮気(不貞行為)つまり肉体関係があったことを証明できるようにしておきましょう。
ホテルに出入りする様子や性行為そのものを撮影した写真や動画、ホテルの領収書、電話内容の録音などがあると有利です。
故意または過失がないかどうか
例えば夫が不倫相手の女性に「自分は独身だから」とウソをついて関係を持った場合、相手は「故意」つまり「結婚していることを知っていて」関係を持ったわけではありません。
独身だと信じ込んでいた場合は「故意に不倫関係になったのではない」ため、残念ながら慰謝料請求はできません。
一方で独身だと主張しても、結婚指輪をしている、携帯電話の待ち受け画面に子どもの写真を使っているなど、結婚していると判断できるのにそれを確かめないのは浮気相手の「過失」となり、この場合は慰謝料請求ができます。
1回だけの不貞行為では離婚や慰謝料請求は難しい
酔った勢いや遊びのつもりで1回だけ浮気をした場合はどうなるのでしょうか?
この場合、たとえ1回だけでも肉体関係を持ったのなら「不貞行為」となります。ただし、それだけで離婚が認められるというわけではありません。
不貞行為をした夫(妻)が深く反省し、もう二度とやらないと約束している場合は、そのことを誓約書に書かせてもいいでしょう。
なお不倫相手に対しての慰謝料請求は可能ですが、金額はあまり高くは請求できないと考えておきましょう。
すでに夫婦関係が破たんしている場合は請求できない
夫(または妻)のダブル不倫より前に夫婦関係が破たんしている場合は、破たんの原因が配偶者の不倫ではないため、慰謝料の請求はできません。
慰謝料は夫と不倫相手の合算で請求
なお、ダブル不倫の慰謝料は夫と不倫相手の合算で請求します。
例えば300万円の慰謝料を請求する場合、夫から300万円、不倫相手から300万円を受け取れるのではなく、夫と不倫相手から合計で300万円を受け取るということになります。
求債権に注意
もし不倫相手に300万円全額を請求したとしても、不倫はその相手との共同責任と考えるため、上の図でいう恵さんが正夫さんに対して「あなたの負担分も自分が支払ったんだから、その分を返して」と請求することが可能です。
これを「求債権(きゅうさいけん)」と言います。
時効に注意
不倫や離婚の慰謝料請求には時効があります。3年という時効を過ぎると請求できなくなるので注意が必要です。
ただ、この時効を中断させる方法があります。その辺りは以下の記事に書いてあるので合わせてご覧ください。
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ダブル不倫(W不倫)の慰謝料相場と請求方法まとめ
ダブル不倫は結婚している者同士が不倫関係になることです。不倫相手が友達の配偶者だったり、子どものPTAの役員だったりと夫婦共通の知り合いのケースがあり、ダブル不倫を知ったときのショックは計り知れません。
配偶者のダブル不倫が原因で離婚した場合は慰謝料を請求できますが、その相場は100万円~300万円と言われています。請求方法は話し合いで進めるのが基本ですが、相手が応じない場合は内容証明郵便を送付しても良いでしょう。
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W不倫をきっかけに離婚を伴う場合は話し合い(協議)をし、それで決着が出ない場合は調停を、それでも解決できない場合は裁判を起こします。
いずれの場合も不倫(不貞行為)の確たる証拠を押さえる必要がありますし、請求する慰謝料の金額をいくらにするか、どのように進めるかなど自分ひとりで行うのは物理的にも精神的にも負担が大きくなります。
また、法律的な知識も必要になる部分が多いので、不満がある場合は必ず離婚や慰謝料請求に強い弁護士に相談しながら進めていきましょう。
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