離婚慰謝料の計算方法|モラハラや浮気、DVなど事例も交えて解説!
離婚の慰謝料の相場は、一般的に50万円から500万円くらいと言われています。
こちらを知っている方は多いと思いますが、その離婚慰謝料がどのように計算されているのかは知らない方は多いはずです。
そこで当記事では離婚慰謝料の計算方法を、不貞行為(不倫)やDV、モラハラなどの離婚原因別に詳しく解説します。
離婚慰謝料の一般的な計算方法
協議離婚の場合
離婚慰謝料の計算方法はケースによって大きく異なり、まず協議離婚の場合は夫婦が話し合って慰謝料の金額を決めます。
夫婦で相談した慰謝料の金額にお互いが納得すれば、それが世間の相場より高くても低くても問題はありません。つまり協議離婚に関しては計算方法は存在しないとも言えるでしょう。
一方で話し合いがまとまらないときは、離婚調停や離婚裁判になります。
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その場合「離婚したことに対する慰謝料(離婚自体慰謝料)」と「離婚原因慰謝料」の2つが発生し、一般的には両者を合わせて計算して請求と支払いをします。
離婚調停や離婚裁判の場合
離婚慰謝料は次のような計算式があり、多くの場合はこれが当てはまりますが、全てのケースで必ずしもこの計算式に当てはめて請求されるわけではありません。
ここでは考え方の基本として見ていただければと思います。
計算式
基本慰謝料120万円+(相手の年収の3%)×実質的婚姻年数(最長で20年)×有責度×調整係数
有責度
有責度とは離婚の原因を作った度合いで、次のように計算されます。
行為の内容 | 度合い |
---|---|
不貞行為 | ~1 |
DV・モラハラ | ~1 |
悪意の遺棄(※) | ~0.8 |
重度の精神病 (アルコール依存症を含む) |
~0.7 |
犯罪行為 | ~0.7 |
セックスレス | ~0.7 |
(※:悪意の遺棄とは生活費を渡さない、正当な理由なく長期間別居する、共同生活に協力しないなどを指します。)
なお、有責度の判断は裁判所が行います。
状況によっては必ずしも上の表のような数値になるわけではありません。また、慰謝料を受け取る側の配偶者にも原因がある場合は0になります。
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調整係数
離婚慰謝料の計算式で使われる調整係数は、離婚時の夫婦の状況(慰謝料を受け取る側の収入)がどうなっているかで次のようになっています。
- 共働きで夫婦に同程度の収入がある場合……0.7
- 共働きだが有責配偶者よりも収入が少ない……0.9
- 無職だが資格やスキルがあり、離婚後に自分で生計を立てられる……1.1
- 無職で資格やスキルはあるが未成年の子供がいる……1.3
- 無職で資格やスキルがない、または就労経験がない……1.3
この場合も必ずしもこの係数で計算されるちは限りません。
あくまでも目安としてお考えください。
実際の計算例
上記の計算式をもとに、実際の離婚の慰謝料の金額を計算してみましょう。
・離婚原因は夫の不貞行為(妻には原因はない)
・結婚期間:12年
・夫の年収:500万円
・妻はパート勤務だが特に資格はない
・小学生の子どもがいる
このケースで、計算式「基本慰謝料120万円+相手の年収の3%×実質的婚姻年数(最長で20年)×有責度×調整係数」にそれぞれの数字を当てはめていきます。
- 120万円+(500万円×3%)×12年×有責度1×調整係数1.3=354万円
この場合の慰謝料は354万円ということになります。
ただし、現実にはこの計算式の通りには算出されません。離婚は個々のケースで微妙に状況が異なるからです。
有責度、結婚期間、有責配偶者の年収や社会的地位、子どもの有無や子どもの年齢などさまざまな要素が絡んできますので、それらを元に裁判で判決が下されます。
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不貞行為(浮気)が原因で離婚した場合の慰謝料の計算方法
不貞行為(浮気)が原因で離婚した場合の慰謝料の計算方法は、有責度によって異なります。
ここでの有責度とは、不貞行為(浮気)をした人の悪質度と考えてもいいでしょう。
不貞行為(浮気)の有責度
一般的には、次の要素で有責度を判断します。
要素 | 度合い |
---|---|
不貞行為の回数 | 回数が多いほど有責度は大きい |
不貞行為の期間 | 長いほど有責度は大きい |
浮気相手の妊娠の有無 | 妊娠・出産している方が有責度は大きい |
結婚期間 | 長いほど有責度は大きい |
夫婦の子どもの有無 | 子どもがいる方が有責度は大きい 子どもの年齢が小さいほど有責度は大きい |
精神的な苦痛 | 精神的な苦痛が大きいほど有責度は大きい |
特に不貞期間が長い場合や不貞行為を何度も繰り返していた場合は有責度が高くなります。
また、配偶者の不貞行為を知って精神的な苦痛を受け、診療内科を受診した場合なども有責度は高くなり、その分慰謝料も高く請求できます。
ただ、こういった要素で慰謝料の増額を図る場合は証拠の提出が必要になります。
不貞行為(浮気)の慰謝料の支払い例
不貞行為による離婚で慰謝料が請求された事例をいくつかご紹介します。
・夫(30代 国家公務員)は同僚の20代女性(国家公務員)と浮気を繰り返していました。
それを知った妻は夫と浮気相手にそれぞれ250万円の慰謝料を請求。夫と浮気相手の女性はともに職場や上司に不倫関係のことを知らせないという条件で支払いに応じ、妻は離婚後に双方から250万円ずつを受け取りました。
・夫(30代 会社員)は同窓会で出会った昔の彼女と不倫。女性が妊娠してしまいました。それを知った妻は離婚を申し出をし、夫と女性に慰謝料を請求しました。
不倫相手が妊娠したということで有責度が高くなり、妻の希望通り、合計300万円の慰謝料が獲得できました。
・妻(30代 パート)は夫が単身赴任中にPTAの役員仲間だった男性(40代 自営業)と不倫関係に陥りました。
それを知った夫は離婚を決意。慰謝料の請求もしましたが、妻が浮気したときには、すでに夫婦関係が破綻していたため慰謝料の支払いは認められませんでした。
このようにそれぞれの事例で慰謝料の金額は異なります。計算式通りには算出されないということを理解しておきましょう。
なお、浮気(不倫)慰謝料の相場や請求方法はこちらのページで詳しく解説しているのでご覧ください。
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DV(モラハラ)が原因で離婚した場合の慰謝料の計算方法
近年は夫婦間のDV(言葉の暴力などのモラハラを含む)が原因での離婚が増えています。
DV(モラハラ)で離婚した場合の慰謝料の計算方法も、考え方は浮気と同じです。
基本の計算式はありますが、それはあまり使われず、それぞれのケースバイケースで計算されます。実際には50万円~300万円が相場で、不貞行為(浮気)と比較すると慰謝料の金額はあまり高くはありません。
ただ、有責度が大きいとそれだけ慰謝料も高くなると考えられます。
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DV(モラハラ)の有責度
DVやモラハラの場合の有責度は次の点で判断されます。
有責度を測る要素 | 有責の度合い |
---|---|
DV(暴力やモラハラ)の回数 | 回数が多いほど有責度は大きい |
DV(暴力やモラハラ)の期間 | 期間が長いほど有責度は大きい |
結婚期間 | 長いほど有責度は大きい |
夫婦の子どもの有無 | 子どもがいる方が有責度は大きい 子どもの年齢が小さいほど有責度は大きい |
精神的な苦痛 | 精神的な苦痛が大きいほど有責度は大きい |
身体的な被害 | 身体的な被害が大きいほど有責度は大きい |
また、DVを加えた方の社会的地位や年収が高い場合も慰謝料の金額は高くなります。
慰謝料を請求するには、これらの有責度を証明するものが必要になります。暴力や暴言を受けている場面の動画や録音、物を投げ散らかした部屋の様子、病院を受診した診断書などがあると有利です。
なお、DVによる慰謝料の相場や請求方法についてはこちらの記事が参考になります。
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離婚の慰謝料の計算方法まとめ
離婚の慰謝料の計算は一定の計算式はありますが、当てはまらないケースもあるので近年は利用されないパターンも増えてきました。
それぞれのケースで弁護士が計算して裁判で訴え、証拠や双方の言い分をもとに裁判所が判断して慰謝料額を決定します。
不貞行為(浮気)やDV・モラハラなどどのケースでも、行為を行った回数や期間が長いほど有責度が高くなり、慰謝料も高額になることが多いです。
また、結婚期間や子どもの有無、子どもの年齢、慰謝料を請求される側の社会的地位や年収なども慰謝料額を左右します。
詳しい慰謝料の金額は状況によって異なるので、離婚をする際は弁護士に相談して少しでも多くの慰謝料を獲得できるように図ってみましょう。
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