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不貞行為とは?どこからが該当するか定義・証拠・慰謝料を解説

不貞行為とは?どこからが該当するか定義・証拠・慰謝料を解説

「夫のスマホに、知らない女性から親しげなLINEが届いていた」。そんな場面に出くわして、胸がざわついたままこのページを開いた方もいるのではないでしょうか。反対に、自分の行動がどこまで許されるのか不安になって調べている方もいるかもしれません。

結論からお伝えします。法律上の不貞行為とは、配偶者のある人が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の人と性的関係(肉体関係)を持つことです。基準は「肉体関係があったかどうか」。キスやデート、LINEのやり取りだけでは、原則として不貞行為にはあたりません。

この記事では、最高裁判所の判決が示した定義をもとに、不貞行為は「どこから」なのか、風俗や別居中のケースはどうなるのか、証拠や慰謝料の考え方まで順番に解説します。2026年4月施行の改正民法や、2026年6月の最高裁判決にも触れていますので、最後まで読んでみてください。

不貞行為とは?法律上の定義をわかりやすく解説

不貞行為の法律上の定義を考える夫婦のイメージ

「浮気」と「不貞行為」は同じ意味だと思っていた方も多いでしょう。実は、両者は似ているようで少し違います。

「不貞行為」は、民法770条1項1号に出てくる法律用語です。裁判で離婚が認められる理由(法定離婚原因)のひとつとして定められています。

最高裁判所が示した不貞行為の定義

不貞行為の意味を明らかにしたのが、最高裁判所第一小法廷の昭和48年11月15日判決です。判決は、不貞な行為を次のように述べました。

「配偶者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」

この定義には、押さえておきたいポイントが2つあります。ひとつは「性的関係」が必要なこと、もうひとつは「自由な意思」が問われることです。

「自由な意思」が問われるのは不貞をした側

ポイントは、自由な意思が問われるのが不貞をした配偶者の側だという点にあります。相手の意思が自由だったかどうかは関係しません。例えば、夫が職場の部下に関係を迫った場合でも、夫自身は自分の意思で関係を持っているので不貞行為にあたります。

一方で、本人が性犯罪の被害にあった場合のように、自分の意思によらない性的関係は不貞行為ではありません。被害を受けた側が責められることはないので、安心してください。

同性との関係は不貞行為になる?

同性との性的関係が民法770条の「不貞行為」にあたるかどうかは、議論が分かれています。ただ、夫婦の共同生活の平和を害する点では、異性との関係と変わりません。慰謝料請求や「婚姻を継続し難い重大な事由」として問題になる可能性があるため、気になる方は弁護士に相談してみてください。

不貞行為があると法律上どうなる?

不貞行為は刑事罰の対象ではありません。犯罪にはならない一方で、民事上は大きく2つの効果があります。

効果 根拠 内容
離婚原因になる 民法770条1項1号 相手が離婚を拒んでも、裁判で離婚を求める理由になる
慰謝料請求の根拠になる 民法709条・710条 不貞をした配偶者と不貞相手に、精神的苦痛の賠償を求められる場合がある

2026年4月1日施行の改正民法により、法定離婚原因は「不貞行為」「悪意の遺棄」「3年以上の生死不明」「その他婚姻を継続し難い重大な事由」の4つになりました。「強度の精神病」が削除された一方、不貞行為は改正後も変わらず離婚原因のひとつです。

ただし、離婚原因があれば必ず離婚が認められるわけではない点に注意してください。裁判所は一切の事情を考えて婚姻を続けるのが相当と判断すれば、離婚の請求を退けることができます(民法770条2項)。

内縁関係・婚約中の場合はどうなる?

民法770条の不貞行為は、法律上の夫婦についての規定です。では、婚姻届を出していないカップルはどう考えればよいのでしょうか。

内縁(事実婚)の場合

内縁とは、婚姻届は出していないものの、婚姻の意思をもって夫婦同様の生活を送っている関係です。内縁の夫婦にも、法律婚に準じて貞操を守る義務があると考えられています。そのため、内縁の相手が他の人と関係を持てば、慰謝料や内縁の不当破棄の責任が問われる可能性があるでしょう。

住民票の続柄を「夫(未届)」「妻(未届)」としていることは、内縁を裏づける事情のひとつ。婚姻の意思がない単なる同棲は内縁にあたらないので、注意しましょう。

婚約中の場合

婚約は口約束でも成立し得ます。ただ、争いになると「本当に婚約していたのか」が問題になりやすいもの。結納、婚約指輪、式場の予約、両家への挨拶など、客観的な事情がそろっていることが大切です。

関係 貞操を守る義務 相手が他の人と関係を持った場合
法律婚 あり 不貞行為として離婚原因・慰謝料請求の対象になり得る
内縁(事実婚) 法律婚に準じてあると考えられている 慰謝料や内縁の不当破棄の責任が問題になり得る
婚約中 婚約が認められれば問題になる 浮気を原因とする婚約破棄について、慰謝料や損害賠償を請求できる場合がある
交際・同棲のみ 原則なし 慰謝料請求は難しい

不貞行為と浮気・不倫の違い

「浮気くらいで大げさな」と言われて、モヤモヤしている方はいませんか?言葉の違いを知っておくと、話し合いで振り回されにくくなります。

「浮気」や「不倫」は日常の言葉で、法律用語ではありません。人によって指す範囲が違うため、夫婦の話し合いがかみ合わない原因にもなりがちです。

言葉 主な意味 肉体関係 法律上の扱い
不貞行為 民法上の言葉。配偶者以外と自由な意思で性的関係を持つこと 必要 離婚原因・慰謝料の根拠になる
不倫 既婚者が配偶者以外と恋愛関係・性的関係を持つこと ない場合も含めて使われる 肉体関係があれば不貞行為
浮気 恋人や配偶者以外に気持ちが移ること。未婚のカップルにも使う ない場合も含めて使われる 既婚者で肉体関係があれば不貞行為

大切なのは呼び方ではありません。「肉体関係があったか」「それを証明できるか」の2点です。

例えば、夫が「ただの遊びだった」と言っても、肉体関係があれば法律上は不貞行為になります。反対に、周囲が「不倫している」と噂していても、肉体関係を証明できなければ不貞行為とは認められません。

不貞行為はどこから?行為別の境界線

「キスはアウト?」「2人で飲みに行くのは?」と、線引きに迷っている方も多いはずです。結論として、境界線は性交渉、またはそれに類する性的行為があったかどうか。まずは次の早見表で、全体像をつかんでみてください。

行為 不貞行為にあたるか ポイント
性交渉 あたる 回数・交際期間は問わない
性交類似行為 あたり得る 同様に慰謝料の対象とされることがある
ラブホテルに2人で入る それ自体はあたらない 肉体関係を強く推認させる証拠になる
旅行や異性宅での宿泊 それ自体はあたらない 同じ部屋での宿泊は推認の材料になりやすい
キス・ハグ・手つなぎ 原則あたらない 程度によっては慰謝料が問題になることも
2人きりの食事・デート 原則あたらない 頻度や態様によっては別の問題になる
LINE・メールでの好意の表明 原則あたらない 内容によっては肉体関係を推認させる

不貞行為にあたる・あたり得るケース

配偶者以外と肉体関係を持った

性交渉があれば、回数や交際期間にかかわらず不貞行為にあたります。「一度だけ」「本気じゃなかった」という言い分は、慰謝料の金額を考える要素にはなり得ても、不貞行為かどうかの判断は変えられません。

性交類似行為があった

性交渉そのものがなくても、それに類する性的な行為があれば、不貞行為にあたる、または同じように慰謝料の対象になると判断されることがあります。「最後まではしていない」という説明で、責任を免れられるとは限らないでしょう。

酔った勢いで関係を持った

お酒に酔っていても、自分の意思で関係を持ったのなら不貞行為です。一方、意識を失うなどして抵抗できない状態で関係を強いられた場合は、話が違ってきます。自由な意思にもとづくとはいえないため、不貞行為にはあたりません。

風俗店を利用した

「風俗は浮気に入らない」と考える方もいますが、法律上はそう単純ではありません。性交渉やそれに類するサービスを受けていれば、不貞行為にあたり得ます。

ただし、1回の利用だけで離婚が認められるか、店の従業員に慰謝料を請求できるかは個別の事情次第。同じ相手と店の外で会うようになっている場合は、通常の不倫と同じように考えられやすくなります。

不貞行為の「証拠」になり得るケース

次の行為は、それ自体が不貞行為というわけではありません。しかし、肉体関係があったことをうかがわせる重要な事情になります。

ラブホテルへの出入り

ラブホテルに2人で入ったこと自体は、不貞行為そのものではないとされています。ただし、肉体関係があったことを強く推認させる証拠になるのは確か。「部屋で相談に乗っていただけ」という説明は、滞在時間や出入りの回数によっては通りにくいでしょう。

宿泊を伴う旅行・異性宅への宿泊

2人で泊まりがけの旅行に行った、異性の部屋に一晩泊まったという事実も、肉体関係を推認させる材料になります。同じ部屋に泊まっていたかどうかは、重要なポイントです。

同棲している

配偶者以外の人と一緒に暮らしている場合、肉体関係を伴っていると考えられやすいもの。郵便物の届け先や出入りの記録などが、手がかりになることもあります。

不貞行為にあたらないケース

次のような行為だけでは、原則として不貞行為にはあたりません。

  • 2人きりでの食事、ドライブ、映画などのデート
  • 手をつなぐ、腕を組む、ハグ、キス
  • メールやLINEでの「好き」「会いたい」などのやり取り
  • 本人の意思によらない性的関係(性犯罪の被害など)

キスやハグだけの場合

キスやハグは性的関係そのものではないため、原則として不貞行為ではありません。ただ、ほかの証拠と組み合わせることで、肉体関係を推認させる材料になる場合があります。

LINE・メールのやり取りだけの場合

「愛してる」「早く会いたい」といったメッセージだけでは、不貞行為とまではいえないのが原則です。一方、「昨日のホテル楽しかったね」のように肉体関係を前提とした内容なら話は変わります。こうしたやり取りは、不貞行為の有力な証拠になり得るでしょう。

肉体関係がなくても慰謝料が問題になる場合

不貞行為にあたらないからといって、安心はできません。配偶者がいると知りながら頻繁に密会する、親密なメッセージを長期間続けるなど、夫婦関係を壊しかねない程度の交際は、慰謝料の対象になることがあります。金額は、肉体関係がある場合より低くなる傾向です。

別居中・家庭内別居中の不貞行為はどうなる?

「もう別居しているんだから、誰と付き合っても自由」。そう考えて関係を持ってしまい、後から不安になる方もいるでしょう。

別居中でも、離婚届を出すまでは法律上の夫婦です。そのため、別居中に肉体関係を持てば、原則として不貞行為にあたります。

婚姻関係が「破綻」していれば慰謝料は認められない

最高裁判所第三小法廷の平成8年3月26日判決は、肉体関係を持った当時、夫婦の婚姻関係がすでに破綻していたときは、特段の事情がない限り、第三者は不法行為責任を負わないと判断しました。慰謝料で守られるのは「婚姻共同生活の平和」。すでに破綻していれば、守るべき利益がないと考えられたわけです。

「別居=破綻」とは限らない

注意したいのは、別居していれば必ず破綻と認められるわけではないという点です。破綻しているかどうかは、別居期間の長さ、別居に至った経緯、離婚に向けた話し合いの有無などを総合して判断されます。別居して間もない時期や、家庭内別居で会話が少ないという程度では、破綻と認められないことも多いのが実情。

例えば、夫婦げんかの後に夫が実家へ戻って1か月という段階で関係を持った場合、「もう破綻していた」という主張は通りにくいでしょう。自分のケースがどうなるか迷ったら、早めに専門家へ確認してみてください。

不貞行為があっても慰謝料が認められないケース

不貞相手に慰謝料を請求したのに「払う必要はない」と突っぱねられ、戸惑っていませんか?実は、不貞行為があっても慰謝料が認められない場面がいくつかあります。

  • 不貞行為の当時、すでに婚姻関係が破綻していた
  • 不貞相手に故意・過失がない
  • 時効が成立している
  • すでに十分な賠償を受けている

不貞相手に故意・過失がない場合

不貞相手に慰謝料を請求するには、相手に故意または過失があることが必要です。既婚者だと知らず、知らなかったことに落ち度もない場合は、責任を負わないことがあります。

2026年6月の最高裁判決

この点について、最高裁判所第二小法廷の令和8年6月5日判決が新しい判断を示しました。事案では、第三者は既婚者から離婚の意向を伝えられ、本人の欄を記入した離婚届を見せられていたほか、夫婦が家計の別管理などを提案し合っていたとするメールも見せられていたという事情があります。

原審の高松高裁は、第三者が「離婚した」と信じたことに相当の理由があったかだけを検討し、過失を認めました。これに対し最高裁は、婚姻関係がすでに破綻していると信じ、そう信じたことに相当の理由があったかも検討すべきだとして、審理を高裁に差し戻しています。

とはいえ、「夫婦仲は冷めている」と聞かされた程度で責任を免れられるわけではありません。言い分が通るかどうかは、具体的な事情と証拠で判断されます。

不貞相手に「離婚させたこと」の慰謝料は原則として請求できない

最高裁判所第三小法廷の平成31年2月19日判決は、不貞行為が原因で離婚に至った場合でも、不貞相手に対しては離婚そのものについての慰謝料(離婚慰謝料)は、特段の事情がない限り請求できないと判断しました。特段の事情とは、夫婦を離婚させる意図で婚姻関係に不当な干渉をするなどして、離婚のやむなきに至らしめたと評価できる場合です。

これは、不貞行為そのものによる精神的苦痛の慰謝料(不貞慰謝料)まで請求できなくなるという意味ではありません。請求の内容によって時効の起算点も変わるため、迷ったら弁護士に確認してみてください。

時効が成立している場合

不法行為による慰謝料請求権は、損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で時効により消滅します(民法724条)。例えば、3年以上前に不貞の事実と相手の名前を知っていた場合、今から不貞相手に請求しても時効を主張されるおそれがあります。気づいた時点で、早めに動くことが大切です。

すでに十分な賠償を受けている場合

不貞をした配偶者と不貞相手は、共同で責任を負う関係にあります。どちらか一方から損害の全額を受け取ったなら、もう一方から重ねて同じ損害の賠償を受けることはできません。支払った側がもう一方に負担分を求める「求償」が、問題になることもあるでしょう。

不貞行為を証明するための証拠

「怪しいのは確かなのに、決め手がない」。そんなもどかしさを抱えていませんか?

相手が不貞行為を認めない場合、離婚や慰謝料を求める側が肉体関係を証明しなければなりません。不貞行為は人目につかない場所で行われることが多く、立証は簡単ではないもの。だからこそ、何が証拠になるのかを知っておくことが大切です。

証拠になり得るものの例

証拠 証明力の目安 注意点
ラブホテルに出入りする写真・動画 高い 日時と顔がわかるもの
肉体関係を前提としたLINE・メール 高い 相手の名前や日付も写るように撮影する
本人が不貞を認めた録音・書面 高い 無理に書かせると後で争いの種になる
探偵(調査会社)の調査報告書 高い 費用がかかる
ホテル利用のカード明細・領収書 補強的 単独では弱いことが多い
2人きりの食事やデートの写真 低い ほかの証拠と組み合わせて使う

証拠は1つで決め手になるとは限りません。複数を組み合わせて、肉体関係があったといえるかが判断されます。

自分で証拠を集めるときの注意点

配偶者のスマートフォンに無断でログインする、相手の自宅に侵入するといった方法は避けてください。違法な方法で集めた証拠は、別のトラブルにつながるおそれがあります。また、不貞の事実を職場や近所に言いふらすと、名誉毀損などの問題になりかねません。

探偵に依頼する場合

自分で集めるのが難しいときは、探偵(調査会社)に相談する方法もあります。探偵業を営むには、都道府県公安委員会への届出が必要です。依頼前に、届出の有無や料金体系、契約内容を確認してみてください。

「探偵広場」のような探偵のポータルサイトで比較する方法もあります。

参考:探偵広場(外部リンク)

不貞行為の慰謝料の考え方と請求の流れ

「慰謝料はいくらもらえるの?」「請求されたら払うしかない?」。お金の話は、誰にとっても切実なテーマでしょう。

慰謝料の金額を左右する事情

慰謝料の金額は、法律で決まっていません。次のような事情を総合して判断されます。

  • 婚姻期間の長さ
  • 不貞行為の期間・回数
  • 不貞が原因で離婚や別居に至ったか
  • 未成熟の子どもがいるか
  • 発覚後の態度(謝罪の有無、関係を続けているかなど)
  • 不貞相手が関係を主導していたか

一般に、不貞が原因で離婚に至ったケースは、離婚しなかったケースより高くなる傾向があります。具体的な相場は、次の記事を参考にしてみてください。

慰謝料請求の一般的な流れ

  1. 証拠を集め、請求する相手と金額を整理する
  2. 内容証明郵便などで請求し、交渉する
  3. 合意できたら示談書(合意書)を作る
  4. 合意できなければ、調停や訴訟を検討する

例えば、不貞相手と200万円で合意したとしても、口約束だけでは支払いが止まったときに困ります。分割払いにするなら、支払日や遅れたときの扱いを書面に残しておきましょう。

慰謝料を請求された側の方へ

反対に、慰謝料を請求されて困っている方もいるはずです。婚姻関係がすでに破綻していた、既婚者と知らなかったなど、反論できる事情がないか確認してみてください。請求額が高すぎる場合は、減額の交渉ができることもあります。

無視を続けると、訴訟を起こされるおそれも出てきます。ひとりで抱え込まず、早めに弁護士へ相談しましょう。

不貞行為が発覚した後にできること

不貞の事実を知った直後は、頭が真っ白になって何も手につかないかもしれません。まずは深呼吸をして、焦らず進めていきましょう。

離婚するか、やり直すかを考える

すぐに結論を出す必要はありません。離婚するにしても、やり直すにしても、証拠と事実関係を落ち着いて整理することが先決です。

選択 主な方法 ポイント
やり直す 夫婦の話し合い、カウンセリング 離婚しなくても不貞相手への慰謝料請求は可能。誓約書を作ることも
協議離婚 夫婦の話し合い 慰謝料・財産分与・養育費などを書面に残す
調停離婚 家庭裁判所の調停 調停委員を交えて話し合う
裁判離婚 離婚訴訟 不貞行為の証明が必要

不貞をした側からの離婚請求は認められにくい

不貞をした側(有責配偶者)からの離婚請求は、簡単には認められません。最高裁判所大法廷の昭和62年9月2日判決は、別居が相当の長期間に及び、未成熟の子がおらず、相手方が離婚によって極めて苛酷な状態に置かれるなどの特段の事情がない場合には、有責配偶者からの請求も認められる余地があると判断しました。

裏を返せば、不貞をされた側が離婚を望まない限り、不貞をした側が一方的に離婚するのは難しいということ。「浮気した側から離婚を迫られている」という方は、焦って離婚届に署名しないでください。

2026年4月以降の離婚で押さえたい新ルール

子どもがいる場合は、改正民法の新しいルールも確認しておきましょう。

  • 共同親権:離婚後も父母双方を親権者にできる。協議が調わなければ家庭裁判所が子の利益の観点から判断
  • 法定養育費:取決めがなくても、子を主に監護する親は子1人あたり月額2万円を請求できる(2026年4月1日以降の離婚)
  • 財産分与:請求期限が離婚後2年から5年に延長
  • 年金分割:請求期限が離婚後2年から5年に延長
  • 親子交流:「面会交流」は法律上「親子交流」と呼ばれるようになった

不貞行為をしたかどうかだけで、親権者が決まるわけではありません。家庭裁判所は、あくまで子の利益を基準に判断します。

よくある質問

キスだけでも不貞行為になりますか?

キスだけでは、原則として不貞行為にはあたりません。ただし、交際の程度によっては慰謝料が認められることもあります。キスの写真が、ほかの証拠と合わせて肉体関係を推認させる材料になる場合もあるでしょう。

一度だけの関係でも不貞行為ですか?

はい、一度だけでも不貞行為にあたります。回数は、慰謝料の金額や離婚が認められるかを判断するときに考慮される事情です。

別居中に関係を持つと不貞行為になりますか?

別居中でも法律上は夫婦なので、原則として不貞行為にあたります。婚姻関係がすでに破綻していたと認められれば、慰謝料は認められないことがあります(最高裁平成8年3月26日判決)。別居して間もない時期は破綻と認められにくい点に注意してください。

風俗は不貞行為になりますか?

性交渉やそれに類するサービスがあれば、不貞行為にあたり得ます。離婚や慰謝料が認められるかは、利用の回数や期間、夫婦関係への影響などによって判断が分かれるところです。

相手が既婚者だと知らなかった場合も慰謝料を払う必要がありますか?

既婚者だと知らず、知らなかったことに落ち度もない場合は、責任を負わないことがあります。婚姻関係が破綻していると信じたことに相当の理由があった場合も、過失が否定され得ることが2026年6月の最高裁判決で示されました。

不貞行為の慰謝料はいつまで請求できますか?

不貞の事実と相手を知った時から3年、不貞行為の時から20年です(民法724条)。時間が経っている場合は、早めに弁護士へ相談しましょう。

まとめ

不貞行為とは、配偶者のある人が自由な意思で配偶者以外の人と性的関係を持つことです。「どこから」の基準は、肉体関係(性交渉やそれに類する行為)があるかどうか。キスやデート、LINEだけでは原則として不貞行為にはあたりませんが、程度によっては慰謝料が問題になります。

  • 定義は最高裁昭和48年11月15日判決。不貞をした側の「自由な意思」が基準
  • ラブホテルや宿泊は不貞行為そのものではなく、肉体関係を推認させる証拠
  • 婚姻関係の破綻、故意・過失なし、時効などで慰謝料が認められないこともある
  • 2026年4月の改正民法の施行後も、不貞行為は法定離婚原因のひとつ

証拠や事情によって、結論は大きく変わります。ひとりで抱え込まず、離婚問題に詳しい弁護士に相談してみてください。

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