離婚調停とは?準備や手続きの流れ、有利に進める方法を紹介!
離婚について夫婦で話し合いをしても結論が出ないときは、離婚調停へと話が進むことが大半です。
そこで当記事では離婚調停とは、法律的にどのような行為を指すのか解説しつつ、流れや有利に進める方法についてもご説明しますので参考にして下さい。
離婚調停とは?
離婚調停とは、離婚を考えている夫婦が話し合いで合意できない場合に、家庭裁判所で裁判官や調停委員を交えて話し合うことです。
離婚調停の正式名称は「夫婦関係調整調停」と言い、その名の通り夫婦関係について家庭裁判所に申し立てをすると調停委員の立ち合いのもとで話し合いを進めます。
家庭裁判所では離婚以外にも多くの家事調停が行われていますが、離婚調停も家事調停のひとつということになります。
離婚調停が必要なケース
離婚調停は次のようなケースで行われます。
- 相手が離婚に合意しない
- 相手が離婚の話し合いに応じない
- 離婚には合意したが、慰謝料や親権などの条件で話がまとまらなかった
このように夫婦(またはそれぞれの両親を交えて)離婚について話し合いをしたが合意できなかった、または相手がまったく話し合いに応じないという場合に離婚調停を申し立てることができます。
離婚調停の申し立てができるのは夫婦どちらかのみ
離婚調停の申し立ては夫または妻のどちらかであれば可能ですが、第三者はできません。
例えば父親の暴力を見かねた子どもが、両親の離婚調停を申し立てるということはできないことになっています。
離婚調停で話し合われる内容
調停で話し合われる内容には次のものがあります。
- 離婚したい
- 親権者をどちらにするか
- 親権を持たない方と子どもの面会交流をどうするか
- 養育費について
- 慰謝料について
- 財産分与について
- 年金分割について
このように離婚成立だけでなく、離婚後の子どもや財産に関することも調停で話し合うことができます。
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離婚調停は非公開で実施される
調停委員には地域の有識者が選任されますが、「自分たち夫婦のことをあれこれ知られるのでは?」と不安に感じる人がいるかも知れません。
しかし、ご安心ください。調停委員には守秘義務があり、調停の場で知り得た情報を漏らした場合は罰せられます。
また、調停自体も非公開で行われるので、夫婦の秘密が外部に漏れることはありません。
離婚調停における調停委員とは?
最初に少しだけ触れましたが、離婚調停には裁判官と2名の調停委員が参加します。調停委員は40歳以上70歳未満で次のような人が任命されます。
- 弁護士の資格を持つ人
- 大学教授、公認会計士などの有識者
- 裁判所管轄地域内の小学校校長や民生委員
- 家庭内のトラブル解決に必要な知識を持っている人
- 地域社会のさまざまな場面で活躍してきた人
- 人生の豊富な経験があり、良識がある人
この中で40歳以上70歳未満という条件はありますが、必ずしも弁護士の資格が必要というわけではありません。
こちらも地域の有識者などが選任され、男女1名ずつ調停委員が任命されます。
調停委員の変更はできない
調停委員に選任された人が親戚だったという場合以外は、原則として変更はできません。
「この調停委員とはウマが合わない」と感じても変えてもらうことはできないので注意しましょう。
離婚調停に発生する費用
離婚調停にかかる費用は、申し立てるときに収入印紙代として1200円、郵送代800円程度、戸籍謄本を取り寄せる費用として450円が必要です。
合計すると最低でも2450円がかかります。
離婚調停と同時に婚姻費用分担請求調停も行うと、その分の費用として収入印紙代が1200円必要になります。
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また、家庭裁判所に行くときの交通費もかかります。特に夫婦が別居している場合は相手が住む地域の家庭裁判所で調停が行われますので、遠方に住んでいる場合はそこまでの交通費がかかります。
弁護士に依頼するとその費用も必要
離婚調停は自分ひとりでも進められますが、相手が離婚に応じない場合や慰謝料の支払いを拒否している場合などは、弁護士に依頼するとスムーズに有利に進められるというメリットがあります。
ただ、その場合は弁護士の費用がかかるを留意しておきましょう。弁護士費用は相談料を無料にしているところが多いですが、着手金として30万円~40万円、その後、成功報酬として獲得できた慰謝料の金額に応じた費用を支払う必要があります。
離婚調停の準備や手続きの流れ
離婚調停はどのように進めていけばいいのか、流れについてご説明していきます。
今回は最も多い、すでに夫婦間で離婚について話し合いをしたが親権や養育費で話がまとまらない、または相手が離婚の話し合いに応じないという前提でご説明します。
- 離婚調停を申し立てるまでの準備をする
- 申立書の作成と付属書類の準備をする
- 申立書を提出する
- 第1回調停期日に備えて準備をする
- 第1回調停期日の連絡が来る
- 第1回調停期日に出席する </li >
- 第2回目以降の調停が行われる
- 調停終了(離婚成立、または不成立)
では、順にご説明していきます。
①:まず離婚調停を申し立てるまでの準備をする
離婚調停を行うには「調停申立書」を提出します。書類に親権者を誰にするかや、面会交流、養育費や慰謝料についてなど、申し立てる内容を記入する欄があります。
そのため、事前に自分は何を求めるのかを整理しておく必要があります。
弁護士に依頼するかどうかを決める
離婚調停を起こすにあたり、弁護士に依頼するかどうかを決めます。
もちろん離婚調停は自分ひとりでもできますが、少しでも早く有利に進めるなら弁護士に依頼する方がスムーズです。
また、仕事を持っていて書類の準備や調停内容を検討する時間がないという人も弁護士に依頼すれば準備をしてくれます。
もし弁護士に依頼する場合は、離婚問題に強い弁護士を探して相談しましょう。
②:申立書の作成と付属書類の準備をする
離婚調停を申し立てるには、次の書類が必要です。
- 夫婦関係等調整調停申立書(3通※)
- 申立人(自分)と相手の戸籍謄本
- 子どもについての事情説明書(未成年の子どもがいる場合 1通)
- 年金分割のための情報通知書(年金分割申立を行う場合)
- 進行に関する照会回答書
- 収入印紙(1200円)
- 申立書類郵送代(800円前後)
「夫婦関係等調整調停申立書」は裁判所提出用、自分用、相手用の3通が必要です。
本籍地が遠方の場合は現地の役所に連絡して郵送してもらいます。
離婚調停に必要な書類に関してはこちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
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③:申立書を提出する
書類が準備できたら提出します
提出先は「相手が住んでいる地域の家庭裁判所」です。夫婦がまだ同居している場合は現住所の管轄の家庭裁判所に提出しますが、別居している場合は相手の居住地を管轄している家庭裁判所を調べて提出しましょう。
なお、「夫婦で〇〇家庭裁判所に申し立てる」と合意できている場合はその裁判所に申し立てることが可能です。
④:第1回調停期日に備えて準備をする
申立書を提出してから第1回調停期日の連絡が来るまでに2週間~1ヶ月ほどかかります。それまでに調停委員に何をどのように話すか、整理しておきましょう。
弁護士に依頼している場合は状況を詳しく説明し、調停の席でどのように話すのかアドバイスをもらいます。
離婚調停に弁護士の同席は可能
離婚調停の席に弁護士が同席したり、自分の代理で出席したりするのは可能です。
ただ、離婚成立(または不成立)を決める最後の調停の席では本人の意思確認が必要なため、代理人だけではなく本人の出席が求められます。
必要な証拠を準備する
夫婦の話し合いで離婚がまとまらない理由のひとつに、相手が自分の非を認めないというものがあります。特に不貞行為(不倫)や暴力、生活費を入れないといった場合は証拠があると有利に話し合いを進められます。
事前に証拠を準備しておきましょう。
有効な証拠をそろえるには探偵事務所や弁護士に相談するのがおすすめです。
また、いつどのタイミングでどの証拠を出すかということも弁護士に相談しながら進めると有利に運べます。
子どもがいる場合の準備
離婚調停は1回2時間ほどですが、場合によっては長引くことがあります。
小さい子どもがいる場合は預け先を探す、保育園のお迎えを誰かに頼む、または延長保育をお願いするなどの対策を取っておく必要があります。
⑤:第1回調停期日の連絡が来る
家庭裁判所から第1回調停期日の連絡が来ます。この連絡は相手にも届いています。
離婚調停は平日に実施されます。もし都合が悪ければ「期日変更申請書」を提出します。相手側が期日の変更を申し出ることもあります。
調停の期日変更は認められる可能性が高いですが、裁判の場合は日程変更はほとんど認められません。もし調停で不成立になり裁判を起こすことになったときはご注意ください。
なお、弁護士に依頼している場合は自分の都合が悪くても弁護士が代理として出席してくれます。
⑥:第1回調停期日に出席する
指定された期日に家庭裁判所に出向きます。次のものを忘れないように持参しましょう。特に調停期日通知書には「事件番号」が記載されています。
家庭裁判所では同じ日に何件もの調停が実施されているため、受付で番号を伝える必要があるので忘れないように持参しましょう。
- 離婚調停申立書(自分用の控え)
- 家庭裁判所から送付された書類(調停期日通知書など)
- 筆記具とメモや手帳
- 証拠(写真や音声データなど)
- 調停で話し合いたいことを記録したメモ
- 本人確認書(本人確認をされることがあるので運転免許証など)
- スケジュール帳(次回の期日を決めるために予定がわかるもの)
- 電卓(財産分与や養育費の計算に使用)
- 財産の内容(財産分与を話し合うときに必要)
- 印鑑
- 振込用の預金口座番号のメモ
離婚調停では調停委員から夫婦のことや今までの経緯などを詳しく聞かれます。時系列にいつ何があったのかを整理して書いたものを持っていきましょう。
特に配偶者の不倫や暴力などが離婚原因である場合はいつから、何が起こったのかなどの過程や、詳しい状況を記したメモがあると説明するときにスムーズにできます。
調停では録音・録画は禁止!
調停ではスマホやICレコーダーなどで録音したり、録画したりすることは禁じられています。
調停委員の言葉など大事なことはその場でメモするようにしましょう。
調停では相手とは別室で待機
調停期日に出席した場合、相手とは別々の控室で待機することになります。
最初に調停室で夫婦同席のもと、裁判官から調停の手続きに関する説明があります。どうしても相手と顔を合わせたくない場合や相手側が暴力をふるう可能性がある場合は事前に申し出ておくと配慮してもらえます。
調停委員が交互に話を聞く
調停の場では2名の調停委員が申立人と相手を交互に調停室に呼び出して、それぞれの言い分を聞きます。裁判官も最初は同席しますが、忙しいので途中で退席し、あとは調停委員に任せるケースがほとんどです。
調停室には申立人が先に呼ばれます。
あなたが申し立てた場合、あなただけが調停室に呼ばれて調停委員と話をし、次にあなたは控室に戻って相手が調停室に呼ばれます。
これは1回あたり30分程度で、交互に話を聞くため第1回調停期日の場では2時間ほどかかります。
証拠を提出するときの注意点
証拠は念のために持参しますが、いきなり調停委員に「こんなに不倫の証拠があるんです!」と差し出しても、必ずしも有利というわけではありません。
調停委員は双方の話を聞いて離婚成立または別居などの結論に持っていくための仲介をするだけです。裁判官のように判決をくだすわけではありません。
証拠を出したところで、それをもって相手に「あなたが悪い」「慰謝料を〇〇万円支払いなさい」とは言えないのです。
むしろあなたが持っている証拠を相手に知られることで、裁判になったときにそれに対する弁明の準備をさせることになりかねません。
そのためにも手の内(すべての証拠)を一度に明かすのはあまりおすすめできません。このあたりのタイミングや作戦は、あなたが持っている証拠の内容や相手の性格、状況などによって変わるため弁護士に相談する方がいいでしょう。
第1回目の調停で結論が出ればその場で調停成立となりますが、多くは2回目以降に続きます。
⑦:第2回目以降の調停が行われる
第1回目の調停が終わって1ヶ月後くらいに第2回目の調停が行われます。それでも話し合いがまとまらない場合は第3回目、第4回目と続きます。
離婚調停は6ヶ月から長くても1年以内には何らかの結論が出ることが多く、1年を超えるケースは1割未満です。
⑧:調停終了(離婚成立、または不成立)
何度かの調停を経たのち、「離婚成立」または「離婚不成立」のどちらかの結論が出ます。
離婚が成立する場合
調停委員を交えた話し合いで双方が離婚に合意したら離婚が成立し、「調停調書」が作成されます。
調停調書には離婚に合意したことの他に親権者や養育費、慰謝料、財産分与などについて記載されています。もし内容に不服があればその場で申し出てください。後から「話が違う」と言っても撤回はできないのでその場でしっかり確認することが重要です。
なお、調停証書には法的な効力があり、相手が約束通り養育費や慰謝料の支払いをしなかった場合は財産差し押さえなどの強制執行が可能になります。
申立人が離婚届を提出し離婚が成立
調停で離婚が成立したら、申立人が調停成立後10日以内に離婚届を役所に提出します。このときに調停調書と戸籍謄本も一緒に提出します。
離婚届を提出しないと離婚は成立しないので、注意してください。
離婚が不成立の場合
離婚が成立しない場合は、次のケースがあります。
- A:離婚調停申立てを取り下げる
- B:調停が不成立になる
Aの場合は、相手が調停に出席しない、離婚に合意しないなどのケースで、離婚調停を申し立てた本人から取り下げることができます。その際に相手側の同意は不要です。
一方、Bのように調停を進めても相手が合意せずに「不成立」という形で終わることもあります。
いずれの場合も離婚が成立しないので、夫婦でもう一度話し合うか離婚裁判を起こすことになります。
ただ、調停で時間をかけて話し合って結論が出なかったのに、再度夫婦で話し合ったところいい結果が出る可能性は低いです。
そのため、一般的にはしばらく別居して冷却期間を置いたり、裁判を起こして判決を下してもらうというパターンが多いです。
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離婚裁判を起こすには、「ただ相手のことが嫌いだから別れたい」という理由では認めてもらえません。
法律で定められた離婚事由に該当する場合のみ、裁判を起こすことができます。
離婚調停を有利に進める4つの方法
離婚調停を有利に進める方法として、次の4つがあります。
- 必要な書類をそろえておく
- 離婚を考えるまでの経緯や状況を整理しておく
- 証拠をそろえておく
- 弁護士に依頼する
事前に必要な書類をそろえておく
調停が開催される期日までに必要な書類を準備しておきましょう。
申立時の提出書類に不備がないようにすることも大切ですし、調停の席で説明する資料もきちんと準備することが重要です。
例えば財産分与の話し合いをしたいのに、夫婦にはどんな財産があるのか把握していないということでは話し合いが進められません。
自分が何を請求するのか、その根拠となるものをきちんと提示できるようにしておきましょう。
離婚を考えるまでの経緯や状況を整理しておく
なぜ離婚を考えるようになったのか、その経緯や現在の状況を調停委員に説明できるように整理しておくと当日も落ち着いて説明ができます。
調停室には弁護士以外の身内などは同席できないため、自分ひとりで調停に臨む場合は特に事前準備が重要です。
経緯はいつ、何があったのかを時系列にまとめておきましょう。
調停委員を味方につけるのがコツ
虚偽(ウソ)の説明はいけませんが、事実を伝えつつ自分がいかに大変だったかを訴えて調停委員の同情を得たり、味方につけたりすると有利に進められます。
ただし、おおげさな演技やウソの説明はNGで、後々自分が不利になる可能性があるので気をつけましょう。
証拠をそろえておく
配偶者の不倫や暴力、生活費を入れないなどの場合は、それを証明できる証拠があると有利です。
特に慰謝料を請求する場合は説得力のある証拠が必要です。事前に準備しておきましょう。
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弁護士に依頼する
調停委員は裁判官ではないので、双方の意見を聞いて話をまとめるだけです。「〇〇しなさい」といった命令(判決)を下すことができません。
そのため、相手が強気で出ると話し合いがまとまらない可能性があります。特に夫婦の力関係に不安があったり、相手の方が口が立ち、自分は説明がヘタという場合は弁護士に依頼しましょう。
調停の席では最初の説明時以外は配偶者と顔を合わせないようになっていますが、少しでも自分に有利に進めるには弁護士の力を借りるのが最適です。
特に調停が成立せずに裁判になると無駄に時間も費用もかかってしまいますので、それよりも離婚問題に強い弁護士に依頼して早期の離婚成立を目指しましょう。
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離婚調停とは|まとめ
今回は離婚調停とは、どのようなものなのか紹介しました。調停で離婚に合意すれば、申し立てた人が調停調書と離婚届を役所に提出することで離婚が成立します。
しかし調停が不成立になるケースもそれなり存在しており、申し立てを取り下げた場合は離婚裁判に進みます。
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いずれの場合でも有利に進めるには弁護士に依頼するのが最適です。費用はかかりますが、弁護士なしだと不利な条件で調停を終えることになりますし、期間も長引くので費用も精神的な負担も大きいです。
最近は無料相談を受けている弁護士事務所も多いので、離婚調停を検討している方はまずは相談してみることをおすすめします。
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